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断罪された悪役令息は、処刑ループのたびに帝国を救う  作者: とま


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第45話 北辺特別支出

 自室に戻ったヴァルターは、記録を書き直した。


 「北辺特別支出」という文字列を中心に置いて、周囲に情報を並べた。


 まず名目。


 辺境治安維持費、という建前がある。


 辺境は帝国の北端に位置し、異民族との摩擦が絶えない地域だ。


 治安維持費が計上されること自体は、おかしくない。



 だが。


 実際の支出先が、あいまいだ。


 帳簿の表記は、複数の商会名を経由しており、最終的な行き先が見えなくなっている。


 一つの商会から次の商会へ、そしてまた別の商会へ——


 金の流れが、意図的に霧散するよう設計されている。



 ヴァルターは以前の周回で確認した情報と照合した。


 以前、廃業した商会の名義で香料が流通していた事実がある。


 その廃業商会の名前が——今回の北辺特別支出の経由先の一つと、一致していた。



 (繋がっている)


 単なる横領ではない可能性が高い。


 横領であれば、もっと単純な経路を使う。


 これほど複雑に分散させる必要がある場合——


 目的は金の隠蔽だけではなく、「どこへ流れるか」を隠すことにある。



 ヴァルターはペンを止めた。


 辺境治安維持費が、実際には辺境に届いていない。


 その金が複数の商会を経由して消えている。


 廃業した商会名義が使われている。



 考えうる行き先は、二つある。


 一つは、誰かの私腹を肥やすための横領。


 もう一つは——辺境反乱、あるいは外国勢力への工作資金。


 前者なら、内側の腐敗で収まる。


 後者なら、これは国家的な謀略だ。



 ヴァルターは相関図に矢印を追加した。


 「北辺特別支出」から、「辺境」へ。


 「北辺特別支出」から、「廃業商会(香料)」へ。


 「廃業商会(香料)」から、「?」へ。


 答えが見えていない部分を、そのまま空白にした。



 それから、帳簿の写しに残っていた別の情報を思い返した。


 承認印が、二つあった。


 一つは物資管理局の判。


 もう一つは——



 宰相府の副署だった。


 宰相府の文字が、そこにあった。



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