邂逅
「では最終確認じゃ。お前さんは単独行動、飛行機が支部上空に到着したら飛び降りる。降り立ったら支部長を目指せ」
「了解した」
「よいか、容赦をするな。一片の情けもいらぬ。邪魔する者は排除するのじゃ」
「分かった。で、支部長はどんな奴だ」
「ゴルジェイ・アヴェルチェフ。この男だ」
アルフォンスから受け取った写真を確認する。写っていたのは金髪の少年だった。
「随分若いな。いつの写真だ?」
「14歳じゃ。それにこの写真が撮られたのは数か月前。それほど見た目は変わっとらんと思うがの」
「この歳で支部長か……」
「年齢は関係なかろう。おや、そろそろ着くようじゃ。では頼んだぞ」
「ああ、後で会おう」
貨物室へ降り、ハッチの前で待機する。
しばらくするとハッチが開いたので、僕は躊躇なく飛び降りた。
――同時刻。モスクワ支部長室にて。
「ゴルジェイ様、お戯れはよして下さいっ!!」
「別にいいじゃん。それより早く脱いでよ」
メイド服を着た女性がゴルジェイに服を脱がされようとしている。
「助けて下さいっ! お願い……」
「ならん! ゴルジェイ様は神の使徒たる方! この方のお言葉は神のお言葉だと思え!」
助けを求められた隊員は冷たくメイドを見下ろすだけだった。
「そんな神なら……いない方がマシですっ!」
「言ったね? 冒涜したね? 殺すつもりは無かったけど残念だなあ」
ゴルジェイが背中に背負った大きな鎌に手をかける。
「今、謝ったら許してあげる。そうだなあ……裸で3日間、街で晒し者になってよ。僕は優しいから、それで許すよ」
「そんなっ……無理です。私が何をしたって言うんですか? どうかお許し下さい」
メイドの目から大粒の涙が零れた。
「何をしたって? うーん、僕の目に留まったからだよ。お気に入りのおもちゃにしようと思ったけど言う事聞かないんだもん。それに泣き虫は嫌いだから、もう死んでいいよ」
ゴルジェイが鎌を振り上げたその時……
「侵入者です! 賊は1名!」
隊員が部屋へ飛び込んできた。同時にサイレンが鳴り響く。
「なんだよ、つまんない。お前らで殺せばいいでしょ?」
「かしこまりました! 失礼します!」
報告に来た隊員が部屋から走って出て行った。
「お待たせ。痛くないよ多分。僕、死んだ経験ないから分かんないけど」
ゴルジェイが再び鎌を振り上げる。
「――ギャアアアッ!!! あ、悪魔!!」
「もう……今度は何?」
ゴルジェイが扉へ目をやると、先ほど出て行った隊員が血みどろで這いつくばっている。
そして男が現れた。腰に2本の剣を携えた血塗れの男だった。
「君は誰?」
「お前がゴルジェイ・アヴェルチェフか……お前からは罪の匂いがする」




