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第11話

訓練所前で黒猫を待つ。

別に黒猫を待たせてもいいんだけど、俺の方が目立つ以上、先に来た方がいいだろう。

あと、昨日はかなり待たせたからな。


「お?時間通り来たつもりだけど待たせた?」


「ん?ああ、妹に色々言われて鬱陶しかったからな、早めに来たんだよ」


「お兄ちゃんは結構モテるんだよってやつ?」


「それ。あとはあれだな、尻尾9本生やしてるのお兄ちゃんでしょ、そういうの直さないと彼女できないよって」


「もうバレたのかよ早すぎだろ」


黒猫に笑われる。

ゲーム二日目にプレイしてない人に特定されるとか普通に早いからな。


「んなことはどうでもいい。とっとと訓練所入るぞ」


「はいはい、案内しますよっと」


そこまで移動することなく、職業訓練所についた。

てか、戦闘訓練所の隣だった。

まぁ・・・うん、訓練所は一か所にある方がわかりやすいからね。


建物内に入り、受付に話を聞く。

簡単に説明を受けた後、職業訓練を受ける申し込みをした。

まずは、鍛冶師だ。


案内された場所は、想像通りの鍛冶場だった。

でっかい炉があり、山のように積まれた石炭、持ち上げれる気がしないハンマー、全てが想像通りでわくわくした。

これだよこれ、冒険者ギルドとは全然違う。

テンションがバカみたいに上がってきたぜ。


「おう、お前らが受講者か。ここで教えるのはあくまでも基本だからな?やりかたなんざたくさんある、自分なりのやりかたを見つけるのも一流になる為に必要なことだ。覚えておけ」


おー、ムキムキマッチョメン。

テレビでボディビルダーの特集をやってた時に見た人たちと同じような筋肉をしてる。

ドワーフ的なのを期待してたけど、これはこれでいいな。


「よろしくお願いします」


「あん?ああ、俺にそんな礼儀正しく接する必要なんぞないからな?そんなもんに気を使うくらいなら覚えることに集中しろ」


「まじか。おっさんいいおっさんだな。あ、俺尻尾9本あるんだけど大丈夫?鍛冶場に立てないとかない?邪魔だから諦めろとか言うんなら先に言ってほしいんよ」


「はっはっはっはっ、お前良い根性してるな。そう言う奴ほど伸びる。安心しろ、ここの工房は広い。まぁ、場所によっては狭いから大変かもしれないけどできないってことはない」


「っしゃ!テンション上がるぜ」


小さくガッツポーズをする。

尻尾でも喜びを表現するが、黒猫に邪魔の一言で叩かれる。

いいじゃんこれくらい・・・。


「よし、最初に簡単な説明をするぞ?鍛冶師の仕事は金属を加工することだ。武器や防具を作ることが仕事じゃないからな?金属を加工するならなんでも鍛冶師の仕事になる。んで、加工方法は大きく分けて2つ存在する」


「スキルと実際に金属を打つとか?」


「正解だ。まずはスキルの方を説明するぞ?こっちは簡単だ、設計書と材料を揃えてスキルを使うだけで完成する」


「設計書は誰が作るんですか?」


「知らん、そんなもん誰でも作れる。無理なら出来る奴に頼め」


「ですよねー」


「スキルで作る場合の利点は、設計図さえあれば誰でも作れること、品質が安定していること、大量生産が可能なこと、完成まで時間がかからないことだな」


「スキル使ったらすぐ完成?」


「物によるが・・・、あー・・・まぁ、うん。1分以上かかるもんなんぞ見た事ないな」


1分・・・なるほど、かなり早いな。

しかも、同じ品質で同じものを大量に作れるってのはいい。

設計図の書き方とか一切知らないけど、図書館で後から調べればいいか。


「実際に金属を打つ方だが・・・あー・・・うん、あれだ。お前ら、そこのハンマー持てるか?」


指差された方向を見る。

俺の身長と同じくらいのハンマーが何本かある。

一番小さくて軽そうなのですら俺の腰くらいまであるぞ・・・。


「無理です」


「実は見た目が大きいだけで軽いならいけます。見た目通りの重さなら無理です」


「見た目以上の重さだ」


「実際に打つのは諦めます」


「まだ早いぞ?鍛冶師の腕輪ってのがあってな、一時的に腕力が大きく上昇するんだよ」


「おー・・・それを使えば俺たちにもあのハンマーを使えると」


「その腕輪くっそ高いけどな」


「・・・おいくら万円?」


「ただ買うだけなら1000万だな。素材が結構貴重なものを使ってるし作るのも難しい。値段もそれに相応しい値段になるんだよ」


1000万・・・。

俺の手持ちは最初に貰った1万から喫茶店での飲み食い分を引いた額だ。

足りるわけがない・・・。


「あー・・・やっぱり無理っすわ」


「だろうな。まぁ、ここで実際に金属を打ちたいなんてのは物好きの部類に入る。普通の奴ならスキルで作るだけで事足りるな」


「ちなみに、実際に打つメリットは?」


「ん?そうだな・・・、本人の技量次第でどんな性能でも持たせることが可能ってことだな。スキルじゃ絶対に作れないものでも作れるって言えばわかりやすいか?」


なるほど・・・、エンドコンテンツに分類される武器や防具はスキルじゃ無理ってことか。

他にもメリットはありそうだけど、エンドコンテンツを作れるって言うならこれくらいのデメリットが存在するのは当然だろうな。


「まぁ、腕輪を手に入れるか、あのハンマーを持ち上げれるくらいトレーニングするかどっちが早いかは知らん。が、詳しくは実際に金属を打つ時に説明してやるよ」


「多分一生ないと思います」


「同じくないと思います」


「ちったー頑張れよ。じゃあ、スキルの方を実際に練習してもらうぞ」


そう言って、ムキムキマッチョメンが隣の部屋に移動した。

俺達も付いて行くと、さっきの鍛冶場っぽい部屋とは全く違う、普通の部屋があった。

・・・うん、ここってあれだろ?会議室とかだろ?


