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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第二章]善と悪の境界線
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Raven

 コンコンッ。


「お邪魔だったかのう。話が終わったので、お前さんにも来てもらいたいのだが?」


 紅茶を飲んでいるとアルフォンスが入ってきた。


「アルフォンス、聞きたいんだ。僕に話せないのは分かった。せめて理由を教えてくれないか?」


「それはのう、お前さんの為だ。これ以上は答えることは出来ぬ」


 フラウロスの魔法陣の力で嘘はついていないと分かった。でもアルフォンスの正体は最高位の悪魔、ルシファーだ。もしかするとフラウロスの魔法陣でも真贋を見抜けないかもしれない。


「リチャード、紅茶をありがとう。少し外に出てほしいんだ」


「かしこまりました。お代わりはポットに入っております。それとスコーンもお召し上がりください。では失礼致します」


 執事とはすごいものだなと思う。最後まで配慮を忘れないなんて。


 リチャードが部屋から出たのを確認してアルフォンスに質問をする。


「フラウロスの魔法陣を知ってるか? それはルシファー相手でも通用する力なのか?」


「もちろん知っておる。その真贋を見極める力は私でも敵わぬ。だがこれは悪魔の証明だのう」


「どういう意味だ」


「私は、ルシファーでもフラウロスの魔法陣の力の前では嘘をつけぬと言った。だが。この言葉が真実だとどう証明する? 出来ぬのだ。もしかすると私はお前さんに嘘をつけるが、つけぬフリをしているだけかもしれぬ」


「なるほど……」


 確認しようがない真実。これではどうしようもない。


「もういい、聞いてみたかっただけだ。それで来てほしいというのは?」


「今後の計画について話を進めねばならんからのう。では行くとしよう」




 アルフォンスと別の部屋に入ると、サイモン、ジョージ、リナがソファに座っていた。リチャードは部屋の隅で立っている。


「ワンちゃん、リチャードの紅茶は美味かったかァ?」


 サイモンがニヤニヤしながら話しかけてきた。


「それより話を始めるとするかのう。まず、私達の最終目的は世界教会の壊滅だ。レイは聞いておらんでのう、改めて説明させてもらう」


「僕以外はみんな聞いたのか?」


「すまんのう。どうしてもお前さんには話せん部分もあったので、他の者へは先へ話してしもうた。許してくれんかのう?」


 リナだけに話したんじゃなくて、僕以外のみんなに話をしたのか? のけ者にされてすごく気分が悪い。


「いいから話してくれ。僕に話せない部分を除いて(・・・)


 イヤミったらしく最後の部分を強調して言ってみたが、手応えは全く無かった。アルフォンスは何事もなかったかのように話し始めた。


「世界教会は民衆の自由を奪っておる。宗教の自由、労働の自由、衣食住の自由、全てだ。民衆はファーザーを信仰し、与えられた仕事をこなし、与えられた生活をするしかない。このままでよいのか? そんな訳がなかろう」


 それは一理ある。昨日まで何も疑わずに悪魔崇拝者を逮捕してきたが、彼らの何が犯罪行為なのか考えたこともなかった。


「だから、私達で民衆を自由にするのだ。いわば革命だのう。その為には、世界教会を倒すほかにない」


 なるほどな。世界教会がなくなれば、アルフォンスを含む悪魔達は再びこの世界で活動できるわけだ。


「それでどうやって倒すんだ?」


「いきなりファーザーを倒せるとは思わぬ。現段階で、世界教会本部へ侵入するのは困難を極める。だから支部を攻めるのだ。そうして奴らの力を削いでいき、頃合いを見てファーザーを殺す。こういった流れになるのう」


「口で言うのは簡単だが、そんなこと可能なのか?」


「昨日まではほぼ不可能だった。私とサイモンとリチャード、昨日まではこの3人しかいなかったからのう。だが今日新たにジョージ、リナ、そしてお前さんが加わることで強大な武力を得た。こうなれば3割ほどの勝機は見いだせる」


「ちょっと待て。リナとジョージが協力するっていうのか? ロンドンとパリの世界教会支部長だぞ?」


「俺が何しようが俺の勝手だろうが。俺は自分の本当の強さを知りたいんだ。世界教会と闘うってんなら相手に不足はねぇ」


「私は皆さんの話を聞いて、お力になれるならと思っただけ。それに色々と事情も変わったの」


「……ということだのう。それでお前さんはどうする? 無理強いはせぬ」


「僕は……」


 本当に世界教会を倒せるのか? だがマモンにフラウロスの魔法陣をもらった時に願った。世界教会が牛耳るこの世界が正しいのか確かめたいと。


「もちろん参加する。真実を見極めるために」


「ワンちゃん、よく言ったァ! アルフォンス、続きを話してくれェ」


「うむ、では我々の最初の目標はロンドン支部とパリ支部の隊員達に私達の方へ寝返らぬか誘うことだ。そのあとモスクワ支部長を倒すこととする」


「分かった。具体的に僕は何をすればいい?」


「お前さんは別にやってもらうことがあるので、勧誘には参加せんでよい。最後に私達の組織の名前だが、レイヴンと名乗ることとする。カラスの様に貪欲に、ずる賢く戦うという意味だ。質問はあるかのう?」


 カラスか。人々から嫌われ、厄介がられる害鳥の名前を付けるとは……まあ、人殺しの僕にはいい名前かもしれない。


「ないようなら明日に備えるのだ。明日から本格的にレイヴンとして作戦開始だからのう!」

第2章完結です!

登場人物紹介を書いた後、第3章へ話を進めます。

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