18話 ちびっこ土精霊とうどんの精霊
「さあて、じゃあ、今日は昼飯にしっぽくうどんでも作りますかね」
俺は、グラ様が生み出してくれた新鮮な野菜を見ながら腕まくりする。
グラ様は調理台に両手を乗せくりくりした目で俺を見上げながら言ってくる。
『しっぽくうどんとはなんじゃ? サヌキ』
「えっと、基本的にうどんってのはあまり具をのせないんですが、しっぽくうどんは冬に元気出すために、野菜をいっぱいのせてあるんです。大根やら人参やらゴボウやら……野菜いっぱい元気いっぱいのうどんです!」
そう言うとグラ様とスゥさんが目を輝かせて俺を見つめてきた。
『ほほう、それはうまそうじゃ!』
「いいわね! そういうのもあるのね」
二人はうどん大好きだからか、気が合うようだ。まあ、精霊とエルフっていうのもあるのかな。
「ということなので、多少下ごしらえに時間がかかるので出来たら呼びますんで」
「分かりました。では、わたしは肉となる獣がいないか探してこようかと」
『おお! それは楽しそうじゃ! 儂もいくぞ! クアケだったかの』
クアケはまだグラ様の対応に困っているようだが、何も言わずそのままついて行くことにしたようだ。
「じゃあ、私達は直せそうな家具を見繕って、拠点に持っていきましょうか」
「了解っす! どんどんワタシの収納魔法におさめていきましょう!」
スゥさんとサラダのいつものコンビは、さっきの道を戻って家具を取りに行く。
うんうん、なんだかんだで良い感じじゃないか、村づくり。
と、思っていた時期が俺にもありました。
「えーと、グラ様。何を連れて帰っているんですか?」
『うむ。この辺を縄張りとしている精霊じゃ。何やらうどんの精霊らしい。頭から脳が見えているが気にしないでくれとのことだ!』
「帰ってもらってください」
『何故じゃ!?』
俺の目の前には、白い姿の、頭から脳が見えている精霊。
俺の地元にも色々ある。勿論知ってはいるが触れてはいけない精霊だっている。
色んな問題で。
「あのー、あなたの好きなうどんもうどんのみみも出汁に浮いたねぎもお供えするので、帰って頂けますでしょうか?」
俺がそう言うとうどんの精霊はこくりと頷き帰っていった。
「ふう、危なかった。それよりクアケ。何かとれたか?」
「はい。これなんかどうでしょう?」
そう言って渡してきたのは、鳥のような生き物。
「……ほう、サヌキコウチンか。この辺で育てられていた鳥で、うまみと深みがすごいんだ。ありがとう、クアケ」
「いえ。頭を撫でて下さればそれでよいのですよ」
「おう、よしよ―――痛ッ!!」
「サヌキ殿!! 大丈夫ですか!?」
突然、頭に痛みが走った。まるで誰かに殴られたような……。
「ああ、大丈夫だ。だが、一体誰が…………あれ? グラ様??」
見れば、グラ様が頭を突き出している。
『儂も、撫でろ』
「あ、はい」
俺は素直に従い、グラ様の頭をなでる。
『ふふん、気持ちがよいの。やはりサヌキは最高の人間じゃのう』
「はい、当然です」
「えーと、あのー、あ、ありがとうございます」
本当に村長の仕事は頭を撫でることのような気がしてきた。
まあ、別にいいんだけど。
「あー! また頭撫でられてる!」
スゥさんが叫んでいる。
「私も撫でてよぉ~」
「いけません。スゥ様、わたしとグラ様はしっかりと仕事をしてきたから頭を撫でられているのです。ちゃんと仕事をしてきた証明を」
『そうじゃそうじゃ』
ふふんと鼻を鳴らしているグラ様だけど、結果的には何もしてないですからね。
「分かったわよ……サラダ、出して」
スゥさんがそう言うと、サラダは魔法空間から村の中で拾ってきた色んなものを取り出し始める。
椅子やら机やら、かなり厳選したのかどれも大分状態がいい。
「おお、凄いな……これは……こんなものまで……」
俺は思わず感嘆の声をあげる。
「ね、ね! 凄いでしょ! これを全部修理しちゃえばグラ様も含めてみんなの分が足りて新しい村人希望者が来た時にも対応出来るわよ!」
「確かに! スゥさん、すごいです!」
「でしょ! 撫でて!」
スゥさんが間髪入れずに頭を突き出してくるので撫でた。
まあ、こんな田舎だしなかなか新しい村人何か現れないだろうけど。
そんなことを考えてると視界にちらちらとこちらを見る少女。
「えーと、サラダもどうだ? 折角だし」
「……折角だし。お願いするっす」
じーっとこっちを見てたサラダもとてとてと歩いてきて俺の傍で俯いた。
サラダとスゥさんの頭を撫でながら、村長の仕事してるなあと実感していた。
ポーターの呟き「ちがうっすよ。これはみんなと合わせる為で。決して頭を撫でられたかったわけでは……ぅう……気持ちいぃ……」
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