15話 土に悩まされた
次の日、朝ごはんを食べた後、早速調査を開始することにした。
朝食は勿論うどんだ。サラダが嫌そうな顔をしたが気にしない。
腹ごしらえを終わらせ、廃村を探索する。
廃村は、みんなが思ったよりも広大だったらしい。
「広いっすね」
「そうね、でも、これならなんとかなりそうよ」
スゥさんが、そう言って笑みを浮かべる。
「そうっすね。これだけの家があるなら、食料はともかく、家具とかも結構ありそうな気がします」
サラダが同意を示す。
廃村には、家の残骸がたくさん転がっているが、どれも原型を止めているものが多く、中にはほとんど壊れていないものもあった。
そのおかげで、ある程度の家具は手に入りそうだ。ただ、
「畑は大分頑張らないといけなさそうっすね……」
サラダが溜息を吐きながら畑だった場所を見る。
そこには雑草が大量に生えている。
手入れなんてされてるわけがない。おまけに生えているのは大地の魔力を吸う事で有名な雑草だ。
スゥさんも顔を曇らせる。
「そうね、この辺りはもう、土ごと入れ替えないとダメかもしれないわね」
「よし、とりあえず、ここはひとつ課題という事で次に行きましょう」
といいつつも、この荒れ具合はヤバすぎる……。
俺は早速頭の痛い問題を抱えることになり肩を落とした。
村の中心らしき場所には大きな広場があり、そこには大きな木々が生えていた。
ここが村の中心部だった。懐かしい。
「ここは?」
「ここはリツリン広場っすね。元は王様とか訪れてゆっくりする所だったらしいんですけど、それも大昔の事で、俺らの頃には、ただのデカい広場っていうイメージでした」
「そう、とても素晴らしい場所だったんでしょうね」
自然と生きるエルフだからだろうか、スゥさんはここに何かを感じたらしい。
目を閉じて、大きく深呼吸をしている。
「……うん、いいわね。きっとここはみんなの憩いの場所となるわ。絶対に綺麗にしたい」
そう言って微笑む。
本当に素敵な笑顔だ。
『そのえるふの言う通りじゃ!』
「ん? 何か言いました?」
「いえ、何も。さて、じゃあ、次に行きましょうか」
「はいっす!」
サラダが大きく返事をし、先に進もうとしたところで急にサラダの足元の地面が隆起し、サラダがつんのめってしまう。
「サラダ!?」
「大丈夫ですか!?」
クアケと俺は慌てて駆け寄る。
「はい、大丈夫っす。びっくりしたっすが……」
どうやら怪我はないようだ。よかった。
しかし、一体何が起こったんだ? 周りを見渡すが特に異変はないように思える。
ただ、スゥさんがじっと一点を見つめていることに気付く。
「スゥさん、どうかしましたか?」
「ええ、ちょっと、ね」
そう言ってスゥさんは俺に近づき耳打ちをする。
「土魔法が使われた気配があるの」
スゥさんのその言葉に、俺は思わず目を大きく見開いた。
「本当ですか?」
スゥさんの目は真剣だ。嘘をついているようには見えない。
ということは、
「誰かいるってことですね」
俺の言葉にスゥさんがゆっくりと首肯した。
「ただ、全然気配が掴めないのよね……こんなこと初めて……」
スゥさんが悔しそうに呟く。
「サヌキ様、スゥ様、一旦此処を離れましょうか。いずれにせよこのままでは危険かと」
クアケの意見に賛成だ。
「そうだな。みんな行こう」
こうして、俺達は謎の人物がいるであろう場所から離れようとしたその時だった。
『待てというておろうに!』
突然声が聞こえた。しかも頭の中に直接響くような不思議な感覚の声だ。
そして、それと同時に、俺達の足元の地面が消え落とし穴みたいのが現れる。
「うおっ! なんだこれ!?」
「そんな、魔法の起こりを感知できなかったなんて!」
俺達は反応出来ずにそのまま地面に落下する。
どうやら落とし穴はすり鉢状に作られたらしく、俺達はゴロゴロと転がっていく。
そして、すり鉢状という事は俺達は中心に向かってみんなで転げているわけで……。
「ちょ、ちょっと、サヌキ! どこ触ってるの!?」
俺の右手がスゥさんのお尻を鷲掴みにしている。
柔らか……じゃない、不可抗力だ! 俺は心の中で叫ぶ。
スゥさんは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
ごめんなさい、わざとではないんです。そう言いたいのだが言えない。
何故なら、サラダのお尻が俺の顔の上に乗っていて、喋ろうものなら……。
「ひゃっ! んん、今、喋っちゃダメっすよぉ……」
サラダが顔を赤くして、普段絶対に聞くことないだろう艶っぽい声で俺に話しかけてくる。
俺も顔から火が出そうだ。
クアケに至っては、左手が思い切り胸を揉みしだいてしまっている。
いや、違うな。思い切り、クアケが俺の手をとって、自分の胸に押し付けてるのだ。
柔らかく温かい感触が伝わってきて、俺はパニックになりそうになる。
「ああっ……! サヌキ様、そんなに強く揉まれたら……ああん!」
いや、お前がやってるからと言いたいが言おうとすればサラダが悶える。
「……サヌキ、私の尻ももっと強く揉んでいいわよ」
いや、なんでだよ!
スゥさんのクアケへの謎の対抗心にツッコミたい、が、それも出来ない。
スゥさんが恥ずかしそうにしながらお尻を動かし押し付けながらも、口を開く。
「でも、本当にいきなりだったわ。こんな芸当出来るのなんて……都の魔導士でもほとんどいないわよ……しかも、気配を感じないなんて……ん? いや、もしかして……人、じゃない?」
その言葉に、全員がハッとする。
『ふふふ、ようやく気付いたか』
「ぷはっ! 誰だ!?」
俺達の前に女の子が現れる。
サラダより小柄で茶色の髪、緑の瞳、炭鉱夫のようだが女の子らしいワンポイントの入った服を着た可愛らしい少女だ。
一見すると普通の人間のように見えるが、よく見ると少し違和感を感じる。
「まさか、大地の精霊!?」
『ひょっほっほ! その通りじゃ! 大地の精霊ノームの娘、グラ・ノーム参上なのじゃ!』
腰に手を当てて、ふんぞり返っている大地の精霊は俺を指さし言った。
『お主……うどん一丁!』
はい、まいど。って、ええ!?
ポーターの呟き「ああっ! なんて恥ずかしい声を……! もうお嫁にいけねえっす!」
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