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公爵令嬢ルイーサは、好きな人を追いかけて冒険者になった〜無自覚で無双して、気付けば有名になっていました〜  作者: ゆらゆうら


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ep4 公爵令嬢、誤解される

 グンショクダヌキとの戦闘を終えてから、ルイーサは足早に冒険者ギルドへと戻ってきていた。


 流石に今日はもう報告だけして屋敷に帰ろう。そう思っていたとき、ギルドの中がやけに騒がしいことに気づく。


(……? 何かあったのかな?)


 喧騒を横目に受付の元へと行くと、何やら中でも職員達がバタバタと走り回っていた。


「あのぉ……」


「あ!!」


 ルイーサに気づいたのは、朝対応してくれた受付嬢であった。茶髪の癖っ毛を横で一つに纏めていたあの受付嬢だ。


 ルイーサの顔を見た途端、青ざめていた表情が涙目へと変わっていった。

 そして、堰を切ったように泣き出した。


「ル、ル、ル、ルイーナさぁぁあん!!!! ご無事で良かったですうぅぅ……」


「え、あの、ちょっと、どうしたんですか!?」


 ルイーサの身体にしがみつき、泣き喚く受付嬢。ルイーサは、訳もわからないまま、ひとまず受付嬢を諭すように優しく声をかけた。


「あの、私は大丈夫ですから……ね? 何かあったのですか?」


 受付嬢は大粒の涙を拭いながら、ゆっくりと言葉を紡いでいく。


「うっ、うっ……実は、依頼書の更新を忘れていてっ……、本来、C級以上のものなのにっ……Fのままに、なっていたんですぅ……」


 それと自分に何が関係あるのか。そう口にしようとした時、ルイーサは勘付いた。


(あぁ、私が受けた依頼書がそうだったのね。なるほど、これで納得できる。なぜ王国騎士団があんなところに居たのかが……)


 受付嬢もルイーサが状況を理解したことに気づいたのだろう。眉を垂れ下げ必死に頭を下げて謝罪の言葉を投げ始めた。


「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!! 良かった生きていて!! ルイーナさん、弱そうだったから!! 死なせちゃったかと心配で心配で!!!!」


 余計な言葉も聞こえた気がしたけれど。なにわともあれ、こうして生きて帰ってきたのだから問題にはならないだろう。


 職員達もルイーサと受付嬢のやりとりを見て安堵した様子で作業に戻っていく。最初は何事かと周りにいた冒険者達も、なんだと言わんばかりに日常へと戻っていった。


「大丈夫でしたので、お気になさらないでください」


「うぅ……、本当に良かったです……」


 涙を拭いながら分かりやすくホッとする受付嬢。素直で可愛らしい、守ってあげたくなるようなその仕草にルイーサは自然と微笑んでいた。


「今回のグンショクダヌキの群れに遭遇しなかったのは、本当に幸運ですよ!!」


「いえ、遭遇しましたよ?」


 ルイーサの返答に、受付嬢はぽかんと口を開けた。涙は引っ込んだようである。大きな目をまんまるくさせて、ルイーサをじっと見つめ始めた。


「え……、え? じゃあなんで……」


 生きているのがあり得ないとでも言いたげな表情の受付嬢。余程ルイーサが弱く見えていたのだろう。その思いを隠そうともしない受付嬢の顔に、ルイーサは苦笑した。


 ルイーサの見解としてはこうだった。


 今回グンショクダヌキの群れだけでなく、長が出現したことで討伐依頼のランクがCまで跳ね上がってしまった。


 本来グンショクダヌキの群れだけであれば、当初の通りF級から受けられるはずのものが。


 しかし、長といっても弱個体だったのだろう。ルイーサの拙い攻撃魔法でさえ一撃だったのだから。


 だから冒険者に成り立てのルイーサでも倒すことができたのだ。


 そう、ルイーサは考えていた。


 それ故に、なぜここまで焦っているのだろうかと甚だ疑問に思っていた。まあ、結論は、それだけルイーサが弱そうに見えたということなのだろうが。


「王国騎士団の方とも遭遇いたしましたし、グンショクダヌキの群れは殲滅しましたので、もう大丈夫ですよ」


「殲滅……、え? ルイーナさんがですか?」


「はい。……えっと、確か討伐報酬は勝手に計算されるんですよね?」


 事前の説明で、魔物の討伐数は冒険者タグに付与された魔法により自動で計算されると聞いていた。仕組みはよくわからないけれど。


(……ん? 例えば誰かの手柄を横取りした場合だとどうなるんだろ……)


 まさかとは思うが、王国騎士団の戦いに割って入ったことで計算されない仕組みではないだろうか。そうであれば、今回の成果は一体だけ。長かもしれないあの一体だけである。


 そうであれば、あの必死の戦いはランクを上げる行為としては、無意味だったということだ。


(う〜ん、まさかね?)


 不安に思いながらもルイーサは受付嬢へと冒険者タグを手渡した。

 

 タグを受け取ってもなお、信じられないというような視線で受付嬢は機械をいじり始める。


「……………」


 そして、突如手を止めた。目を瞬かせ、無言で画面を見つめる受付嬢。


(やっぱり、横取りとみなされて反映されていないのかも……。嘘を言ってると思われても仕方がないか)


「あの……」


 ルイーサが弁解をしようと口を開いたその時だった。


「556体!!?? そ、それに長まで!!??」


 受付嬢の絶叫がギルド内に響き渡る。その声で、辺りにいた冒険者たちも何事かと注目し始める。そんな中、ルイーサだけは冷静に話を聞いていた。


(あ、やっぱり長も倒してたんだ)


「す、す、凄いことですよこれは!!!! ルイーナさん!! お、お強いんですね!!??」


「え? いや、今回の長はおそらく弱い個体だったのかと……」


「これは、前代未聞です!! 今すぐギルド長に報告してこないと!!!!」


「え」


 言葉を捲し立てるとそのまま受付嬢は奥へと去っていった。ポツンと残されたルイーサは、深くため息を吐いた。明らかに誤解されているのに対してどう弁解しようかと、頭を悩ませながら。


(はぁ……、私それほど強いわけではないんだけど)

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