第4話:スライムに勝てないわけッ!
第4話:スライムに勝てないわけッ!
なぜだ?なぜ効かない!!
スライムはプニプニしたその体を震わせている。
俺の蹴りもパンチも全然効いてない!
「これがダークの実力?」
ノエルが嘲笑ってきたので頭に血が昇った俺はついに叫ぶ。
「煉獄の深淵よ、我が掌に集え!焔獄の灼奏――今、解き放たれよ!」
「獄炎魔消弾!!」
しかし何も起きなかった。
(クソッ!俺の考えた最強の火炎魔法唱えてみたけど何も起きん!)
「やっぱ無理かぁぁ……癪だぜ。スライムに勝てないなんて」
するとノエルが仕方ないなぁとか言って信じられるか俺の考えた詠唱を唱え始めた。
(まさか……!!)
ノエルは目を瞑り右拳を宙に上げた。
「煉獄の深淵よ、我が掌に集え!焔獄の灼奏――今、解き放たれよ!」
詠唱中、獄炎のような炎がノエルの拳に集まり始めた。
(やっぱり……)
俺はそう悟り始めた。
「《獄炎魔消弾》」
ノエルの詠唱完了と共に半径60mはあるだろう獄炎の巨大な球がスライム……というかもはや草原そのものを襲った。
(やはり獄炎魔消弾はこの世界に本当にある魔法だッ!)
焼け野原となった景色の中、ノエルが振り返り笑顔を見せ一言。
「てへっ⭐︎」
「てへっ⭐︎じゃねぇよ……」
(しかもこいつ全然本気じゃねぇな……)
俺のやる気は完全に削がれた。
その後、俺が意気消沈してから数分後。
「驚いたよ。まさかダーク知ってたなんて」
「何がだよ?」
「火炎の究極魔術《獄炎魔消弾》だよ。詠唱まで完璧だったしノエルビックリしちゃった」
「ビックリしたのはこっちだわ……」
(まさか適当に作った俺の最強妄想魔法がこの世にあるなんてビックリだわ。あとそれを使えるコイツにも無論な)
突如、苛つきを露わにする二人組の男の声がした。
「おいおいッ!スライムどこにも居ねぇじゃねぇか!」
「なんか焼け野原だしどういう事だよ」
太った男と痩せた男がそこには居た。
柄が悪そうだ。
「おいそこの坊主と嬢ちゃん。お前らここで何があったんだ?この焼け野原は?スライムは?」
(言えないッ!隣の無駄に可愛いコイツが全てを焼け野原にしたなんて言えない!)
「ノエルがやったけど?なんか文句あるの?」
「あぁん!?こっちは依頼受けてんだわ。仕事の邪魔したのか?」
「うし。ドン!やっちまおうぜ!」
「ああ」
俺は身構えた。というか身構えるというか単純に震えてるッ!
ノエルをふと見ると首を傾げていた。
(余裕すげぇ……)
そして一言。
「スライム如きで大袈裟だね。そんな依頼大した事ないじゃん」
「「ああぁん!?」」
まずい!怖い!
俺は心の中で悲鳴を上げたがそんな中、俺と同じくらいの年齢と思われる青年の声が聞こえた。
「やめろ!その子に手を出すなッ!」
気づけば俺とノエルの目の前に赤と金色の高級そうなマントを背に掛け、何やら白銀に輝く剣を持った戦士(?)が立っていた。
「コイツは……まさか……」
モブ二人組の顔が恐怖と困惑に歪んでいくのがわかった。
「少しでも攻撃の意思を見せてみろ。容赦はしないッ!」
「ルビー・アルストだぁぁぁ!!」
なんかそう名前?を叫んで二人は逃げていった。
「大丈夫だったかい?君たち」
銀のバンダナを額につけ、やたら高級そうな赤と白の王子服を着た男がそこには居た。
一目で貴族か何かの地位にいる人種だと分かる感じの。
「助かりました♪ノエル怖かった〜」
ノエルは「演技かッ」って突っ込みたくなるレベルのぶりっ子をしたがそいつは表情一つ変えず真面目に「もう大丈夫だよ」とか言っていた。
俺は薄寒いこの茶番をぶち壊すべくさっき違和感を持った事をそいつに聞いてみた。
「ってかさ……?この世界に依頼を受けられるギルド的なシステムってあんの……あっ、あるんですか?」
かなりぎこちなくなった……
「え?ギルドを知らないの?め、珍しいね」
若干引きながらそいつは答えてくれた。
(よしっ!)
俺は心の中でそうガッツポーズを決めた。
その後、ノエルは相変わらずのぶりっ子をそいつに続けていて俺はめんどくさいので早く終わらせるべく「そろそろコイツと次の依頼があるんで」とか言って難を逃れた。
「おいノエルお前、何のつもりだ?さっきのやつ……ルビーって言ったっけ?アイツのこと好きなのか?」
「そんなわけないじゃん⭐︎いかにも王族っぽいし媚び売っといただけだよ。敵に回すとめんどいしっ」
「流石はノエル……」
その後、俺はさっきルビーが言ってた「ギルド」についてのことをノエルに言うのだった。
「それよりさ。俺、ギルド入りたいッ」
「……」
ノエルは少し考えた仕草の後に「別に良いんじゃない?」
と賛成。
異世界といえばギルドだよなって。
にしてもなんか嫌な予感が……
俺のその予感は見事に的中するのであった……