「あー・・・あれだ。ここには設計図が置いてあるだけだ。ここでやらせる訳じゃない」


「・・・ですよねー。いやー、ここまで期待させておいてそれはねーよって思ったよ」


「だよなー。こんな鍛冶場っぽくない場所で鍛冶をやるとか驚きだよ」


「ここでも出来るんだけどな?まぁ、きちんと説明するから、そこにある設計図の中から好きなのを選べ。それを今から作ってもらう」


え?会議室で出来るの?

それって本当に鍛冶なの?

このゲームって所々おかしくない?


気を取り直して、設計図を見る。

各種武器や防具の設計図が置いてある。

・・・あれだな、ここは少し相談してみよう。


「すみません」


「ん?どうした?」


「俺、椅子を作りたいんですけど・・・その設計図とかってあります?」


「椅子だと?なんでそんなもん作りたいんだ?」


「背もたれが邪魔で座れないんですよ」


「尻尾が邪魔での間違いだろ」


「うっさい!」


黒猫のツッコミが入る。

俺の美しく気高い尻尾が邪魔なんて認めない。


「椅子か・・・、ちょっと待ってろ、探してくる。背もたれがないやつでいいんだな?他はなんか要望とかあるか?」


「んー・・・特にないです。あれば今度自分で作ります」


「そうか。待ってる間はそこの設計図でも見てろ」


ムキムキマッチョメンが俺の為に設計図を探しに行ってくれた。

案外対応してくれるもんなんだな・・・。


「初めての鍛冶場、初めての鍛冶、作ったものは?椅子です。お笑いだろ」


「うっさい。俺にとっちゃ座れないことの方が問題なんだよ。昨日の役場・・・じゃない、冒険者ギルドだってそうだろ。めっちゃ前の方に座ってたからな?」


「知ってる。ちょっと辛そうなのが面白かった。まっ、俺には関係ないな。俺は自分で使う用の剣を選ぶとしますかね」


腹いせに黒猫の邪魔をする。

視界の端で尻尾を揺らしたり、別の武器の設計図を渡したりした。

当然の如く、黒猫は怒るが先に挑発したのはあっちだ、謝らないぞ。

そうやって遊んでいると、ムキムキマッチョメンが戻ってくる。


「ん?騒がしいがどうかしたのか?」


「大丈夫でーす」


「そうか、ならいい。ほら、椅子の設計図だ。ここにあるのはそれくらいしかないからな」


「あざーっす」


設計図を見る、と言っても3枚しかなかった。

その中から座りやすそうな椅子を選ぶ。


「二人とも選んだな?では、移動するぞ」


案内されたのは鍛冶場と言うよりも、工作部屋と言った方が正しい気がする部屋だ。

最初の炉がある部屋に比べるとなんかあれだけど、ここでも充分だな。


「さて、設計図に書いてある材料を自分で選んでくれ。どれも似たような質だけど、自分で全部選んだほうが愛着が沸くからな」


言われた通りに、材料を選ぶ。

見た目以上に重い金属だったり、変な色してる金属だったりと、色々あって面白かった。


「では、スキルを教える。クラフト、だ。これは生産職共通のスキルでな、どの生産職であってもこのスキルを使うんだ。まぁ、どの生産職でも設計図とスキルを使うってのは同じで、取り扱う材料が違う程度だから、ここで学べば後はどこも似たようなことしかしないな」


マジか、スキルは全部一緒なのか・・・。

ちょっと残念だな。

ここの運営は地味に要所要所で手を抜いてる気がする。


「じゃあやってみろ」


「クラフト」


設計図とその横に置いてあった材料が光る。

そして、ぼわんって音が聞こえてきそうな煙とともに完成品が出来上がる。

違う・・・コレジャナイ、コレジャナイヨ。


「・・・うん、お前らの求めているものは理解できる。が、それしか無理だ。どうしても、と言うなら頑張って腕輪を買うんだな」


「・・・ちょっと頑張ろうって思いました、はい。」


「おう、頑張れよ。さて、一応流れは全部説明したし、これで終了だ。何か質問はあるか?あ、作ったものは持って帰っていいぞ」


「んー・・・スキルがコレジャナイ感満載なのを除けば特にないです。ありがとうございました」


「同じく、コレジャナイって思いを除けばないです。ありがとうございました」


「それは俺に言われても無理だな。若いの、頑張れよ」


テンションの上がり下がりが激しかった鍛冶師の訓練。

あれか?コレジャナイって思うなら頑張れよって運営からの試練なのか?

どっちにしろ、鍛冶に対するやる気が減ったよ・・・。




次の更新予定日は 08/28 0:00です

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