二つの力
「聞きたい事? 何かしら?」
「ひとつ伝えておく。マモンとの契約により、お前は僕に嘘をつけない」
マモンの名前を聞いてリナ・グレイグースが少しうつむく。
「それがあなたの得た力って訳?」
「そうだ」
「……」
しばらくリナが黙った。何か考えているらしい。
「分かったわ、正直に答えるからなんでも聞いて」
リナは嘘をついてない。フラウロスの魔方陣の力で簡単に見抜ける。
何を聞こう。聞きたいことは色々ある。悪魔の眷属とは、僕は本当に指名手配されたのか……だが、まず確認すべきは目先の安全だ。
「アスモデウスの拘束する力。もう一度、発動条件を満たせば僕を拘束できるのか?」
「不可能ね、あれは一度きりの必殺なの。発動すれば確実に相手の命を奪える。殺せなかったのはあなたが初めてよ」
なるほど、これも嘘ではないらしい。
「――こっちだ! 道があるぞ!」
リナの背後の暗闇から声と足音が聞こえた。
追っ手か。これじゃあキリがない。
とにかく逃げなきゃと思った瞬間、僕の口から声が出た。
「お前、こっちへ来い! 逃げるぞ!」
「え!? ちょっと!」
リナの腕を掴み、僕はアルフォンス達が逃げた通路へ飛び込んだ。
「なにするのよ!」
少し走ったところでリナが僕の手を振り払う。
「つべこべ言うな。ここで焼き殺してもいいんだぞ」
リナの前に手を突き出す。そして手の平からグリードを出した。
「……分かったわ。抵抗しない」
「じゃあ早く出口まで走り抜けるんだ。お前が前を走れ。少しでも変な動きをしたら背中から焼き尽くしてやる」
リナが黙って走り出す。それを追いながら出口を目指した。
「ハァ……ハァ……」
走り始めてどのくらい経っただろう。何だか身体が重たい。それに少し息苦しい。
「ハァ……おい。出口は……まだか?」
「まだよ。何だか苦しそうだけど大丈夫? その炎の蛇、出さない方がいいと思うけど?」
「何……言って……るん」
ここまでだった。意識が遠のくのを感じる。どうしてだ? リナに何かされたのか?
「こうなると思ってたわ。ゆっくり眠りなさい」
薄れていく意識の中で、リナがそう話しているのが聞こえた。
あと3話ほどで第2章完結の予定です!
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