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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第三章]収束
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開戦目前

「アルフォンス、時間だ」


「では行くとするかのう」


 半年……長いようで短い時間だった。それも今日で終わるが、僕が生まれたこの村を去るのは少し寂しい。


 車に数時間乗った後、飛行機へ搭乗する。


「なあ、半年前も今回もどうして搭乗手続きがないんだ?」


「そりゃ、お前さんは指名手配中じゃからのう」


「そんなこと分かってる。無い理由を聞いてるんだ」


「そんな事かいのう。私がこの航空会社の社長という事になっておる」


 言われて機内を確認する。世界教会航空、そう書いてあった。


「ってことはお前がファーザーか!!」


「そんな訳なかろうが。ちょっと周囲の人間の頭を弄っとるだけじゃ。私達が世界教会のトップ連中だと思うよう細工をのう」


 何でもありだな。ただ、隣に座ってる老人がルシファーだってことを思えば、脳を弄るくらい大したことない気がする。


「で、この便はどこへ向かうんだ?」


「モスクワじゃ。今からモスクワ支部を攻め落とすのでのう」


「それって本当に可能なのか? 僕は強くなったのか?」


「正直言うて、この世界ではお前さんは私より強い。ここでは私は実力をほとんど出せんからのう。じゃが、支部長くらいなら簡単に倒せるじゃろう」


 ……簡単に言ってくれる。けれど、半年の鍛錬の成果を試せる場だと思うとわくわくしてきた。





 その頃、モスクワ支部近くの森。ここでレイヴン達が突入の機会を待っていた。


「で、俺達はいつ行きゃいいんだ?」


「アルフォンスから連絡が入るさァ。それまで外で待ってなァ!」


 サイモンの指示を聞いたジョージ達は小屋の外に出た。

 そこにはレイヴンの隊員達が大勢待機していた。隊員達は皆、黒い軍隊服を身に着けている。


 ジョージ達が待機の命令を隊員に出そうとした時、


「――来たァ!! 15分後にモスクワ支部に到着するらしいィ。とっとと支度しなァ!」


 サイモンが小屋から出て叫ぶと、隊員達が雄叫びを上げる。


「……やっぱり野蛮ね。好きになれないわ」


 リナは冷めた目で隊員を一瞥した。




 彼らは知らなかった。この日を境に事態は急転することを。

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