【第十七話】初陣①
【登場キャラ情報】
名前 :ジョー 職業 :剣士
レベル:15 熟練 :14
HP :245 MP :43
攻撃力:77 防御力:35
魔力 :12 抵抗 :16
命中 :21 回避 :8
ラック:5 特殊 :なし
【人間界:レンタルダンジョン】
とうとうこの日がやって来た。
ここまで来るのに大分遠回りをしたような気がする。
朝9時頃、下僕から連絡があるはずだ。
下僕に依頼したもう1つの内容は
ダンジョン攻略に登録した冒険者を知らせること。
できればそのPTの詳細だ。
この情報で我々の作戦を変更することもある。
俺はそわそわしながら連絡を待つ。
しばらくすると、下僕から連絡が来た。
俺は届いた手紙を読んでみる。
----------〈タルトさんへ〉---------
昨日、例のダンジョンへ
申し込みをしたPTがありました。
恐らく予定では当日12時頃に
到着すると思われます。
PTは5名、その他の情報は不明。
以上。
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とても幸運なことだ。初日から冒険者が来るようだ。
万全な準備をしても冒険者が来なければ意味がない。
詳細は不明とのことだが、ここの情報はとても重要になるので
改めて下僕には何かしらの手を打つとしよう。
冒険者がこのダンジョンに着くまで、
後3時間程あるので、改めて皆と打ち合わせを行う。
特にやってもらう事はないが、
もしトラップを通過し、最奥の部屋まで来た時に
ボスとして対処をしてもらう。
その為の振る舞いや格好などの指示を出した。
タルト
「アイシン、最悪の事態を想定して翼と尻尾を出しておいてくれ。
一応ダンジョンのボスという役だから
少しでも魔族感を出せるようにしたい。
服装も今のじゃない方がいいかな。
今の格好は村人の様な服装だからよくないな。」
アイシン
「わかったわ。一度家に戻って着替えるね。
でもこのカチューシャははずさないからね!」
タルト
「いや、それは不味いだろ。ボスがお洒落してるなんて
聞いたことがない。出来ればカチューシャも外してほしいんだが」
アイシン
「絶対にいや! これだけは嫌!」
タルト
「あぁ、そうか。頭にう〇こが乗ってるボスなんて論外だな。
じゃあカチューシャは付けてていいか」
アイシン
「タルト、そろそろ本当に怒るよ?」
タルト
「ごめんなさい、冗談です。
その代わりにこのお面をつけてくれないか?
これでお前の顔を隠しておきたい」
俺は夜な夜な作ったひょっとこお面をアイシンに渡した。
我ながら良くできている。なかなかの自信作だ。
こいつで顔バレする可能性をゼロにすることができる。
ブンッ!!
アイシン
「これやだ、気持ち悪い」
タルト
「があああ! 俺の傑作がぁあああ!」
俺のひょっとこは石に叩きつけられ、壊された。
タルト
「ちょおまっ! 何てことをするんだ!
俺が夜な夜な頑張って作った作品だぞ!!」
アイシン
「だって、全然可愛くないんだもん!
こんな気持ち悪い物つけるくらいなら
死んだ方がましよ!!」
タルト
「ひょっとこはこの憎めない表情が可愛いんだぞ!
日本の歴史をなめるなよ!」
アイシン
「日本て何よ! 意味わかんない!
