再会
「ここが……僕の生まれた家?」
「そうじゃ。かれこれ15年以上誰も住んでおらんのでこの有様じゃがのう」
アルフォンスの言うとおりだ。
棚や床には埃が積もり、腐りかけた床板がギシギシ鳴っている。
「僕の両親は今、どこにいるんだ?」
「全てを伝えることは出来ぬ。じゃが、ひとつ言えるのは……母親は既に亡くなっておる。墓でもあればいいんじゃが、残念ながらそれも無くてのう」
「……そうか」
もしかすると両親が死んだから、僕は捨てられたんだろうか? そんな風に考えたこともあったので、ある程度の予想は出来ていた。
それでも、少し胸が苦しい。
「父は? 父は生きているのか?」
「父親は生きておる。それを探すのは、お前さん自身じゃ。私にできるのは糸口を与えるだけ……この家へ連れてくることだけじゃ」
「それで十分だ。ありがとう、アルフォンス」
「私は外に出ておるでのう。好きに見て回るのじゃ」
アルフォンスが外へ出た後も、僕はしばらく動けなかった。どうしても一歩踏み出せなかった。
僕は親に捨てられたんじゃないだろうか……そう何度も考えたことがある。
その思いに縛られて、僕は家の中へ進めずにいた。
ふと足元を見ると写真が落ちている。
色褪せたその写真に写っていたのは2人の男女と小さな子供。
これが僕の両親……幼い頃の記憶がないので、初めて見たような気分になる。
写真に写る両親は、それぞれ左右から僕に頬ずりをしていた。
思わず自分の頬を触ってみる。こんな写真を撮った記憶も、両親の顔も覚えていなかったのに、なぜか温かい気持ちになる。
「父さん……母さん……」
自然と涙が溢れた。
両親の顔を知れた喜び。大切にされていた、自分は捨てられたんじゃなかったという安心感。
嬉しかった。写真1枚だけで十分だった。
「おや、もういいのかのう?」
外へ出るとアルフォンスが待っていた。
「ああ、それで次はどうすればいい?」
「では、次は鍛錬の時間じゃ」




