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【第二話】人生最後のかけ

······っ!


目を覚ますと、フンドシを見事に着こなした

見た目50歳すぎの小汚ない人が

俺を覗き込んでいた。

関わりたくないと思った俺はゆっくり目を閉じた。


(えっ誰このハゲ親父、やだキモい)


俺は目を閉じたまましばし考える。

今までの出来事、そしてこの状況を。


俺はホーム下に落ちて、そのまま電車に

引かれたはず······

そう考えると、俺は確実に死んでいるな。

死んだとなると、これは死後の世界だと

考えた方がスマートだろう。

んでだ、ここからが問題だ。

気がついたら目の前にキモいおっさんがいる。

これらを考えると······


神様!? いやいや、まてまて、

こんな小汚ないフンドシ姿の神様はいないか。

じゃあ誰だこいつは?


このまま目を閉じていても、

先に進まないと思った俺は

勇気を出して、もう一度目を開けた。


「ようやくお目覚めかな、遅かったのぅ」


(あんたのその格好のせいだよ)


「ワシは、そうだのう、

 君たちで言う神というものだ」


マジか! 神様!?

第一印象最悪だぞこれは。

もう少しまともな格好をしなさいよ。


俺は神様と名乗る変態を観察した。


よく見ると乳首から毛が生えまくってるし、

フンドシから毛がはみ出てるし、

ギャランドゥがはんぱねえし!!

もうどこ見ても汚い毛が生え散らかっていた。


汚い神様は話を始めた。


「まあ、あれじゃ。これは神の気まぐれじゃ。

 本来なら死んだ生命体はあるところに

 連れて行くのじゃが、ちと飽きたので

 そなたで遊ぼうと思い、

 こうして会話しちょるのだよ。」


おいおい、暇潰しか俺は。

遊ぶって言ったなこのはげ。

何企んでいるんだよ、

マジでこえーよ。


「君には今から異世界に転生してもらい、

 そこでの生活っぷりを観察させてもらうぞい。」


観察日記でも始める気かこの野郎は。

しかしだ、転生とは面白そうだ。

魔法が使えるようになったり、

俺だけ特殊能力があったり、

俺つえーーー! とか。

夢が広がりますな!!


「さて、異世界への転生先はこいつで決める」


神様は丸い的のような物を二個出した。

そしてダーツのような物を俺の手に握らせた。


え?まさかこれ投げて転生を決めるの?

ダー○の旅みたいなんですけど。


「最初の的は異世界先を決め、

 次の的で何になるか決める。

 ちなみに前回の人間は近未来のロボット世界で、

 大腸菌に転生したかな、あれは笑ったわい」


ひ、ひでぇ······

前に転生した人かわいそすぎる。

もはや悪意しか感じられない。

ロボットの世界では、

大腸菌は生きていけないじゃないか!

本当に、神様かこいつ!!

てか、細菌も選択肢にあるんかい!

最悪だ。最悪の日だ。

今すぐ逃げ出したい。


「ほれ、遠慮はいらんぞい。

 はよ投げんかい。ぐふふ」


笑いながら話す姿は、

もはや悪人にしか見えなかった。

俺は神と話をしても状況が変わらないことを

悟った上で、いくつか質問をしてみた。


「神様、いくつか質問よろしいでしょうか?」


「なんじゃい、面倒じゃのう。

 まあ、口が聞けるのも

 これで最後かもしれんし、

 質問を許す」


こいつマジで殺してぇ。


「今回の転生、目玉は何になりますか?」


「よい質問じゃ!今回は特別に

 表皮ブドウ球菌を用意した!

 ぜひ当ててくれ!」


※表皮ブドウ球菌とは人間の皮膚表面に

 存在する肌の常在菌です。


雑菌じゃないか!

前回と同じ菌類を用意するんじゃないよ!

酷すぎるぞこの神は。


「今回はサービスじゃ!

 当たりやすいように的の三分の二は

 表皮ブドウ球菌にしておいたぞ!

 感謝するように」


俺はもう言葉も出なかった。

このまま殺して欲しいと強く思った。


「もう時間じゃ!

 二つの的を回すからはよ投げい!」


俺は目の前の神様以外の神様に願った。

本気で願った。

表皮ブドウ球菌以外に当たるように。

俺は全ての思いを乗せ、

二つのダーツを投げた。


······

「ちっ! 外れか」


神様はこの結果に満足しなかったのか

不満そうにしている。

俺はこの神様の態度で

表皮ブドウ球菌ではないことを

理解できた。


(っっしゃっ!!)


俺は本気のガッツポーズをした。

続けて神様は話す。


「はいはい、では決まったようなので

 転生先で案内の者を送る。あとはそいつから

 色々聞いとくれ」


こいつ超テキトーになったぞ。

それもすごく腹が立つ。


そして転生が始まる。俺はどこへ行き、

何になるか聞いていないが問題にしなかった。

とりあえず表皮ブドウ球菌ではないからだ。


光が俺を包み、辺り一面が歪んでいく。

この変化に耐えられず俺は気が遠くなる。

意識が朦朧とする中、神様が一言呟いた。


「ふぅ、この人間はつまらんな」


いつか殺してやる。

そう強く思いながら俺は、転生中に気絶した。

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