23話 赤毛の少女とじょんならん盗み
その夜の事だった。
「サヌキ、起きて」
スゥさんの声で目を覚ます。
「スゥさん?」
「侵入者よ、畑にいるわ」
「え?」
俺は急いで身支度を整え、外に出る。
全員で行こうかと思ったが、グラ様とサラダが熟睡していたのでそのままにしておいた。
まあ、グラ様がいれば大丈夫だろう。
っていうか、精霊も寝るんだな。
「こっち!」
「はい」
俺達が外へ出ると、そこには、野菜を盗もうとする盗人がいた。
「おい、お前何してる!」
「きゃ……!?」
きゃ……? もしかして……。
「女の子?」
そこにいたのは、赤髪の少女。
十代半ばくらいだろうか。
その手には、小さな籠を持っていた。
その中には、畑のトマトが入っていた。
「すみませんすみません! お腹が空いて、お腹が空いて、じょんならんかったけん……」
「じょ、じょんならんかったけん?」
スゥさんが赤毛の少女の言葉に首を傾げている。
ああ、なつかしいな……
「こっちの方言です。『じょんならん』は『どうにもならない』、『けん』は『〇〇だから』って意味ですね。だから、腹減ってどうにもならなかったからってことです」
女の子はこくこくと頷いている。
女の子の姿は見れば、ボロ布のような服を着ている。
靴なんて履いていない。
足も汚れていた。
そして、顔色が悪い。明らかに栄養失調だ。
俺は、そっと近づき、彼女の頭を撫でた。
すると、彼女はそれだけで泣き出してしまった。
よっぽど辛かったんだろう。
「君の名前は?」
「ミ、ミツキです」
「ミツキ、君は一人でここに……?」
「いえ、あの、」
言いよどむ彼女。
迷っているんだろう。
ただ、言ってもらわないとそれこそじょんならん。
「ミツキ、大丈夫。俺達は責めてるわけじゃない。話を聞きたいだけだ。もし君達が悪い人じゃないって分かったらごはんも準備する」
俺がそう言うとミツキは目を輝かせ、口を開く。
「実は私達の村は、今魔物に襲われたんです」
やっぱりか。これだけボロボロならそういう理由でもなければおかしい。
どこもおなじようなものなんだな。
「それで、お父さんとお母さん、お兄ちゃんとお姉ちゃんとか、家族と一緒に逃げてきたんです。でも、食べ物もなくて、皆おなかが減ってしまって……」
「だから、盗みをしたんだね。それは悪い事だけど……でも、そういう理由なら仕方ないかもしれない。みんなに来てもらう事は出来る? 出来ればお父さんと話がしたいんだ。大丈夫、悪い事はしないから」
俺は、優しく話しかける。
この子からは悪意を感じないし、きっと仲良くやっていける。
「……分かりました。呼んできます!」
「ありがとう。じゃあ、お願い」
彼女は頷くと走り出そうとする。
「待った、これ食べてから行きな。走るのにも体力いるだろう」
俺は、トマトを渡す。
「あと、こいつらも持っていってみんなで食べながら来ると良い」
そう言うとミツキは恥ずかしそうにこくこく頷いて、トマトにかぶりつき、一つ食べ終わると他を抱えて駆け出して行った。
「優しいですね」
クアケがそう言ってくれるが、なんというか似たような状況の人間を見て放っておけなくなっただけだ。
暫くするとミツキがかえってくる。だけど。
「お待たせしました!」
「あ、ああ、あの、ミツキ?」
「はい!」
「これ、みんな家族なの?」
物凄い数だった。
「はい! 全部で20人いるんです!」
「そっか……」
俺の前の前にミツキを含めた20人の団体さんがいた。
『とか』に含まれる数、多くないか?
そりゃ、腹減ってじょんならんわな……。
赤毛の少女の呟き「あの人、やさしかった。食べていきまいって、トマトを。やさしかった、な……ふふ」
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