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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第三章]収束
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再会

「ここが……僕の生まれた家?」


「そうじゃ。かれこれ15年以上誰も住んでおらんのでこの有様じゃがのう」


 アルフォンスの言うとおりだ。

 棚や床には埃が積もり、腐りかけた床板がギシギシ鳴っている。


「僕の両親は今、どこにいるんだ?」


「全てを伝えることは出来ぬ。じゃが、ひとつ言えるのは……母親は既に亡くなっておる。墓でもあればいいんじゃが、残念ながらそれも無くてのう」


「……そうか」


 もしかすると両親が死んだから、僕は捨てられたんだろうか? そんな風に考えたこともあったので、ある程度の予想は出来ていた。

 それでも、少し胸が苦しい。


「父は? 父は生きているのか?」


「父親は生きておる。それを探すのは、お前さん自身じゃ。私にできるのは糸口を与えるだけ……この家へ連れてくることだけじゃ」


「それで十分だ。ありがとう、アルフォンス」


「私は外に出ておるでのう。好きに見て回るのじゃ」


 アルフォンスが外へ出た後も、僕はしばらく動けなかった。どうしても一歩踏み出せなかった。


 僕は親に捨てられたんじゃないだろうか……そう何度も考えたことがある。

 その思いに縛られて、僕は家の中へ進めずにいた。




 ふと足元を見ると写真が落ちている。

 色褪せたその写真に写っていたのは2人の男女と小さな子供。


 これが僕の両親……幼い頃の記憶がないので、初めて見たような気分になる。


 写真に写る両親は、それぞれ左右から僕に頬ずりをしていた。

 思わず自分の頬を触ってみる。こんな写真を撮った記憶も、両親の顔も覚えていなかったのに、なぜか温かい気持ちになる。


「父さん……母さん……」


 自然と涙が溢れた。

 両親の顔を知れた喜び。大切にされていた、自分は捨てられたんじゃなかったという安心感。


 嬉しかった。写真1枚だけで十分だった。




「おや、もういいのかのう?」


 外へ出るとアルフォンスが待っていた。


「ああ、それで次はどうすればいい?」


「では、次は鍛錬の時間じゃ」

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