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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第二章]善と悪の境界線
18/32

根拠

「……どうしてェ……いるゥ!?」


 ……なんだ?


「だからァ、どうしてここにいると聞いてるんだァ!」


「知らないわよ! レイ・チェンバースに聞きなさい。無理矢理連れてこられたんだから!」


 サイモンとリナの声だ。


「うっ……」


 体を起こし周りを見ると、サイモンとアルフォンス、そして支部長のジョージとリナがいた。

 僕はソファに寝かされていたらしい。


「おや、起きたかのう。これを飲みなさい」


 アルフォンスがマグカップを差し出す。

 飲んでみると蜂蜜入りのホットミルクだった。昨日から動きっぱなしだった身体に優しい味が染み渡る。


「ここは?」


「サイモンの屋敷に戻ってきておる。ひとつ、尋ねたい事があるのだが良いかの?」


 僕の隣にアルフォンスが座り、優しく微笑む。


「どうしてリナ・グレイグースを連れてきた? 何も考えずに行動した訳ではあるまい」


「それは……」


 あの時、なせが分からないがリナを連れて行かなきゃと思った。理由は分からないけど、それが正しい事だと感じた。だから脅してまで連れて行こうとした。


「アルフォンス。分からないけど、確信を持って言えるのは僕は正しいことをしたと思ってる。それと僕が気絶したあと、リナが僕をアルフォンス達のところへ届けてくれたのか?」


「ええ、そうよ。でも私も何故こんなことをしたのか分からない。ただ、放っておけないと思ったから運んであげたのよ」


「なるほどのう」


 僕らの話を聞いてアルフォンスが黙りこむ。


「なにがァ、なるほどなんだァ? 分かってるゥ? ジョージは連れてくる予定だったけどォ、この女狐は必要なかったァ。この家の場所も女狐のせいでバレるだろォ? やっぱり殺すしかないんだァ!」


「ごめん、サイモン。僕が余計なことをしたせいで」


「ワンちゃんは黙ってなァ! そもそもこの屋敷は女人禁制なんだよォ!」


 サイモンがすごい形相でリナを睨みつけるが、リナは全く気にせず涼しい顔でサイモンを見つめ返している。


「まったく……物思いにふけるには騒がしすぎるのう。ジョージのように静かにしてくれんか?」


 待てよ。このメンツで1番空気を読めない発言をしそうなのはジョージだ。なのに何で黙ってるんだ?

 そう思ってジョージを見ると額に細い鍼が刺さっている。

 アルフォンスの拘束術だ。黙っていると言うより動けないらしい。


「サイモン。レイとリナと3人で話をさせてもらっていいかの? それが終わるまで一旦保留にせんか?」


「ふんッ! 勝手にしろォ。リチャード! 部屋を用意してやりなァ!」


 サイモンに呼ばれて執事のリチャードが部屋に入ってくる。そして、どうぞと言わんばかりに出口を指し示しながらお辞儀をした。


「では行こうかの」


 アルフォンスが部屋の外へ出て行ったので、僕とリナはそれに従った。

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