第18話
ログインする。
宿屋に泊っていたり、クランやホームを持っている訳じゃないのでいつもの噴水広場に到着だ。
うん、周りの視線が凄いね。
黒猫を待つついでに、色々と道具を買い揃える。
ピッケル、釣り竿、携帯食糧にポーションなどだ。
戦闘ついでに採取をする予定だから買ったけど・・・あれだな、金がない。
喫茶店で色々食べてたのもあるけど、買い物でかなり使った。
金策を考えなければ・・・。
買い物が終わり、噴水広場に戻ると黒猫が現れた。
ログインや死に戻りをすると、魔方陣が描かれ、その上にプレイヤーが出現する。
公式動画や公式説明などは見ていたけど、実際に自分の目で確認するのは初めてだ。
こういうのを見るとやっぱりゲームなんだなと実感する。
「思ってたよりも早かったな」
「んー?まぁ、信号運がよかったからな」
「アイテム補充はどうする?俺はもう色々買ったぞ?」
「・・・いつも思うけど俺ら協調性ないよな」
「いつものことじゃん」
「俺の分は?」
「金がない」
「了解。何を買った?」
「ピッケル、釣り竿、携帯食糧にポーション。あ、ポーションは魔力・・・MPの方な」
「採取系か・・・携帯食糧っているの?空腹度ないじゃん」
「語弊があったな、パンと肉、野菜だ。分かりやすく言えば、街の外でサンドイッチを作るってこと」
「バフ付くの?あと、俺の分の食糧あるの?」
「それらを含めて実験。二人で二食分用意した。サンドイッチは代金請求予定」
「把握。じゃあ、食べる時に払うわ。で、俺も採取系買いたいから案内よろ」
「あいよ」
黒猫を連れて近場の道具屋に移動する。
ポーション屋のおばちゃんの所までは移動する時間もないので全て近場で揃えた。
・・・薬草の見分け方とかあるなら今度聞きに行くか?
頭の片隅にでも置いておくか。
買い物を終え、二人でパーティを組む。
一緒に行動してたけど、なんだかんだ言って、初めてパーティを組んだ。
仲間がどこにいるのかが、なんとなくわかるのは凄いなーとか、これ利用して探索できないかなーとか、色々と期待に胸を膨らませながら街を出る。
ここまでは来た事あるんだよな・・・。
「さて」
「はい」
「戦闘です・・・が、出来ますか?」
「んー・・・大丈夫。そっちは?」
「誤射と猫が怖いくらい?多分大丈夫」
「・・・猫を殺したらお前を殺す」
「・・・・・・味方が一番怖い件について」
「お前が大人しくしてれば何もしないから大丈夫だって」
「こっわ・・・とりあえず奥の方行くぞ。近場は猫が多いらしい」
「了解・・・なんで近場は猫が多いの?」
「ここの敵の設定があるんだよ。元々はウサギしかいない平和な草原だった。そこに狼が現れ、捕食するようになった。その結果狼が増えて、大暴れしたらしい。その騒ぎの時に貴族が飼ってた猫が脱走し、野生化。増殖し人間を襲うようになった」
「その貴族大戦犯じゃん」
「だろうね。貴族は魔法使いだったっていう設定があるらしく、猫は魔法を扱う・・・らしい。ほら、あそこ」
やや遠い所にいるパーティを指差す。
猫が2匹とウサギが3匹・・・3羽?わからん、敵は全部匹でいいだろ。
猫がボール系の魔法を扱い攻撃をしている。
まぁ、基本魔法のボールは速度が遅いからな、普通に回避されてる。
「あー・・・猫が・・・猫が斬られてる・・・スコティッシュフォールド・・・」
横にいる黒猫が悲哀の声を出す。
他の人に迷惑をかけてはいけないっていうマナーを守らなきゃいけないからな、心中お察しいたします。
てか、遠目でよく猫の種類がわかるな・・・。
「あっちにはベンガル、アメリカンショートヘア、そっちにはメインクーンにエキゾチックショートヘア・・・あぁ!ターキッシュアンゴラにスフィンクス、ラパーマじゃん!すげぇ!思ってた以上に種類がいる!すげぇよ白やん!」
「お、おう・・・お前も凄いな」
「あの人が今斬ろうとしてるのはペルシャでその横にいるのはミヌエットだ!すげぇ!いっぱい種類いる!やべぇ!テンション上がってきた!」
「ちょ!バカバカバカ、めっちゃあの人達困ってんじゃん。マナー違反だから落ち着け!移動するぞ!」
「待って戯れたいああああああ引っ張るなあああああああぬこちゃあああああああああ」
周りの人にこれ以上迷惑を掛けないように黒猫を引っ張って移動する。
まぁ、ここまで騒ぐのは想定内だけどね?
だって俺も同じ状況なら同じことするし?
