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幼馴染を実の姉にNTRされ絶望のどん底にいた女の子を拾った俺は、全力で幸せにすることにした  作者: 夜空 叶ト


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第22話 犯人の判明と、地獄に叩き落す準備

「久しぶりだね。春斗くん」


「お久しぶりです桜元おうげんさん」


「お久しぶりで」


「ああ、そこまでかしこまらなくてもいい。それよりも紅葉の容体は?」


 朝になり紅葉の父、源家の現当主の桜元さんがやってきた。

 紅葉と同じ甘栗色の髪に深紅の瞳。

 だが、紅葉のように柔らかい雰囲気はなく常に威厳を放っている。


「命に別状はないそうです。痕になるような傷もないと」


「そうか。それは良かった。それで、誰がこんなことをしでかしたかわかるか?」


「いえ、まだそこまでは。今日から調べようと思っているところです」


「そうか。わかった。何かわかったら連絡してくれ。こちらも何か掴んだらすぐに連絡する」


「わかりました。それでは自分たちはこれで失礼します」


「ああ。こんな時間まで紅葉の看病をしてくれてありがとう。壮太君もね」


 桜元さんはにこりとぎこちない笑みを浮かべてから紅葉の手を握りなおす。

 俺は壮太を連れて一度病室を後にした。


「そんで? お前はこれからどうすんだよ」


「一回家に帰って普通に学校に行くさ。犯人がいるとしたら学校関係者だろうしな」


 学校の屋上でリンチが行われたのだとしたら学校関係者くらいしか思い浮かばない。

 まだ断定するわけにはいかないが。


「だな。俺も探りを入れてみるがあんまり期待しないでくれ。そういうのは苦手なんだよ」


「知ってる。まあ、何かあったら頼るかもしれない」


「おうよ!」


 こうして俺たちは別れてそれぞれの家に向かう。

 今日から忙しくなりそうだなと、そんな予感を抱きながら。


 ◇


「ただいま」


 まだ朝方だから誰も起きていないだろうと思っていたが、違ったらしい。


「おかえりなさい。春斗くん」


「ただいま刹那。随分早起きだね」


「いえ、なんだか胸騒ぎがして眠れなかったんです。無事で何よりです。春斗くん」


「大げさだな。なんだか俺が戦地から帰ってきたかのような反応じゃないか」


「当たり前です。だって、爽夏さんにあんな遺言みたいなことを伝えられたら心配にもなりますよ」


 むぅっと頬を膨らませて、刹那は俺のことをポカポカと叩いてくる。

 力は全く込められていなくて、痛みは無かった。

 なんと可愛らしい生き物なのだろうか。


「ごめんって。そんな他意は無かったんだけど。心配をかけて悪い」


「本当です。私のそばからいなくなったら嫌ですからね」


「いなくならないって。それにこうして心配してくれる婚約者がいるんだし」


 刹那の頭を撫でながら彼女に微笑みかける。

 俺がこう思っているのは本当だ。

 刹那を心の底から幸せにするのが俺の目標だ。

 そんな彼女を悲しませるようなことは絶対にしない。

 それが俺の中の誓いなのだ。


「そうやってすぐにごまかすんですから。で、何がったんですか? 今の春斗くんは凄く怖い顔をしていますよ」


「……いろいろあったんだ。今は詳しく話せそうにない」


「そうですか。分かりました。話せるようになったら話してくださいね」


「……踏み込んで聞いてこないのか?」


「聞いてほしいのですか?」


 ニコリと首を傾げながら刹那は俺のことを抱きしめてくれる。

 普通は踏み込んで聞いてくるものだと思うけど。

 刹那はそうじゃなかった。


「いや、言いたくはないけど」


「じゃあいいです。春斗くんが私に隠し事をしてる時は大体私のためか、もしくは話せない事情があるかのどちらかだと思っていますので」


「本当に君は理解のある婚約者だね」


「まあ、私は春斗くんのことを信用していますからね」


 ここまで全幅の信頼を寄せられると、恥かしいやら照れくさいやら。

 だけど、全く悪い気はしない。

 むしろ嬉しいくらいだ。


「ほんと、大好きだよ刹那」


「私も好きですよ。春斗くん」


「あの~玄関でそこまでイチャイチャされると、私出かけられないんですが?」


「そ、爽夏さん!?」


 刹那と玄関で話していると、後ろからジト目で見つめられる。

 いや、睨まれると言った方が正しいかもしれない。


「ま、無事で何よりです。兄様」


「ありがとう爽夏。でも、なんでこんなに早起きを?」


「少し用事があって。で、今から出かける所です。そのまま学校に行くので私の事はお気になさらず」


「わかった。気を付けて行ってくるんだぞ」


 爽夏は機嫌がよさそうに家を出て行った。

 こんな朝早くからどんな用事何かと思わなくもないけど、爽夏には複数のボディーガードが陰から見守っているから何もないと思う。


「春斗くんはこれからどうしますか? まだ学校までは時間がありますし、少し眠ったほうがいいのでは?」


