表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

第一話 「無色の世界」3

 私、前田郁恵(まえだいくえ)には色が判別できません、光も見えません。生まれてから一歳を迎える前に全盲(ぜんもう)になった私は色も光もない目隠しの世界で生きてきました。

 私にとっての色とは知識として言語的に伝えられたものであり、光とは私にとって皮膚を通して伝わる太陽や蛍光灯からの熱の温かさでしかありません。それが私にとっての自然であり、ずっと通ってきた世の(ことわり)なのです。

「心も身体もそばにあるのに遠くに感じてしまう。目が見えないということはそういうことだと思うの」

 目が見えないということはどういうことかと問われれば私はこう答えるでしょう。人間が本来持つ五感の一つが失われているということは、確かに私の中で世界を把握するのに何かが足りないという認識を起草(きそう)させている。それは視覚で捉えるよりも遠い認識であるかもしれないけれど、それを補うために他の器官を敏感に働かせて生きているとも言えます。

 他者とは異なること、決定的な違いを持つこと。しかし、それは単純な不便さだけを表すものではない。他の人達が自然に見ているそれを、私なりに理解しようとすればするほど、私は異常な人間だということを突きつけられる。

 想像と現実が合致しない世界で生きている。本来、見えるものを想像で補おうとすればするほど、人とは異なる自分を自覚させられること。それが、私にとって最も恐ろしいことなのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