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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第三章]収束
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リナ・グレイグースの想い夜

「……レイ」


 もう半年近く、レイと会えてない。

 アルフォンスと修行してるらしいけど、それなら私も混ぜてほしかった。一緒に修行したかった。


「私だって悪魔と契約してるのに……」


 最近、愚痴が増えた気がする。でもそれも仕方がないと思う。



 毎日毎日、サイモン達と作戦を実行するだけの生活。別にあの人達が嫌いな訳じゃない。むしろ、いい人の部類。

 でも、あの人達は私がキスするだけで死んでしまう、ただの人間。レイとは違う。


 それにレイヴンが大所帯になってきたのも悩みの種。勧誘が上手く進んでる成果だろうけど、どうしてこうも男ばかりなんだろう。


 変に色目を使ってくる男が多いのもイライラする。例え天地がひっくり返ろうとも、あんな奴らと一夜を共にするのはごめんだ。

 というよりキスした時点で死ぬんだし。




「はぁー……」


 アスモデウスと契約する前の私の人生は充実していた。世界教会が自由恋愛を禁止している中で行う恋愛。

 秘密を共有しているドキドキ感。愛しい人と過ごせる僅かな時間が生きがいだった。




 16歳の誕生日にそれは訪れた……悪魔との契約。支払った対価は愛だった。


 想い人は必ず不幸になる。たいした対価じゃないと思っていた。不幸になっても私が支えればいい、そう思った。


 でも違った。誕生日に初めてのキスを彼とした時、彼は死んだ。その時に自分が授かった能力を理解した。


 ……私の唇に触れる者は死ぬ。



 次の彼には細心の注意を払った。キスをせがまれても何とか拒み続けた。このままの関係が続けばいいと思っていた。


 だがそれも終わってしまった。ある日、彼が悪魔崇拝者だと密告され、拷問中に死んだ。そんな事実は無かったのに。


 あれから2年、寂しい夜を過ごした。それなのに体つきは大人の女性へと成長した。色んな男達に言い寄られたが相手にしなかった。




 そんな時にレイに出会った。だからこそ惹かれるんだろうか?

 私のキスを死なずに受け止めてくれた初めての人。私に再び生きがいを与えてくれた人。


 年下だから子供っぽいし、頼りない。はっきり言ってタイプじゃない。

 それでも愛しいと思ってしまう。


 ……何度も好きになるのは辞めようと思った。レイが不幸になるかもしれない。2番目の彼の様に死ぬかもしれない。


 でも想いが途切れることはなかった。自分本位だと分かってる。




 寂しく過ごす夜は、祈る夜に変わった。レイに不幸が訪れないよう祈り続けた。


 効果があったか分からない。でも明日、レイに会える。


「……ちゃんと伝えなきゃ」


 自分の唇を指でなぞる。


 次、レイに会った時に想いを伝える、そう決めた。




 気付けば夜も更けてきた。少しでも寝ておかないと。

 ベッドに横たわり枕を抱きしめて目を閉じる。


「おやすみ……レイ」



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