人の事言えないんだよね・・・。
黒猫を引っ張りながらの移動を開始して10分、ようやく周りに猫が少なくなってきた。
掲示板情報によると、周りにいる敵の割合が狼6ウサギ3猫1らしい。
これくらい猫が出る割合が少なければ大丈夫だろ・・・。
それよりも別の問題が発生してるからそっちをなんとかしなければ・・・。
「さて・・・疲れた。まだ何も戦ってないのに疲れた」
「・・・・・・・・・」
「黒やん?帰りにさ、デスペナ対策で俺に荷物預けた後に戯れよ?だからさ、今は落ち着いて戦闘しよ?」
「・・・・・・」
「俺の言ってることわかる?剣をこっちに向けるなって意味だよ?ねぇ?聞いてる?猫見殺しにしたけどさ、不可抗力じゃん。他の人に迷惑を掛けないってマナー守っただけじゃん?だからさ、剣・・・こっちに向けるのやめよ?」
そう、黒やんが怒ってる。
気持ちはわかるし怒りを振り下ろす先がないのもわかる。
けどさ、俺に八つ当たりはやめてほしい。
「・・・・・・ごめん」
「うん、気持ちはわかるし同じ状況になったら俺も同じことする自信ある。だから大丈夫」
「・・・ありがと」
「じゃあ、落ち着いた所で申し訳ないけどさ、狼さんがこっちに向かってるんですよ」
「え?あっ、痛っ!ちょっ、おまっ・・・おらぁ!もっと早く言えやっ!!」
後ろから不意打ちを食らった黒猫が狼に蹴りを入れる。
レベル低いし不意打ちだからなのか知らないけど体力が約半分まで減ってる。
これちょっと危ないかな?
「お前が俺に剣を向けるからだよ。ちゃんと警戒しろよ前衛」
「声掛けは基本だろ後衛」
「敵は狼数は5、お前の体力半分」
「今更声掛け・・・は?半分?マジじゃん・・・回復するからカバーよろしく」
「却下します。盾使って時間稼ぎしろ。こっちで数減らす」
「・・・次食らったら撤退な」
「了解!」
黒猫が盾を構え、狼に向き合う。
ポーションを投げつつ、狼から距離をとる。
「痛っ!・・・おい!」
「それでHP回復するらしい」
「はぁ?マジかよ・・・回復してるってあっぶねー・・・先に言えよ!」
「前向きに検討しまあああセーフ。ちゃんと壁になれよ!」
「俺タンクじゃないから無理!」
「ちっ、漫才すらする余裕ないとかやばいな・・・お高い弾使いまーす」
「了解!」
装填していた、安めの通常弾からやや品質の高い通常弾へと変更する。
属性弾に特殊弾は持ってないからね・・・しかたないよ。
「装填完了!命中率に不安有!なるべく動いてないのから狙います!」
「練習したんじゃねーのかよ!」
「練習してもそこまで上手くならなかったの!」
「下手くそ!数減らしてくれなきゃ無理だぞ!」
こちらを警戒していない狼の胴体を狙い、攻撃する。
うん、外した。
普通に避けられたし・・・。
「頑張る!ごめん外した!」
「死ね!」
「先にお前が死ぬぞ!」
「口より手を動かせ!これかなりきついんだぞ!」
「精一杯頑張ります!あ、誤射したらごめん!」
お互いに余裕がないからずっと叫びながらの会話だ。
ちょっとのどが痛い・・・。
黒猫が若干だけど、防御を意識した立ち回りに変わった。
そこまで上手くはないけど、こっちが攻撃しやすいように足止めを優先してるのがわかる。
けど、一つだけ言いたい。
お前射線被りまくりだぞ?
撃ちたい瞬間にお前が動いて邪魔なんだけど?
黒猫が防御寄りの立ち回りに変わってから5分、狼は残り1匹になってた。
お高い弾を使ってはいるものの、胴体に当てる場合は3発必要だった。
まぁ、初期装備で配られた弾だから赤字じゃないけどさ・・・もう少しいい弾が欲しかったなぁ・・・。
「ラスト1匹、こっちは特に殺したことに対する罪悪感的なのはなし」
「マジか・・・案外大丈夫なんだな」
「なんか噂によると補正が入ってるとかなんとか」
「へー・・・なら俺もちょっとやってみようかな」
「んー・・・お金的な意味もあるし周囲の警戒してるわ」
「了解。普通にしゃべりながら戦える程度には余裕ができたなっ!・・・ってあたらねぇ・・・」
「頑張れー。俺も結構外したし最初はそんなもんでしょ」
黒猫への雑な応援をしつつ、周囲を見渡す。
プレイヤーの数もそこそこいて、こっちに敵が来ることはなさそうだった。
これなら安心かなと少し油断していると、黒猫があっさりと狼を倒す。
もうちょっと苦戦しろよ。
「お疲れ。どう?」
「んー・・・確かに敵を斬った感触がある。けど、そこまで不快感は感じないかな?」
「補正ある説が有効なのかな?まぁ、いいや。ドロップ品は?こっちは毛皮と牙と肉」
「どうだろうね?ドロップ品は・・・牙と肉と爪。ほぼほぼ一緒だね」
「だね。んじゃ、適当に狩りしつつ採取ポイントに移動しますか」
「りょーかい。てか、お前残りの弾大丈夫?」
「こっからは安いの使って温存するから大丈夫」
軽い雑談をしつつ、移動する。
戦闘をもう少ししたいけど、周りにはまだまだプライヤーが多い。
あんまり戦闘はおいしくないなぁと思いつつも、目立つ俺達が絡まれないことを安堵してる。
次の更新予定日は 09/18 0:00です




