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25話 うどんのこだわりと少女の決意

どきどきうどん品評会が終わる。

どうやらミツキ一家には認められたようだ。

俺はほっと胸をなでおろす。


「まあ、そもそも。そこまでうどんにこだわりないですからね」


イツカさんがそう言うとスゥさんが目を見開く。


「そうなんですか? 皆さん、こだわりがあるのかと……」

「はっはっは! まあ、確かにサヌキ村長のうどんは美味しいです。ですが、基本的に我々は名店のうどんを食べたいというより近くのうどんでいいんですよ。ですから、よく貴族様なんかに、名店を聞かれるんですが、答えようがないのです」


そう。俺もうどんは好きだが、食べる側としてのこだわりはそこまでない。

ただ。


「ただ、うどんじゃないものは許せませんけどね……!」


そう言ってイツカさんは急に殺気をただよわせる。


そう、その通り。


うまいうどんは食べたいがそれをこだわってわざわざ時間をかけて食べに行こうという発想はカガワ―ルの民にはない事が多い。だが、まずいうどんに対しては厳しい。

だから、それでないことが証明されて、俺はほっとしていた。


「いやあ、うまいうどんが食べて元気もやる気も出てきました! さ、何を致しましょうか!?」

「いや、といっても、今日はもう遅いですし、休んでください。今まで気を張りっぱなしだっただろうし。詳しい話は朝になってからで」

「……わかりました。では、お言葉に甘えて」


イツカさん達はクアケに案内されて部屋にみんなで移動していく。


「ふう。これでなんとかなりそうだな」

「そうね、悪い人ではないみたいだし、ねえ、グラ様?」

『んあ? おう……そうじゃのぉ、精霊の加護も感じられたし悪い奴じゃなさそうじゃ……』


ねぼけ眼なグラ様は、すうどんの匂いに惹かれてふらーっとやってきた。

そして、グラ様は精霊の加護というものが分かり、加護を受けている者は善い行いを積み重ねている者たちらしい。


「グラ様、食べ終わったのなら、寝ましょうか?」

『うん……寝るのじゃ……』

「サヌキは? まだ寝室に行かないの?」


すっかり俺も一緒に寝る前提になっているのが不安だが、ここで行かなくても何か言われるだろう。


「あー、俺は洗い物を済ませて、明日の朝食の準備を軽くしてから寝ます。明日は食うヤツいっぱいだし」

「そっか。でも、無理はせず早めに寝なさいよ」

「了解です」


スゥさんに手を引かれて寝室に向かうグラ様を見送り、案内してくれたクアケに礼を言い、俺は明日の朝食の下準備だけを済ませる。


「さて、と……寝るかな」


そう思って、色々諦めてスゥさん達のいる寝室に向かおうとした時だった。


「ん? ミツキ?」


赤髪が見える。ミツキがキッチンにやってきていた。


「あ、あの……」


赤い顔でもじもじしてる。ははーん。


「なんだ、まだ腹が減ってるのか? 悪いが、これは明日の朝用だから野菜まるかじりで……」

「ち、違います! おなかはもうおきとるけん! いや、いっぱいですから!」


ミツキは赤い顔で小さく叫ぶ。そして、深呼吸をして落ち着くと、意を決したように口を開く。


「あの、お礼としては貧相な身体かもしれませんが、どうぞおおさめください……!」

「は?」

赤髪の少女の直前の呟き「お礼としては貧相な身体かもしれませんがどうぞおおさめください……お礼としては貧相な身体かもしれませんがどうぞおおさめください……よ、よよよし!」



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