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幼馴染を実の姉にNTRされ絶望のどん底にいた女の子を拾った俺は、全力で幸せにすることにした  作者: 夜空 叶ト


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第9話 刹那の初登校

「初めまして。今日転校してきた広隆寺刹那です。わからないことが多いので皆さん教えてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします」


 丁寧な仕草で刹那はぺこりと頭を下げる。

 クラスメイトの反応もそこまで悪くないようで安心した。

 まあ、何人かは苗字が広隆寺な事に疑問を抱いているらしいけどそれは追々説明すればいいだろう。


「はい、じゃあ広隆寺はあそこの窓際の席に座ってくれ。広隆寺春斗の隣の席だな」


「わかりました」


 刹那はまっすぐ指定された席に座る。

 隣の席にまでなるとは思ってなかったけど、俺としては嬉しいしありがたい。

 近くに居たほうが何かとフォローしやすいし。


「改めまして、これからよろしくお願いしますね。春斗さん」


「こちらこそよろしく頼む。何度も言うようだけど、問題が起こったら遠慮なく言ってくれ」


「はい。遠慮なく頼らせてもらいます」


 ニコッとまるで太陽のようにまぶしい笑みを向けてくれる。

 家の養子になって、転校して環境が変わったことが刹那にとっていい影響になっているのだと信じたい。


「じゃあ、転校生の紹介も終わったことだしホームルーム始めるぞ」


 担任の教師がキビキビと今日の連絡事項を伝える。

 クラスメイト達は真剣にその話を聞いている。

 何人か刹那のことを見ているけど、そのほとんどが男子生徒なのだから俺の気も中々休まらない。


「にしても、最近は楽しいな」


 前まで、というか一年生の頃は学校に居て楽しいと思うようなことはほとんどなかった。

 毎日が作業のようなもので、退屈で仕方のない日々だった。

 まるで世界が灰色かのような面白みのない日常。

 それが刹那と出会ってから変わった。世界が色づいて見えるようになった。

 担任の話を真剣に聞いている刹那の横顔を眺めているだけでも楽しいのだから不思議だ。


「は、春斗さん。そんなに見つめられると凄く恥ずかしいんですけど……」


「ああ、悪い。見惚れてた」


「も、もう。そうやってすぐに茶化すんですから」


「茶化してるわけじゃないんだけどな」


 刹那は頬を朱色に染めて少しだけ眉をひそめながら抗議してくる。

 少し怒った顔も可愛いのだから美少女と言うのは凄い。

 まあ、これ以上言っても刹那を本気で怒らせかねないので一言謝って素直に俺も担任の話に耳を傾ける。


「まあ、もう新学期が始まって一週間が経っているわけだからそろそろお前たちも落ち着きが出てきたころだと思う。これからもその調子で頼む。じゃ、解散」


 担任が淡々と閉めてホームルームが終わる。

 この担任は熱血過ぎず、しかし生徒が困っていると手を貸してくれることで評判の先生だから担任になってくれたのはありがたい。

 刹那の事で困ったら相談してみることにしよう。


「ふぅ、特に何か言われるような事はなかったな」


 一応学校に連絡は入れていたとはいえ、一週間も学校を休んでいたから何か小言でも言われるのではないかと覚悟をしていたのだが、そう言うことが無くて一安心だ。


「ハル~課題見せて~」


「お前な……そもそも一週間休んでたんだからどんな課題が出てるかなんて知らないっての」


「あ!? そうだった。ど、どうすれば」


「諦めてお縄につけ。お前も頭は悪くないんだから少しは真面目に取り組めよ」


 紅葉はかなり頭が良い。

 だけど、持ち前のめんどくさがりな性格のせいで全くと言っていい程勉強をしないのだ。

 そのくせ、中間考査や期末考査で上位の点数を取っているんだから質が悪い。


「そんなこと言わずに助けてよ~」


「紅葉さん、課題はしっかりしないとダメですよ。私も課題の範囲を知らないので助けて差し上げることが出来ませんし」


「壮太はやってないのか?」


「ハルはあいつが課題をやってると本気で思ってるの?」


「……」


 壮太は頭は悪くない。悪くないのだが、紅葉と同じかそれ以上にめんどくさがり屋で不真面目なのだ。

 だから、あいつが課題をやってきている未来が全く想像できない。


「素直にやるか諦めろ。俺と刹那はまだ授業を一回も受けてないんだからな」


「栄富学園の授業は難しいと聞きますけど、どうなんですか?」


「う~ん、複雑なことをやっているとは思うけどそこまで難しいと感じたことは無いね。めんどくさいってだけ。ね、壮太」


「ああ、俺は授業中ほとんど寝てるからわかんねぇや。力になれなくて申し訳ない」


 壮太は全く悪びれた様子もなく普段から寝ていることを宣言していた。

 教師に聞かれれば問答無用で張り倒されそうな事を言っているけど、幸いなことに今この場に教員はいない。


「いえ、お気になさらないでください。自分で受けてみればすぐにわかる事ですから」


「わからないこととかがあれば、すぐに言ってくれよ? 隣にいるんだからすぐにフォローする」


「ありがとうございます。なんか、こういうの良いですね」


「何が?」


「いえ、なんだか守られてる感じがするな~と思いまして。昔から誰かに守られるとかそう言う経験があんまりないので嬉しいです」


 ニッコリと可愛らしい笑みを浮かべる彼女はまるで妖精のようで本当に美しかった。

 これをクラスの他の男子に見せるのはなんだか癪な気がしないでもないけど、刹那が自然にこういう笑みを浮かべられるようになっているのであれば俺としては非常に嬉しい。


「そ、そうか」


「ああ~ハルが照れてる! 珍しい」


「本当だな。顔が真っ赤だ」


「お前ら黙れ」


 変に茶化されながら俺たちの休み時間は過ぎていく。

 刹那の登校初日にしてはかなり良い出だしではないのだろうか。

 それと、授業に関してだけど秋雨高校とはレベルがかなり違うらしく刹那があわあわしていて凄く可愛かった。



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