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13話 うどんを食う

「では、食べましょう。いただきます」

「「「いただきます」」」


俺は、両手を合わせて言う。

三人は、俺の真似をして言った。

教会式の祈りではなく、寺院式だったんだが、みんな合わせてくれた。

元々、クアケは基本的に俺に生活スタイルを合わせてくれていたから慣れたものだ。


「サ、サヌキの風習に合わせて行かないと、これから、ほら、ね?」


スゥさんがそんなことを言ってくれる。ありがたい。

郷に入っては郷に従え、ってやつだ。


ちなみに、俺とクアケは箸で食べるけど、スゥさんとサラダはフォークを使っている。

サラダは一瞬で諦めて、スゥさんは奮闘してたが結局食欲に負けた。


まあ、少しずつこっちの文化に慣れていってもらえたらと思う。


「クアケ、今日のうどんどうだ?」

「そう、ですね……」


クアケは、戦闘奴隷にも拘らず味にうるさいようで俺のうどんに対して忌憚ない意見を言ってくれるし、美味しさの表現も上手だ。だから、ついついクアケに聞いてしまう。スゥさんは美味しいしか言わない。それはそれで嬉しいんだけど。


クアケは、汁を飲み、うどんをちゅるりと口に運ぶと、こちらを向いた。

俺はわくわくしながら感想を待つ。


「この香り、今日のだしはカッツオですか?」

「おお、よく分かったな。そうだぞ」

「なるほど、カッツオブシの味が濃いめに出ていますね。それに、昆布の風味も強い。あとは、煮干しでしょうか?」

「すげえ……全部正解だよ」


今日は此処に来て初めてのうどんってことで多少豪勢で複雑な味に挑戦してみた。


「香りがとても豊かで素晴らしいです。そして、麺もコシがあって歯ごたえも良くて美味しいです。毎日食べたいです」


じっと俺を見つめながらそう言ってくれるクアケ。


「大丈夫だ。毎日食わせてやるよ」

「え……? あ、いや……その……あ、ありがとうございます」

「俺がこの村に居た頃もみんなして毎日、いや、時に三食全部うどんだったからな! それこそがカガワ―ル村だ!」


俺は胸を張って自慢する。

だが、何故かクアケはぽかりと俺を殴ってきた。


「何で!?」

「いえ、我が主ながら鈍感だなと思いまして……」

「はあ!?」

「クアケちゃん、どんまい」

「スゥ様……!」


スゥさんが、何かを悟ったような顔で、うんうんとクアケの肩を叩いている。

俺にはわからないが、どうやら二人は分かりあえたらしい。

俺は首を傾げるが、とりあえず食事を続けることにした。


ちゅるるるる。

ぴちゃぴちゃ。

ずぞぞぞぞぞ!


一本一本丁寧にとって啜るクアケ。

啜るのが出来なくて必死に口に運ぶサラダ。

そして、思い切り啜る俺。

三者三様の音を奏でながらうどんを食べる。


だけど、やっぱりこの人の音が一番うまそうだ。


ずずーっと豪快な音を鳴らすスゥさん。初めのころは恥ずかしがっていたが、俺が見本を見せると真似てやってくれて今では、俺と同じくうどんを『のんで』いる。


「はあああ、いや、不思議と美味しいんすけど、啜るってのが難しいっすね。っていうか、スゥ様のそのうどんをのむってなんなんすか!?」

「え? あ、これ? これはね、こうしてこうやって、ちゅるるるるるる!!!」

「うおおお!! 怖い! 怖いっすよ!」


スゥさんは、うどんをのどごしよく一気に吸い込んだ。

サラダは、スゥさんの勢いに引いている。


「これが、サヌキの地元では普通だって教えてもらったの。だから、頑張ったわ」


そう言ってスゥさんはこっちに向かって笑ってくれる。

こうやって、受け入れてもらえるのは本当に嬉しい。

そして、大騒ぎながらもみんなで食べるご飯はあの頃を思い出して……。

きっと俺達なら上手くいく。

明日からの村づくりに俺はワクワクし始めていた。


「んぐっ!」

「ああ!? クアケが! 無理してうどん飲むから喉詰まらせて!」

「ばかあ! 水飲め! 水!」


どたばたしながら、村での初めての食事を終えるのだった。

ポーターの呟き「なんで、あの鈍感うどんモンスターは、一緒が良いってスゥ様の乙女心が理解できないんでしょうか……」



読んでくださりありがとうございます!

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