そんなに言うならタルトがつければいいじゃない!」
タルト
「俺が付けても意味ないってばよ!」
俺とアイシンの言い合いが始まった時にスラが口出しをした。
スラ
「まあまあ、落ち着くでござる。
ひょっとこという物はもう壊れてしまったので
どちらにせよ装着はできないでござろう。
結果が変わらぬ以上、次の話をした方がよいではないか?」
たしかにスラの言う通り、ひょっとこが
壊れたので顔につけるものがない。
ここで言い合っていても俺の最高傑作のひょっとこは戻らない。
ならば話を次に進めた方がよさそうだ。
タルト
「じゃあ、もし冒険者が最奥の部屋まで来たら
アイシンは特に冒険者と話しかけたりしなくていいからな」
アイシン
「はぁーい、わかりましたー」
タルト
「スラはアイシンの横でスタンバイ、
ライは部屋入口の右側奥で待機、
イムは反対の左側奥で待機すること。
スラ・ライ・イム
「了解!」
タルト
「冒険者が部屋に来た瞬間、スラとライとイムが一斉に襲いかかって
不意打ちを狙う。驚いて動揺した冒険者にアイシンが渾身の一撃を食らせる。
先制攻撃を仕掛け戦闘を優位にする作戦だ」
アイシン
「はぁい、スラさん達頑張ろうね!!」
スラ・ライ・イム
「頑張ります!」
一通り打ち合わせも完了したのでアイシンは服を着替える為、一度家に戻った。
スラ達は一足先に最奥の部屋で待機するように指示を出して移動させた。
ちょうどその時、ダンジョンに冒険者共が現れた。
情報と少し違うようだ。予定より1時間程到着が早い。
俺は慌ててダンジョン外の草むらに身を隠す。
そして急いで移動中のスラ達に連絡をする。
タルト
「スラ、ライ、イム。予定より早く冒険者共が来た。
作戦通り所定の場所で待機していてくれ。
アイシンはすぐに戻ってくると思うが、
最悪の場合、スラ達だけで時間を稼いでほしい。
いいか、無理はするなよ。やばいと思ったら
自分の判断で逃げるんだぞ!」
ライ
「え? も、もう来ちゃったんですか?
は、早くないですか!?」
イム
「まあ、最奥の部屋で待機だから、来るまでに時間がかかるんじゃない?
来る前にトラップで死んでくれれば問題ないしね」
スラ
「まあ、用心したことに越したことはない、
我々はそのまま移動、所定の場所で待機しております」
タルト
「あぁ、頼む。何かあったらすぐに連絡をくれ。
その時に改めて指示を出すから」
スラ・ライ・イム
「了解!」
次に俺はアイシンと連絡を取ろうとしたが、
出る気配がない。こんな時に何をしているんだ。
まさか無駄におめかしとかしていないだろうな。
緊急事態なので何度も連絡を取ろうとする。
ダンジョンに来た冒険者共は男が3人、女2人だ。
見た感じでは男2人が剣士、1人は魔法使いだろう。
女1人は短剣を装備しているのでシーフだと思う。
もう1人の女は僧侶っぽいな。
俺はそのまま身を隠しながら観察を続ける。
ジョー
「やっと着いたか、ここが新しく発見されたダンジョンだな。
そんなに大きいダンジョンではないようだが?」
リサ
「そうね、思ったより小さくてよかった。
ここまでの移動で少し疲れちゃったから小さい方が助かるわ」
ロベルト
「しかし、本当にすごいお宝はあるんかい?
しょぼすぎてお宝がなかったらウケル!」
キャス
「全然笑えないそれ。とっとと中の探索始めましょ。
早く終わらせないと日が暮れるわよ」
バーン
「そうじゃな、それでは探索でも開始しますかね」
冒険者5人は到着してすぐにダンジョンへ入っていく。
会話の内容や、躊躇なくダンジョンへ入っていく様子から
ダンジョンに慣れているPTだと思われる。
もしかしたら全てのトラップか看破されてるのではないか。
そう思った俺は、すごく不安な気持ちになった。
そして、早くアイシンが戻って来てくれることを
心の底から強く願っていた。今だアイシンとは連絡が取れない。
こういう状況下に陥った時、アイシンの存在が非常に重要だと
今更ながら気づいた。不安から少し焦りが出始めた。
頼む早く連絡に気付いてくれ!
こうしてアイシン不在の中、冒険者共と俺の勝負が始まった。




