第19話
釣り。
それは自然との戦い。
「なぁ」
釣り。
それは己との戦い。
「なぁ」
釣り。
それは暇との戦い。
「おい」
殴られる。痛い。
「なに?今なんかかっこよくそれっぽいこと考えてたんだけど」
「知らん。ここ釣れるの?暇なんだけど」
「釣れるかわかんないから釣りしてんだろ?暇ならそこら辺で採取してろ」
「知らずに来たのかよ・・・。まぁいいや。俺もうちょっと剣の練習するわ」
「頑張れー。帰る時間を考えれば釣りは大体30分くらいで切り上げる」
「了解っと。ならその時間は自主練だな」
そう言って黒猫は少し離れたところで練習を開始する。
そこまで頑張る必要があるのか知らんが頑張って欲しいよ。
俺はまったく釣れない釣りに戻る。
今いるのは、さっき戦った場所から10分ほど離れた場所にある川だ。
採掘ポイントがある場所に向かう途中に川があると掲示板で見た為、釣り竿を用意した。
まだ釣ったことある人はいないらしい・・・が、そもそも魚影が見えないからいるのかも怪しまれてる。
周りにも釣りをしてる人は数人いるけど、誰も釣れてないらしい。
俺が最初に釣れたりしたら面白いよな。
30分後、予想通り釣れませんでした。
周りにいる人達と色々と情報交換したりして、今後も定期的に釣りポイントを探す約束をした。
なんでも、全ての魚を釣り、魚拓図鑑を完成させるのが目標らしい。
現実と同じ感じでまったく違う魚が釣れそうなのは楽しみだと笑顔で語っていたが印象に残る。
俺もあんな熱中できる夢とか欲しいな・・・。
俺が熱中出来るのは狐関連だけだし、そのうち将来の事も考えないとな。
「いやーVR経験者組に色々教えてもらったよ。うん、さっきよりかは動けると思う」
「お?強くなったん?」
「タンクの立ち回りと盾の使い方を少し教えてもらった」
「へーよかったじゃん。情報料とか払った?」
「いや?なんか俺やお前の尻尾と耳が面白いからって色々聞かれたくらい。なんでも恥ずかしいから獣耳は諦めたらしくてさ、堂々としてる俺らを凄いって言ってたよ」
「まぁ・・・うん。常に視線を感じますからね。女子の言う、胸とか見てるのわかるよって言葉を理解できたよ」
「あ、それ俺もわかるわ。いつもこんな視線に晒されるのは辛いよなー」
「と、女子の胸を見ている男子のセリフでした」
「お前も見てるだろ」
「俺、ひんぬー派。揺れるの、敵。だから、見ない」
「俺、きょぬー派。まな板、敵」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「揉めない乳について語るのはやめようか」
「だな・・・虚しい」
テンションを無駄に落としながらだが、移動を開始する。
今から向かうのは採掘ポイントだ。
「そういえばさ」
「んー?」
「敵が落とす素材って売値が色々変動するらしい」
「変動理由は?あと掲示板情報?」
「や、さっきの釣り師達に聞いた。なんか倒し方によって皮や鱗に傷付いたりして値段が落ちるって」
「へー。相場は聞いた?」
「高いのだと1000、安いと100。普通に倒せば700から800だってさ」
「差が結構あるな。倒し方は少し考慮するか?」
「や、俺が1発で頭を撃ち抜けば毛皮へのダメージがないから高値になる。ただ、牙がちょっとどうかなーって感じ」
「把握したわ。とりあえず毛皮重視でいきますかね」
「了解」
と、意気込んで話していたが、敵には会えなずに小高い岩山に到着。
いや、会えたけど他プレイヤーと交戦中で俺達が戦えなかっただけだ。
途中でレアモンスターを見れたのは面白かったな。
まぁ、「ワンワンお」って鳴く狼をレアモンスターと言っていいのかは知らないけど。
「さて、ピッケルってどう使えばいいの?」
「しらねーよ。なんかゲームで見た動きでそれっぽくやればいいでしょ。それよりもあのレア狼だよ」
「あれは笑った。戦ってた人達もすげぇ驚いてたな」
「マナー違反だと分かってたけどドロップ聞いちゃったよな。普通の牙と皮ですって言われて更に爆笑」
「なんか運営は所々にお遊び要素入れてるって!聞いたけどぉ・・・ダメだ、石ころばっかり。あと、手が痛い」
しゃべりながらだけど、採掘ポイントにピッケルを叩きつける。
いや、正しい使い方とか知らないしなんとなくで使ってるからね、叩きつけるが正しい表現だと思うよ?
