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【第八話】ダンジョン見学③

「ギャアアアアアアア!!」


最後の一匹のゴブリンを倒したスーダー。

冒険者達は他に魔物がいないか辺りを見渡した。

そして魔物がいないことを確認すると、

崩れるように全員がしゃがみ込んだ。


シャチ

「くうううう、死ぬかと思ったあああ」


ミーシャ

「後ろから魔物が来た時は、流石に死を覚悟したわ」


シャチ

「そういえば、後ろから来た魔物はどうしたんだ?

 あれはボンが退治したのか?」


ボン

「俺じゃない。俺は恥ずかしながら放心状態だった。

 気が付いたら魔物がいなくなっていた」


シャチ

「ふぅ~ん、じゃあタルトが退治したのか?

 そんな事あるわけないか!」


ミーシャ

「たぶん忘れ物したから一度引き返したのよ!」


シャチ

「そっか、忘れ物ならしょうがないなぁ」


後ろの魔物が消えた理由が

忘れ物で方が付きそうだ。

俺が退治したことは、ばれそうにないな。

よかった。馬鹿な冒険者達で。


俺はうまく魔法が唱えられた事、

仕掛けたトラップがうまく発動した事、

魔物を倒せた事に安堵した。

しかし、スーダーはあまり喜んでいない。

心なしか俺を睨んでいる様子だった。

この時俺はスーダーの異変に気付かなかった。


シャチ

「しかし、これほど危険な罠を

 仕掛けるダンジョンだ。これ以上の

 探索は命に係わるかもしれん」


ボン

「今回は運がよかったが、

 次もうまくいくとは思えん」


ミーシャ

「そうね、これほど危険だとは

 思わなかったわ」


おや? まさかこの流れは

もう帰るとか言うやつ?

全然見学になってないんですが。

危険と言っても前回の宝箱と

今回の挟み撃ちの2回しか罠が

仕掛けられていないし。

挟み撃ちは罠と言うより戦術だし。

非常に簡単なダンジョンだと

思いますよ僕は。


俺はとりあえず黙って冒険者達の話を聞いた。


シャチ

「よし、探索はここで中断、村に戻るぞ!」


ミーシャ

「そうね、その方がいいわね」


ボン

「賛成だ、急いで戻ろう」


こうしてダンジョン見学は終わった。

見学出来たのは宝箱前のトラップと

細い道での挟み撃ちだけだった。


この見学での収穫は、

まず召還したトラップの威力だ。

トラバサミと飛矢でスライムは

退治でき、ゴブリンなら瀕死まで

追い込むことができる。

次に召還したトラップの大きさ。

低レベルの相手ならまず見つからない。

あとは、冒険者がバカであることか。


ゲームで考えるとすごく簡単な

ダンジョンだったが

この世界では難しいらしい。

これなら俺がダンジョンを作っても

冒険者を屠れるかもしれない。

今後に少し期待が持てた。

そう考えると、今回の見学は

とても有意義だった。


冒険者達は村に戻るため、来た道を戻る。

一度通った道なので躊躇なく進む。

シャチ、ボン、ミーシャが前に、

俺を挟んで後ろにスーダーがいた。

なぜか後ろから殺気を感じる。


スーダー怒ってるのかな?

何か俺、スーダーに変な事言ったかな?

そんなことを考えていると

普段話さないスーダーが話をかけてきた。


スーダー

「率直に言う、お前何者だ!」


!!


俺はズバリ核心をつく質問に動揺し、

一瞬止まってしまった。

すごい早さで頭を回転させる。

何故スーダーはこの質問に至ったのか。

何を根拠に。答えは簡単だ。

挟み撃ちの時に見たのだ。

何を? 決まっている。

魔法を使った俺を見たのだ。

その後魔物は消えている。

となると、魔法で魔物を退治したと

考えるだろう。

スーダーはおそらく、俺が魔法で

魔物を倒したのだと確信している。

しかしこれではスーダーの行動に

説明がつかない。

普通に「何? 魔法使えたの?」で

終わる話だ。

では何に対して疑っている?

