第15話
「さて、この街から行ける戦闘エリアについてだな。見晴らしのいい草原と森の2種類だ」
「あ、森はパス」
「なんで?結構実入りがいいらしいよ?」
「虫が苦手」
「・・・いや、ゲームだから」
「ゲームでも無理」
黒猫の我が儘・・・いや、違うか。
俺も自分の半分くらいの大きさで出てこられたら死にたくなる。
出てこないって言いきれない以上気持ちはわかる。
「でも猫って虫を狩るよね」
「狐は虫食べるよな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「もっと情報が出るまで森はやめるか」
「一応言っておくけど、小さい虫でも無理だから。俺は絶対に行かないぞ」
「・・・・・・錬金術で虫避け的なの作れるか調べるか」
「・・・・・・・・・効果次第だな」
こいつここまで虫が嫌いだったっけ?
昔キャンプに行った時に口の中に虫が入って以来トラウマになったのは知ってる。
年々悪化してる気がするな・・・。
「ちなみに、どこまでがセーフ」
「全てがアウト。蚊すら嫌だ」
「それくらい手で叩けよ」
「無理。スプレー使う」
これ間違いなく悪化してますね。
虫が多い時期になるとマスクするようになってたけど、マジでやばいな。
「虫が出るような場所でイベントあったらどうするの?」
「ログインしない」
「・・・徹底してますね」
「当然。お前の狐好きと同じレベルで嫌ってるからな」
俺の狐好きと同じレベル・・・か。
ちなみに、俺は毎月動物園に通って狐を丸一日見てる。
それくらい狐が好きだ。
今では飼育員さんと普通に談笑するレベルで顔馴染みだ。
「・・・まぁいいか。とりあえず草原だな。敵が弱い、人が多い、それに付随したトラブルがちょくちょくあるって書いてある」
「掲示板?」
「掲示板」
「うーん・・・間違いなく目立つからなー・・・。トラブルに巻き込まれること前提で動くか?」
「何その主人公が持ってそうな体質。俺はいらないよ?」
「お前は自分の見た目を忘れたのか?お前で隠れてるけど俺もそこそこ目立つ見た目だからな?」
「・・・草原のど真ん中に白い尻尾9本と黒い尻尾2本か、間違いなく目立つな」
「だろ?あと、スキル持ってる人がまだ少ない。間違いなく教えてくれって寄ってくる」
「それは拒否すればいいだろ。対価もなく教えてくれとか明らかに拒否する理由が作れる」
「対価ありなら?」
「教える時間に釣り合った対価なら受ける」
「まぁ・・・妥当だな」
「そもそも論だけどさ、そんなの2.3日もすれば消えるだろ。スキル欲しい、訓練所は嫌だなんて甘えだし他に知り合いいないのかよって思うわ」
「・・・それもそうだな。んじゃ、草原の敵は何が出・・・・・・」
「ん?うん。草原の初期モンスターはウサギと狼と猫だよ」
その気持ちはよくわかる。
俺も狐を狩らなきゃいけないなんてなった日には引退を考える。
初っ端からラスボス級モンスターの相手だな。
「一応言っておくけどさ、猫の色はランダムらしいよ」
「・・・このゲームってテイムとか契約とかあったっけ?」
「お客様、大変申し訳ありませんが未実装でございます」
「あああああああああああああああああああああああああああああですよねえええええええええええええええええええええええええええええ」
自分の名前にしてるくらい好きな猫を自分の手で叩き切る。
これはSANチェックですね、はい。
てか、これアホ共猫狩りしてたら殴られるんじゃない?
ちょっと先に注意しておくか・・・。
「・・・・・・猫以外を倒しましょう」
「なんで敬語?まぁいいけどさ。猫が出たらどうするの?」
「死ぬ」
「俺は嫌だぞ」
「お前を殺す」
「このゲームPKは禁止です」
「お前が死ぬまで猫を庇い続ける」
「普通に撤退するって選択肢を下さい」
「猫を前に背を向けろと?触れ合いを諦めろと?」
「・・・・・・俺を巻き込むなとだけ言いたい」
「・・・・・・・・・・・・・・・妥協するわ」
「そこまで悩む必要あった?」
「お前もいつかわかる」
「狐とかほぼ確実に出てくるからな・・・先にテイムとか契約?ペット機能でもいいから欲しい」
「運営に要望出すか」
「だな」
二人でメニューを開き、運営への要望を出す。
ペットやテイム、契約なんかは絶対に大型アプデになる。
そして大型アプデの話は出ていない。
低く見積もっても1月は猫が死ぬのを見なければいけないのか。
・・・黒猫は生きていけるのか?
「さて、黒やんの発狂イベントも終わったことだし・・・睨むな。陣形を考えますか」
「お前の発狂イベントはよ。俺前衛、お前後衛・・・後衛?中衛?わからん・・・が、お前後ろ」
「普通に考えてそれだな。FFあるから俺の射線に入るなよ」
「FF?・・・ああ、フレンドリーファイアか。普通にエフエフって言うからゲーム名かと思ったわ」
「俺そのゲームあんまりやったことないから知らないんだよね。今も出てるの?」
「さぁ・・・?俺もあんまりやっとこないから知らない。ただ、4大ゲーム?になってるとかどうとか」
「ふーん・・・。まぁ、今はどうでもいいか。声掛けだけでなんとかなるのか?」
「なるんじゃない?それよりもさ、索敵どうする?」
「スキルがないなら無理。気配読むとか普通の人間にはできない」
「普通の人間は尻尾を9本付けないぞ?2本のお前が言うなって思うがな」
「それな。とりあえず草原だし見晴らしいいから色々試しながら行くか」
「んー・・・行き当たりばったりになりそうだけどそれしかないか。他の人のを参考にしようにも色々と条件違うだろうし」
「一応明日アホ共に聞く?」
「どれに聞くの?脳筋?アホ?ロマン?」
「・・・・・・ロマン?」
「それが無難かな・・・。まぁ、他にも買ってる奴いるだろうからそっちに期待するか」
「だな。あいつらと話してれば寄ってくるだろ。俺ら有名だし」
「悪い意味でな」
「じゃあ・・・とりあえずそんな感じで今日は終了ですかね?」
「ん?もう終わるの?まだ時間あるし探索しない?結局重要っぽい場所しか行ってないし」
「宿題と明日の数学で抜き打ち小テストがあるって噂がありまして・・・」
「・・・・・・・・・宿題忘れてた。で、噂の出所は?」
「数学担当」
「本人から聞いたのかよ・・・それ噂じゃなくて確定じゃん」
「や、ゲームばっかりやってる奴が多いなら無理矢理補習にするために小テストやるらしいんですよ」
「ほー・・・つまり、嫌がらせですか」
「俺からの提案なんだけどね。アホ共隔離大作戦ですよ」
「・・・・・・これは怒るべきなのか感謝すべきなのか悩み所ですね」
「まぁでも、徹夜でゲームやって学校で寝るのを許容できないからね。ちかたないねってやつですよ」
「・・・はぁ。宿題と軽い勉強するか・・・。あ、小テストの範囲教えて」
「先週やった部分。詳しくはログアウトした後に教えるわ」
「あんがと。じゃ、おつかれ」
「おつかれ」
ログアウトする。
まだやっていたい気持ちはあるけど、詰め込み過ぎるのもよくないからな。
明日は銃使いの戦闘について多少は情報出てると思うし、調べながらいくつかパターンを作っておきますかね。
次の更新予定日は 09/09 0:00です