「そうさせてもらおうかな。流石に眠い」


 ほとんど一睡もしてないから眠気が半端ない。

 意識が途切れ途切れだし、思考があまり回らない。


「はい。では、朝になったら起こしますね」


「いや、一緒に寝よう。刹那も一睡もしてないんだろ?」


「それはそうですけど、学校はどうするのですか?」


「一日くらいサボっても良いだろ」


 それに、今の学校にあまり刹那を連れて行きたくない。

 何が起こるかわからないし、何かが起こったときに助けに入れるかわからない。

 今日の所は休んで、昼過ぎくらいに紅葉の見舞いに行きたいと思う。


「えぇ~」


「嫌か?」


「嫌ではないですけど。まあ、確かに一日くらいは良いかもしれませんね」


「じゃ、寝に行こう。そろそろマジでしんどい」


「どっちの部屋で寝ますか?」


 首を傾げて聞いてくる刹那にドキリとしながら、俺は途切れそうになる意識を何とか繋ぎとめて答える。


「俺の部屋にしよう。女の子の部屋ってなんだか緊張するし」


「私も男の人の部屋は緊張するのですが」


「じゃあ、刹那の部屋にするか?」


「いえ、春斗くんの部屋でお願いします」


 刹那と二人で俺の部屋のベッドに入る。

 普通であれば、緊張しておかしくなりそうな所ではあるが今はそれどころじゃなかった。

 とにかく眠い。


「春斗くん、なんだか可愛いです」


「そうか?」


「はい。なんだか、凄く愛おしいです」


「そう言ってもらえると嬉しいな。お休み刹那」


「おやすみなさい春斗くん」


 こうして俺たちは向かい合って眠った。

 刹那と一緒に寝るのは初めてだが、こうして刹那の体温を感じながら眠るのは心地いい。

 問題は山積みだが、今はこの温もりを噛みしめたいと思う。


 ◇


「それで、お前は学校をサボったってわけか?」


「まあ、そうだな。申し訳ないと思っている」


「別にいいけどよ。ハッキリ言って学校に行っても調べようもなかったからな。紅葉に誰にやられたかを聞くのが一番手っ取り早いんだよな」


「紅葉さん何があったんですか?」


 三人で紅葉の病室で落ちあい病室に入る。

 そこには、ケロリとした表情でリンゴを食べている紅葉の姿があった。


「元気そうだな紅葉」


「あっ! ハルじゃん。それに壮太と刹那ちゃんも。わざわざお見舞いに来てくれたに?」


「当り前だろ。俺たち幼馴染なんだから」


「そうだぜ。春斗はマジで心配してたんだからな」


「おい、お前も似たようなもんだろ」


 心配してたのは本当だけど、本人の前でばらされるのはやはり照れくさい。

 それに、壮太も同じくらい心配していたくせに。


「だ、大丈夫なんですか!? 紅葉さん」


「大丈夫大丈夫。これくらい大したことないって。それよりも心配かけてごめんね」


「いえ、謝られるようなことではありませんよ。でも、いったい何が?」


「あはは~ちょっとドジ踏んじゃってね。そこまで大した怪我でもないからあと数日で退院できるって」


 外傷は大したことないかもしれないけど、俺は紅葉を傷つけたことが許せないのだ。

 絶対に犯人を見つけ出して地獄を見せる。

 それで俺は楽しくゴールデンウイークを迎える。

 そのために、全力でどんな手を使ってでも俺は犯人を見つけ出す。


「そうか。それは良かった」


「だな。じゃあ、俺は飲み物でも買ってこようかな。刹那さん付き合ってもらっても?」


「え、あ、はい。大丈夫ですけど」


「じゃ、適当にいい感じの飲み物買ってくるわ」


「い、行ってきます」


 壮太は刹那を連れて病室を出て行った。

 きっと気を使ってくれたのだろう。

 これから話す話をあまり刹那には聞かれたくなかったからありがたい。


「それで、誰にやられたんだ?」


「……何のこと?」


「下手なごまかしはするなって。あの状態のお前を一番に見つけたのは俺なんだから」


「だよね。流石に隠せないよね」


 紅葉は諦めたようにため息をついて話し始める。


「ちょっと前に刹那ちゃんの噂を流してる人たちを探してたじゃん?」


「ああ、それで流してるやつが分かったって教えてくれたよな」


「そう。でも、私がハルに告げ口したのがバレたらしくって。屋上でリンチにされたってわけ」


「じゃあ、犯人は……」


「ハルの予想通り西宮さんとその取り巻きたちだよ。まあ、男子がいなくて助かったかな。下手したらあたしもっとひどい目に遭ってたし」


 紅葉はケラケラ笑いながら言う。

 全然笑えないし、笑っていい事でもないと思う。


「わかった。犯人が知れただけで十分だ」


「何する気なの?」


「報いを受けさせるだけさ。それ以上はしない」


 そう、絶対に報いを受けさせる。

 そう決めた俺はそれ以上この件については言及をせずに、紅葉と普通に会話をした。

 心の中ではどうやって犯人たちを地獄に叩き落すかを考えながら。


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