原点
翌朝。
リナのキスのせいで僕はほとんど眠れなかった。頭がぼーっとする。完全に寝不足だ。
みんなが朝食を食べ終えた時、アルフォンスが話し始めた。
「では指示を出すとしよう。サイモン、ジョージ、リチャード、リナ。君ら4人はロンドン支部へ向かい、隊員達への勧誘じゃ。その後、パリへ飛んでパリ支部でも同様にのう。よいか、真実を話すのじゃ。真実とは、少しばかり誇張されたもの……上手に使って、皆の心を掴んでくるのじゃ」
「僕はどうすればいいんだ?」
「お前さんは私と共に来るのじゃ。質問はなし。すぐに分かるでのう」
準備を終え、エントランスに着くと、4人が出発するところだった。
「レイ……気を付けてね」
リナが寄ってきて、僕の額にキスをした。途端に昨夜のキスの記憶が蘇って鼓動が高鳴る。
その様子をジョージとサイモンがニヤニヤしながら見ている。
「リ、リナも気を付けて……」
恥ずかしくてボソボソと返事をするしかなかった。
リナ達は車に乗ってロンドン支部の方へ出発した。
「では、私達も行くかのう」
僕もアルフォンスと共に屋敷を出た。もちろん指名手配中なので、顔はフードを被って隠しながらだ。
その後、車と飛行機を乗り継ぎ、着いたのはかなり寒い国だった。
飛行機は搭乗手続きの時に素性がバレると思ったが、なぜか手続きをされずに搭乗できた。
「ここは?」
「かつてフィンランドと呼ばれた地域じゃ。以前はそれなりに人間が住んでおったが、今となっては数万人程度しかおらぬ」
「ここで何をするんだ?」
「もう少し辛抱するのじゃ」
そこから車に数時間乗って、ようやく目的地に着いた。雪が積もった小さな廃村だった。
村に入ったところでようやくアルフォンスが口を開いた。
「お前さんは色々と知らねばならぬ。強くならねばならぬ」
「戦闘訓練か?」
「それも必要ではあるが、それだけでは不十分じゃ。真実を探究するためには、強さが必要でのう。真実とは強者のみに与えられるもの。今のままでは到底、世界教会の真実を暴くことなど出来ぬ。両親に会うことものう」
「……どうして僕の願いを知っている? マモンから聞いたのか?」
「如何にも。それでじゃが、まずはお前さんの過去を紐解くとしよう」
アルフォンスが歩き始めたので、後ろを着いていく。
雪に足を取られつつ、5分ほど歩くと一軒の家の前に着いた。
「ここは?」
「入ってみるのじゃ」
鍵が壊れたドアを開けて中へ入ると不思議な感覚に襲われる。
初めて来たはずなのにこの場所を知っている。
「ここって……」
「そう、お前さんが生まれた家じゃ」




