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お飾りではなかった王妃の実力  作者: 鏑木うりこ


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第33話 全て無駄でもなかった

「シュマイゼル殿! 上手くやりましたな!」

「ははは! 勿論ですとも!」


 南に位置するフィーリー国国王フィル2世と奥方のルル様が突然マルグ城へやって来られました。


「アイリーン様もこの度は災難……? おめでとうございます、かしら?」

「ルル様……わたくしもとても不思議な感覚でございますわ」


 離婚を申し付けられたことは悲しむべき事なのですが、なんと言えば良いのか。ただ、ルル様はとても良い笑顔で笑ってくださいました。


「でもお化粧も素敵だし、その藤色のドレスも良くお似合いだわ。やっぱり緑は駄目ね、カエル色だわ。アイリーン様にカエル色は似合わないわ」


 嫌だわ、国外の方もカエルだと思っていらしたのね。その後、続々と近隣諸国の方々がマルグ城へやって来られました。


「あの、皆さまナザールと建国祭は……?」


 顔を見ればほとんどの方がナザールの建国祭に出席予定だった方々ではありませんか。今日は建国祭ですのに、何故皆様、ここマルグにおられるのですか??


「ナザールに用がないからですよ」

「シュマイゼル王を冷やかしたくて!」

「私達も遊びで国外に来ている訳ではないので。国の為になる行動をしたまでですよ」

「まあ……」


 皆様、ナザールは必要無いと仰られるのですね……あの国は大丈夫なのでしょうか? でもネリーニはわたくしより有能だと常日頃から言っていましたし、彼女の実家は公爵家ですから、きっと独自の繋がりがあるのでしょうね。


「それにしてもアイリーン様、シュマイゼル殿がお嫌なら我が国へ参られませんか?」

「それを言うなら我が国でも!」

「え、あの……」


 そのような事を言われても……。


「何を仰いますか、皆様。皆様にはもう素晴らしき伴侶がいらっしゃるではないですか! 婚約者も伴侶もいないのは私だけですよ?」


 凄く大きな声ではないのに良く通るシュマイゼル様の声が聞こえて来ました。それに各国の方々から笑いが溢れます。


「そうなんだよなぁ~。必ずアイリーン様をお迎えすると言って粘ったのはシュマイゼル殿ただ一人なのだよなぁ」

「我が国へおいで下さっても第二夫人の座しか用意できませんしなぁ」

「まあ、我々の負けですな。シュマイゼル殿が嫌になったら喜んでお迎え出来ますぞ?」

「そういう事です! 絶対にお心を掴んでみせますので、ご心配には及びません!」

「あらあら、大層自信がおありなのね?」


 くすくすとご夫人方の笑い声が聞こえますが、シュマイゼル様は気を悪くされた様子もなく


「ふふ、私はカエルより良い男ですからね?」


 と、言われるもので、お城は和やかな笑いに包まれました。


 エルファード様なら癇癪を起こして場を台無しに……なんてまた考えてしまい、頭を振りました。中々抜けない物ですね、長年の癖というものは。もう私には関係のない人の事ですのに。


「大丈夫よ、幸せで埋めて行けばいつか消えるわ」

「ルル様……」


 励ますように慰めるように優しく労って下さる。ナザールでの外交の日々は無駄ではなく、ここに生きているのだと少し嬉しくなりました。



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