「お前それ完全に力でやってんじゃん。もう少し丁寧にやれよ」
「はぁ?ならお前がやってみろよ」
「見とけよ見とけよー?」
黒猫が大きく振りかぶる。
そして、ピッケルを採掘ポイントに叩きつけ・・・・・・折れる。
勢いよく叩きつけたのが原因だろう、ピッケルは折れた。
「ぷっ・・・くっくくく・・・あーはっはっはっはっ、ひー・・・おま、お前さぁ・・・笑わせんなよ」
「・・・うるせぇ!初めてだからしかたねーだろ!」
「見とけよって言ったから見てたけど俺よりひでぇ。腹いてぇわー」
「くっそぉ・・・根拠なんて無いけど俺の方が上手いと思ったのに・・・」
「黒やんもまだまだだねぇ~。じゃあ、予定通り20分採掘かな?」
「20分もかかるか?多分だけど先にピッケルがなくなると思う」
「俺、お前と違う。ピッケル、無事」
「そのしゃべり方ムカつくからやめろ」
「俺、採掘、上手い。お前、下手」
「くそが」
「冗談は置いといて、早めに終わったらそれはそれでいいんじゃない?」
「・・・だな」
軽口を言い合いながら採掘を10分程行った。
うん、10分程ね。
採掘ポイントはまだいくつか残ってるっぽいけど、何があったかは言いたくない。
俺と黒猫で5本ずつの合計10本持ってきたピッケルは、俺が3本、黒猫が7本消費した。
ま、まぁ?消耗品だし?安物だし?しかたないよね?
が、黒猫の言い訳だ。見苦しい。
因みに戦果割合は石5鉄鉱石4謎の鉱石1だった。
謎の鉱石は多分宝石系だと思うけど、鑑定スキルもないし鉱石や宝石に詳しくないからわからない。
そこそこレアっぽいからうれしい。
「戦果は微妙、後でピッケル代返せよ」
「・・・はい」
「2本分だからな」
「・・・はい」
「下手くそ」
「反論できないのが悔しい」
「俺もなんでお前より上手いのかとかわからんからすぐ抜かれるかもな。次は採取だ」
「雑草抜きなら任せろ」
物凄く良い笑顔でサムズアップする黒猫。
いや、どこから突っ込むべきなのか・・・。
「雑草抜いてもお金にならないよ?」
「そこでテンション落とすのやめよ?」
「俺も人の事言えないけどさ、VR始めてからキャラ崩壊してない?」
「わかる。なんかテンションがやばい。アホ共にアホって言えない」
「だよなー。なんか学校でもそわそわしててうざいって言われたし」
「それあれだろ?尻尾が原因だろ?」
「・・・あー確かに。現実だと尻尾ないから違和感あるわ」
「逆だろ。VRだと尻尾あるから違和感・・・もう慣れたから違和感ないわ」
「だろ?尻尾が無い方がなんかむずむずするんだよなーっと。採取ポイントはあっちだね」
「そこまで重症じゃないからわからん。今度は敵と戦えるといいな」
「フラグ建築かな?適度に期待しつつ移動しますかね」
数回の戦闘を挟み、目的地である採取ポイントに到着。
が、道中も含めて何も面白いことが起きなかった。
うん、普通の戦闘に草むしりなんて面白くないからね。
少し悲しくなりながらも面白いイベントが起きることを期待して街に戻る。
流石にね、晩御飯を食べる時間だったり寝る時間だったりがあるから遅くまでやれないよ。
無事に街まで戻ることができた、できてしまった。
何かしらのイベントを期待したけど何もなかった、つまらん。
冒険者ギルド・・・役所で手に入れた素材の売却を行い収支の確認をする。
弾の購入費用を考慮すると・・・やや黒字かな?
このペースならクランがーとか工房がーとか言ってられない。
明日は本気で金策を考えなければ・・・。
とりあえず今日はログアウトだな。
次の更新予定日は 09/21 0:00です




