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【第二十四話】次の目標

【人間界:ルド村】


辺りはもう暗くなっており、村の門には松明が点けられていた。門には2人の門番がいたが、1人は何回も顔を合わせているので俺でも覚えている。


鍋蓋門番

「止まれ! ん? なんだタルト君じゃないか。またこんな時間に外に出歩いて危ないじゃないか。」


タルト

「すいません、野暮用で戻るのが遅くなってしまいました。」


鍋蓋門番

「こんな時間まで野暮用とは。少しは頭を使って行動すべきだな!」


鍋蓋門番はやれやれと顔を振りながら俺に説教した。まるで自分の子供に説教するような馴れ馴れしさを感じた。そんな中、鍋蓋門番は俺の横にいたアイシンに気付くと、ハッとした表情を一瞬見せ、すぐに姿勢を正した。


鍋蓋門番

「あ! これはアイシン様もご一緒でしたか!?」


何故アイシンだけ様付けなんだ?


鍋蓋門番

「何故アイシン様がこんな遅くまでお外に? 兎に角ここは危険なので中にお入り下さい。今夜寝泊まりする宿は決まっているんですか? もし決まっていないのであれば私が探して参りましょうか?」


アイシンに対してだけVIP待遇ですな。


アイシン

「あぁ、大丈夫です。今日はタルトと一緒に行動しますので。」


鍋蓋門番

「なっ!? アイシン様とご一緒だと!? タルト貴様! 何企んでいるんだ! このド畜生がぁ!」


鍋蓋門番は何か勘違いをしている様だ。鍋蓋門番は今にも襲い掛かってきそうな形相で俺を睨んでいる。

全身は力み過ぎてプルプルと震えいた。

マジで殺されそうで怖いんですけど・・・・・・。

俺はアイシンにうまく説明するように目で合図を送った。


アイシン

「門番様、特に怪しい事はございません。この村で忘れ物をしたので取りに来ただけです。少し荷物が重いのでタルトに持ってもらおうと思って一緒に来てもらいました。」


鍋蓋門番は鬼の形相から普段通りの顔に戻った。どうやらアイシンの言う事を信じた様だ。


鍋蓋門番

「左様でしたか。これは失礼しました。しかしこんな遅くに来られるとは。よほど大事な物なのでしょう。 もしよろしければ我々も一緒に探しますよ!」


一緒に探したら、門番の仕事はどうするんだwww


アイシン

「あ、だっ大丈夫ですよ! 置いてきた場所はわかっていますので、探す必要はありません。」


鍋蓋門番

「左様ですか。ならタルト君だけでは少し心配なので荷物持ちをお手伝いをしますか?」


アイシン

「あ、だっ大丈夫ですよ! 私でも持てる重さなので、タルト1人で問題ありません。」


鍋蓋門番

「左様ですか。なら食事は済んでますか? まだでしたら私のおごりでご馳走しますよ?」


アイシン

「あ、だっ大丈夫ですよ! 食事はもう済んでますので。」


鍋蓋門番

「左様ですか。ならお荷物の所まで護衛しますよ! 村内とは言え安全とは100%言い切れません!」


アイシン

「・・・・ッチ」

(あっ、舌打ちした)

「大丈夫ですよ。 この村は門番様達のおかげで安全ですから。」


鍋蓋門番のしつこいサービス?にアイシンもイライラし始めた。

面白そうなのでこのまま様子を見る事にした。


鍋蓋門番

「左様ですか。そういえば私の知り合いに宿を経営している人間がいます。そいつに話せば宿代を安くできますので一緒に行って交渉しますよ!」


アイシン

「・・・・メキッ」

(あっ、肩が膨れ上がった)

「大丈夫です。 宿はもう決めています。」


鍋蓋門番

「左様ですか。なら今夜止まる宿を教えて頂ければ、その宿を一日中護衛しますよ!」


アイシン

「・・・・ニョキッ」

(あっ、尻尾出てきた)

「大丈夫、です。 タルトが守ってくれます。」


鍋蓋門番

「左様ですか。なら明日の朝の行動は私を護衛としてお連れ下さい!」


アイシン

「・・・・シャキン」

(あっ、爪が伸びてきた)

「大丈夫。です。 朝なので村の中は安全だと思います。」


鍋蓋門番

「左様ですか。でもタルト君一人ではどうも心細い。やはり私が護衛した方がより安全ですよ!」


アイシン

「・・・・スー」

(あっ、右腕が上がった)

「・・・・・・死体に口無し。」


鍋蓋門番

「ん? 何かおっしゃいました?」


殺す気だ! これ以上は不味い。アイシンは感情で行動しちゃう子だ。

この伸びた爪で鍋蓋門番を真っ二つにする気だ。

このしつこい鍋蓋門番を止める為に俺は会話に割って入った。


タルト

「門番様、色々と気を使って頂きありがとうございます。何か問題などあればすぐに相談させてもらいますので、それまではこの村をお守り下さい。」


鍋蓋門番

「そ、そうか。なら何かあればすぐに俺の所に来いよ!」


タルト

「はい、頼りにしております。」


しつこい鍋蓋門番とのやり取りが終わり、村の中へ入っていった。俺は怒り狂いそうなアイシンを宥めながら空き家などを紹介してくれるお店を探した。あの鍋蓋門番に聞けばすぐに教えてくれたのかもしれないが、あれ以上しつこくされると命に危険があったのでやめておいた。ちょっとした俺のやさしさで鍋蓋門番の命は救われたのだ。まあ、ここで問題を起こされても困るからね。


村中を歩きまわり、通りすがりの人にも空き家やお店を出せそうな所を聞いたが見つからなかった。

どうやらこの村では最低限の家しか建てていないらしく、空き家になった家はすぐに解体して薪や武器、防具などの材料で使うらしい。又、使えそうな大きな木材は倉庫などで保管し、人が増えたりしたときに家を立てるのに再利用するそうだ。この村に引っ越ししてくる人はほとんどおらず、子供も少ないので、年々村の人数が減ってきているとの事。お店を出したりするときは新しく家を建てる必要があるのだ。


タルト

「いやー、流石に家を建てるのは厳しいな。」


アイシン

「そうね、いつ建て終わるかわからないよね。お店を出す作戦はやめる?」


タルト

「やめない。ただ、この村では出さないだけだね。別の村ですぐにお店を出せる所を探そう。」


アイシン

「新しい村に行くのね! 面白そう!! 今運用しているダンジョンはどうするの?」


タルト

「とりあえずレンタル期間が終わるまでは運用するよ。色々試したりしたいしね。そこで得た武器・防具などは、申し訳ないけどアイシンの家に置かせてくれないか?」


アイシン

「いいわよ!! 早く新しい村に行きたいわ!」


タルト

「よし、ではこの村でのやることはなくなった。一回ダンジョンへ戻ろうか。色々試したいこともあるしね。」


アイシン

「おー!」


タルト

「残りの期間、レンタルダンジョンで稼ぎまくって次の村へいくぞー。」


アイシン

「おー!」


俺達は鍋蓋門番にばれないように村の外へ出て、そのままレンタルダンジョンへ向かった。

次アイシンが切れたら殺人未遂で終わらなそうだしね。


アイシン

「ねぇタルト?」


タルト

「何?」


アイシン

「次冒険者が来る時、ダンジョンでやってみたいことがあるの。いいかな?」


え? 何ですか? 何か怖い。

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