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レイ・チェンバースは悪夢を見ない  作者: ネジマキピエロ
[第二章]善と悪の境界線
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二つの力

「聞きたい事? 何かしら?」


「ひとつ伝えておく。マモンとの契約により、お前は僕に嘘をつけない」


 マモンの名前を聞いてリナ・グレイグースが少しうつむく。


「それがあなたの得た力って訳?」


「そうだ」


「……」


 しばらくリナが黙った。何か考えているらしい。


「分かったわ、正直に答えるからなんでも聞いて」


 リナは嘘をついてない。フラウロスの魔方陣の力で簡単に見抜ける。


 何を聞こう。聞きたいことは色々ある。悪魔の眷属とは、僕は本当に指名手配されたのか……だが、まず確認すべきは目先の安全だ。


「アスモデウスの拘束する力。もう一度、発動条件を満たせば僕を拘束できるのか?」


「不可能ね、あれは一度きりの必殺なの。発動すれば確実に相手の命を奪える。殺せなかったのはあなたが初めてよ」


 なるほど、これも嘘ではないらしい。




「――こっちだ! 道があるぞ!」


 リナの背後の暗闇から声と足音が聞こえた。


 追っ手か。これじゃあキリがない。

 とにかく逃げなきゃと思った瞬間、僕の口から声が出た。


「お前、こっちへ来い! 逃げるぞ!」


「え!? ちょっと!」


 リナの腕を掴み、僕はアルフォンス達が逃げた通路へ飛び込んだ。




「なにするのよ!」


 少し走ったところでリナが僕の手を振り払う。


「つべこべ言うな。ここで焼き殺してもいいんだぞ」


 リナの前に手を突き出す。そして手の平からグリードを出した。


「……分かったわ。抵抗しない」


「じゃあ早く出口まで走り抜けるんだ。お前が前を走れ。少しでも変な動きをしたら背中から焼き尽くしてやる」


 リナが黙って走り出す。それを追いながら出口を目指した。




「ハァ……ハァ……」


 走り始めてどのくらい経っただろう。何だか身体が重たい。それに少し息苦しい。


「ハァ……おい。出口は……まだか?」


「まだよ。何だか苦しそうだけど大丈夫? その炎の蛇、出さない方がいいと思うけど?」


「何……言って……るん」


 ここまでだった。意識が遠のくのを感じる。どうしてだ? リナに何かされたのか?


「こうなると思ってたわ。ゆっくり眠りなさい」


 薄れていく意識の中で、リナがそう話しているのが聞こえた。

あと3話ほどで第2章完結の予定です!


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