俺的予想はこうだ。

村人のふりをして近づいてきた

我々冒険者より実力のある者が、

何を目的としているのか?

目的次第では我々冒険者の命に

関わる事もある。

最悪の事態になる前に行動した。

と、いうあたりだろう。

さて、なんて答えようか。

よし、適当にはぐらかして

相手の行動を様子見るか。

最悪トラバサミ召還して

走って逃げよう。


タルト

「あなたにはバレてしまったようです」


スーダー

「やはり!? あなた様は国家機密調査団、

 冒険者管理委員の一員なのですね?」


はて? なんだその管理委員とは。

なんか都合がよさそうなので

このまま話を会わせながら確認しよう。


タルト

「どこでお気づきに?」


スーダー

「はい、魔物の挟み撃ちの時です。

 あなた様が魔法で一蹴する姿を見て

 間違いないと思いました。

 今回我々にお供した理由は

 冒険者ランキング更新のためですか?」


冒険者ランキングとかあるのか。

いちいちこんなランクの低そうな

冒険者も調査するのか。大変なお仕事だ。

俺なら辞めちゃうね。


タルト

「もちろんそれもありますが

 もうひとつあります」


俺はあえてこういう言い方をした。

うまくいけばこの委員の仕事が

他に何があるか聞き出せる。

失敗しても、秘密と答えればよい。


スーダー

「わかっています。護衛ですね。

 今回のダンジョン、我々では攻略不可能、

 そして命も危険だと判断してですね」


ほう、護衛任務もあるのか。

ますます大変なお仕事だな。

自分の実力も弁えないで

突っ込む冒険者が後を絶たないのだろう。

まあ、一応覚えておくか。


タルト

「この事は秘密にしてくださいね」


スーダー

「勿論です。そのかわりにお願いがあります。

 秘密にしますから俺の評価高くして下さい」


うわぁ、こいつきたねぇ!!

あまり喋らないからまともだと

思ってたのに!!

友達にしたくないわぁこういう奴。


タルト

「わかりました。その推察力を考慮し

 評価を上げましょう」


スーダー

「よっしゃあ!!」


俺は適当に話を合わせて出口へ向かった。

やたらスーダーが馴れ馴れしくなったのは

気にしないようにした。


ダンジョンから撤退し、村に無事到着した。

冒険者達はそのまま冒険者ギルドに向かった。

そしてシャチ達は冒険者ギルドのマスターに

ダンジョンでの出来事や獲得した宝など

こと細かく報告している。

だいぶ盛って話をしている部分もあるが。


マスター

「なるほど、それは大変だったな。

 このダンジョンレベルについて再度

 検討した方がよさそうだな」


シャチ

「はい、よろしくお願いします」


マスター

「では今回の報酬だ、受け取りたまえ」


シャチ

「ありがとうございます」


一通り報告が終わり、報酬も受け取って

冒険は終了した。

冒険者達は別の村へ行くらしいので、

俺は一先ずここで別れることにした。


シャチ

「何かあったら連絡してくれよ!」


するとシャチから一枚の紙切れを渡された。

なんだこれ?なんか書いてあるが

この世界の文字はまだ読めない。

質問してみるか。


タルト

「これはなんですか?」


シャチ

「え? これ知らないの?

 子供でも知ってる物だよ?」


いや、わかりません。教えてください。


シャチ

「これは離れた所でも連絡がとれる紙だよ。

 相手から貰った紙は連絡先として使い、

 これを左手で持ちながら右手で送る手紙を

 持つと相手に手紙だけ送られるのさ。」


なるほど、ショートメール的なものだな。


シャチ

「相手に渡す紙と送る紙はアイテム屋さんに

 売っているから買っておきな」


なかなか便利な物だな。あとで購入しよう。


俺は他の冒険者達の連絡先も貰い、

別れを告げた。

さて、日も落ちたし、とりあえずどうするか。

野宿する場所でも探すか。

宿に泊まるお金ほしいなぁ······

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