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幼馴染を実の姉にNTRされ絶望のどん底にいた女の子を拾った俺は、全力で幸せにすることにした  作者: 夜空 叶ト


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第21話 変わり果てた紅葉

「はぁはぁ、クソ。一体どこにいるんだ」


 学校周辺の人気のない場所は大体探した。

 だけど、紅葉は見つからなかった。

 ただ単に俺の考え過ぎというだけならいいのだが。


「後は……学校か」


 視界に入ったのは俺がいつも通っている学び舎であり、俺が最近抱えている問題の発生点。

 学内には複数の監視カメラが設置されている。

 そんな中で変な事は起きないと思うが、ここまで来たら疑念を晴らしておきたいな。


「確認しない理由もないな」


 俺は学校に足を向けて走り出す。

 一通り周りを見て、校舎内に入る。

 人の気配は無くなっており、校舎内は閑散としていて少し暗くなってきていることもあって不気味さを感じてしまう。


「気のせいか?」


 何故、こんなにも不気味に感じてしまうのか。

 わからないが、ここで悩んでいても仕方がない。

 校舎中を探し回ってほとんど何も問題がないのを確認して家に戻ろうとする。


「屋上を見て無かったな。ここまで来たらとことんか」


 日は完全に落ちきっていて辺りは暗くなっている。

 スマホのライトをつけて屋上を照らす。

 そこには、倒れこんでいる紅葉の姿があった。


「紅葉!?」


「……」


 返答が帰ってこない。

 体が上下していることから呼吸はしてはいるのだろう。

 だが、それ以外の情報がわからない。

 救急車を手配して、紅葉に駆け寄る。


「何があった……なんて聞くわけにはいかないな。それに意識無いしな」


 外傷はいたるところにある。

 顔も腫れてるし、唇が切れて出血もしている。

 誰かに殴られた痕だな。

 制服は乱れているが、脱がされたような痕跡はない。

 そこは安心するべきか。


「だから、無理をするなと言ったのに」


 紅葉の甘栗色の髪を撫でながら、できるだけ優しい声音で告げる。

 この傷を見るに、複数人から暴行を受けたことは確かだ。

 だが、その実行犯が一体誰なのか。

 そこまではわからない。


「だけど、俺の幼馴染に手を出したんだ。実行犯には絶対に報いを受けさせる」


 どいつだろうが、関係ない。

 絶対にだ。

 俺はボロボロの紅葉を抱きかかえながら、救急車の到着を待つのだった。


 ◇


「爽夏、今日帰れなくなりそうだ」


「何かあったの?」


「ああ。詳しくは帰ってから話すけど、今は話せそうにない」


「わかった。何があったかわからないけど気をつけてね。今の兄様の声凄く怖いから」


 自分では意識して無かったけど、今の俺の声は怖いらしい。

 まあ、凄くイラついてるからってのもあるのか。


「ありがとう。それと、刹那に伝言を頼めるか?」


「もちろん。なんて伝えればいい?」


「愛してるって伝えててから」


「なんか死亡フラグみたいだけど。わかった。伝えとくね」


「ありがとう」


 電話を切ってすぐに紅葉の病室に戻る。

 体の至る所に打撲や擦り傷が見つかって包帯でグルグル巻きになっている彼女の姿はとても痛々しかった。


「骨とかが折れてなくてよかったよ。本当に」


 眠っている紅葉の手を握りながらボソリと呟く。

 話によれば、痕になるような傷も無かったらしい。


「おいおい、婚約者いる男がそんな事してていいのかよ」


「茶化すなよ。今、そう言う時じゃないだろ」


「……だな。悪かった。俺も気が動転しててよ」


「わかってる。怒っちゃいないさ。それより来てくれてありがとな」


 病院に着いてからすぐに壮太に連絡を飛ばしたらここまで駆けつけてくれた。

 本当にいい幼馴染である。


「いいってことよ。紅葉は俺にとっても幼馴染だからな」


 ニカッと太陽みたいに眩しい笑みを浮かべてサムズアップしてくる。

 相変わらず少し暑苦しい。


「そんでよ、一体何があったんだ?」


「詳しくは俺にもわかんないな。だけど、状況的にリンチにあったんだろうな」


 人気のない屋上でこんな姿で倒れていたのだ。

 そう考えてもおかしくはないだろう。


「誰がそんなことを……」


 壮太は拳を握りしめながら俯く。

 俺も同じ気持ちだが、今ここで憤慨していても状況は一向に好転しない。

 であれば、怒りは抱きつつも頭は冷静にしなければならない。


「それを明日から調べる。今日はこのまま紅葉の病室にいるつもりだが、お前はどうする?」


「俺もそうするわ。このまま家に帰っても寝れる気がしないし」


「だよな。俺も家には連絡を入れてるし、もう少しで源家の当主……紅葉の父親が来てくれるそうだ」


「そうか。なら安心だな」


 それから俺たちは紅葉の父親が来るのを待ちながらそれぞれこれからどうするかについて考えるのだった。

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