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20話 マルガーメうちわとくんずほぐれず

「じゃあ、まずは、拠点の改装をしますかあ」


俺達は元は宿屋だったその建物を改装することに午後は費やすことに決めた。


といっても、そんな大掛かりなことをするつもりはない。


「スゥさん、とりあえず優先したいものを直していって下さい。優先順位はお任せしますので」

「分かったわ。じゃあ、まずは、拾ってきたものを出して選別しちゃいましょうか。サラダよろしく」

「はいっす!」


サラダは魔法空間を開くと、ぽいぽいと家具やら色んな道具を出していく。


『ふうむ、これだけの魔法空間とは……すばらしいのう』

「あはは! 精霊様に褒められると嬉しいっすね!」


サラダは照れながらも嬉しそうに笑い、どんどん物を出していく。

うん、いや、普通に凄いと思う。

これだけのポーターは世界探してもいないんじゃないだろうか。


「ん? これは……」


俺は汚れてボロボロではあるが、元は鮮やかな朱色だったであろううちわを手にする。


「それ、なんすか?」

「ああ、マルガーメうちわだな。知らないだろうけど、カガワ―ル地方って王国でのうちわの生産量一位で、王国で生産されるうちわの九割がマルガーメうちわだったんだよ」

「うちわで!? マジっすか!?」


金と書かれたそのうちわは、滅んだ今もなお形を留めていた。

流石だな。


この技術を復活させることが出来るんだろうか。

この村にだって色んな誇るべきものがあった。

少しずつ少しずつでも蘇らせていきたい。


俺はぼろっちくなったマルガーメうちわを手に自分の作業へと向かおうとするクアケに呼び止められる。


「サヌキ様、数日分のサヌキコウチンを取り終えました。次は何を?」

「おお、はええな」

「サヌキ様に褒められたくて頑張りました」

「そ、そっか」


息を切らせながら、汗だくでとってきたであろうクアケの忠誠心というかそういうのに驚く。


「ま、まあ、一度落ち着け。ほれ、風だ」


俺はマルガーメうちわで扇いでやる。ボロボロだけどないよりマシだろう。


「ふあ……ふふ、涼しいです」


目を細めて気持ちよさそうな顔を浮かべるクアケ。

こいつ犬っぽいんだよなあ。


「サヌキ様、もっと強く激しくしてくださってもいいんですよ、ああ、気持ちいい!」

「お、そ、そうか?」

「ちょちょちょちょっと! 何やってるの!?」


スゥさんが慌てて止めに入る。


「サヌキさん、セクハラはダメっすよ!」


サラダがぷりぷりと怒りだす。


「いやいやいや! 俺はただ扇いでいただけで」

「扇いだだけであんな声出るわけないでしょうが! こうやるだけでどうなったら声が出るんすか!? ええ!? どうっすか!? 出ないでしょ!」


そう言ってサラダが俺からうちわを奪い取り俺に向かって扇ぎ始める。


「ね、ねえ、サラダ……なんかうちわ光ってない?」


スゥさんがそう言うと、俺もサラダの持っているうちわがぼんやりと発光していることに気づく。


「うぇ? な、なんで?」

「なんかイヤな予感がする……サラダ、そのうちわ放っ」


その瞬間うちわが輝きを強く放ち、うちわから起きた風が吹き荒れ俺達を巻き込んでいく。


「なんだこれ!」

「きゃああ!!」

「これは!」


そして、気が付くと、俺とスゥさんとクアケがまた、もつれ合って転がっていた。


「あん! なんで毎度こうなるのよ!」

「ふふふ……サラダさん、良い仕事をしましたね」

「あ、あわわわ……スゥ様すみませんっすー!」

『ほっほっほ! さーびすさーびす』


スゥさんとクアケ、サラダ、グラ様がそれぞれをリアクションをしながら、俺は思った。


神様仏様お願いですから、穏やかな日々を送らせてください。


サラダの持った謎のマルガーメうちわを見ながら俺は溜息を吐くのだった。

戦闘奴隷の呟き「これだけこんな事が起きるとは、これは神が既成事実をつくれといっているのでは……?」



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[良い点] うどんが食べたくなる [気になる点] 魔術師ウドンは茹でている~スキル「白い紐生成」に目覚めた俺、侯爵家を追放されるが究極の味を目指して冒険の旅に出る。「頼むから戻ってくれ!」と言われても…
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