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12話 うどんをつまむ

「じゃあ、うどん作り始めますかね」


俺は腕まくりをし、うどんの準備を始める。

麺は出来ているからあとは仕上げのみだ。

麺を茹で、来る途中で買った食材を刻んで具材にする。


「うどんの具に合う野菜とかも育てないとな」

「できた?」

「うお!?」


足音なく近づくスゥさん。

本気で驚く俺に、スゥさんは頬を膨らませる。


「そんなに驚くことないじゃない」

「いや、いきなりこんな美人が近くに居たら誰でも驚きますって」

「え……? び、美人? そう思う?」

「え、もちろん」


いやいや、散々【夜の翼】で美人美人と褒められているだろうに。


「えへへへへ、そっかそっか。サヌキは私を美人だと思ってるのかあ」


嬉しそうに顔を緩ませ、頬を染めるスゥさんが直視できず、俺はぶくぶくと沸騰した鍋を見つめる。


「ねえねえ、一口味見して良い?」

「え? ちょ!?」


スゥさんは、俺の制止を無視して、うどんを一本掴むと、そのままパクリと口に含んだ。

ちゅるりとうどんを吸い込むスゥさん。


「んんんんんん!!!!!!!」


スゥさんの体がビクンッとはねる。


「おいひい!やっぱり美味しすぎる!」


スゥさんは、もう一本美味しそうに食べると、俺の方を向いた。


「サヌキも食べてみてよ」

「え? ……じゃ、じゃあ」


俺は、恐る恐る手を伸ばす。

しかし、スゥさんはうどんを掴んだまま離さない。


「はい、あーん」

「えっ、あっ……」


戸惑っていると、スゥさんは、無理矢理俺にうどんを食べさせた。


「ね、美味しいでしょ?」

「……はい」


恥ずかしすぎて死ぬかと思った。

俺は、何とか気を取り直し、調理を再開する。


「サヌキ様……ワタシも……」

「ク、クアケ!?」


いつの間にかクアケが後ろにいて、後ろから抱き着いていた。


「私も食べたいです」

「わ、わかったから、離れろ」

「嫌です」

「わ、わかったから離れてくれ!」


俺は無理やり引き剥がし、急いで一本茹でたうどんを食べさせる。


「ど、どうだ?」

「はい! 凄くおいしいです。サヌキ様の味がします」


こわい。だが、口には出せない。


「そ、それは良かったな」


俺はホッとする。どうやら満足してくれたようだ。


「クアケばっかりずるい」

「スゥさんはいつもそれ言ってますよね!?」


スゥさんってこういう人だったんだ……。

まあ、別に悪いわけじゃないんだけどさ。

【夜の翼】に居た時は、もっと落ち着いていて女神って感じだったから意外だ。


「んん~? なふぃ?」


スゥさんがまたうどんをつまみながらこっちを見ている。

きょとんした美人エルフの顔は、とても可愛いかった。


「なんでもないですよ……っていうか、食べ過ぎです! 味見の量じゃないですよ!」

「だって、美味しいんだもん」


そう言われて悪い気はしない。


結局、俺はそのままスゥさんに押し切られ、食卓に出た量は気持ち少なくてサラダに睨まれてしまった。なので、俺の分を少しサラダにやると、今度は二人が羨ましそうに見てきたので、ちょっとずつあげた。


ほんと村長って大変なんだなあ。

戦闘奴隷の呟き「ふふふ……サヌキ様の味……ふふ……しょっぱい……美味しい……!」


読んでくださりありがとうございます!

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★うどん食べたい!

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