【第十五話】ダンジョン運用準備②
【人間界:レンタルダンジョン】
俺とアイシンが清掃を始めて6時間が経過した。
周りから中の掃除まで一通り完了した。
流石に疲れたのかアイシンは大きい石を背もたれにして
座り込んでいる。俺はトラップをどのように
設置するかダンジョン内を歩きながら考える。
始めの1本道、トラップを仕掛けるかどうか・・・・・・。
ここに設置すれば必ず引っかかるだろう。
しかし、出鼻を挫かれた冒険者達は
そのまま探索を続行するのか?
俺なら1人欠けた状態で探索を続行しない。
この先何があるかわからないダンジョンに、
入って数秒で1人死んでいるのだ。
普通は危険を察知してその場で中断だろう。
ならば一番最初の1本道にはトラップは
仕掛けない方が良いだろう。
次に続く部屋についてはどうする?
真ん中に宝箱を置いてトラップを設置するか。
ここで全ての冒険者を屠ることはできないが、
1~2人ほど屠る気持ちで設置しよう。
残った冒険者達はここで口論になるはずだ。
引き返すか続行するか。
そこは人間の物欲を利用し、続行を選択させる。
宝箱の中に高価な装備を入れておけば
欲をかいた人間は先に進むことを選ぶはずだ。
特に冒険者となれば尚更だ。
そして次の分かれ道、左の部屋には宝箱を設置しよう。
同じようにトラップを仕掛け、残りの冒険者共を屠るとしよう。
右に行けば最奥でボス戦となる。
まあ、ここはアイシンを配置しておけば大丈夫だろう。
ただし顔バレする可能性があるので翼と尻尾を出してもらい、
服装を変え、お面を着用してもらう。
完璧な作戦だ。
冒険者共の行動パターンは前に同行した冒険者共を想定する。
最初の部屋、宝箱の手前に油をひいておき、その上に木の檻を用意する。
用意した檻の両サイドに深い落とし穴を設置し、穴の底には爆弾を設置する。
部屋の隅にはモンスターを一匹召喚する。
次の部屋、宝箱の両サイドにトラバサミを設置、
そこに飛矢が射られる様に設置。とどめに部屋の隅に
召喚したモンスターをぶつける。
とりあえずこれで設置を完了する。
これで使用したDPはちょうど100DPだ。
一応アイシンの護衛役としてモンスターを配置しておきたいが、
全てのDPを使用しているので召喚はできそうにない。
万が一、不足の事態が発生した時にアイシンを逃がす時間を作れるように。
さて、どうするか?
まあ、お金も余っているし、モンスターを数匹雇うとしよう。
タルト
「なあ、アイシン、魔族を雇いたいんだが、どこに行けばいいんだ?」
アイシン
「へ? 魔族を雇うの? 私一人でも平気だよ」
いや、あんたがすべて倒したら、
俺に転生ポイントが入って来なくなるので困ります。
タルト
「アイシンは一応ボス役として最奥の部屋にいてほしいからさ、
あまり動いてほしくないのが本音なんだ」
アイシン
「そうかぁ、残念。皆殺しに出来ると思ったのに・・・・・・」
そんなやばい発言を軽々しく言えるのはあなただけです。
タルト
「まあ、俺のデビュー戦でもあるから、最奥の部屋で
優雅に見ててくれよ! トラップで殺すとは
どういう事か見せてやるよ!」
アイシン
「あら、それも楽しみ! じゃあ早速いこっか!」
俺とアイシンは魔族を雇う為、一度魔族界へ戻る事にした。
【魔族界:雇用紹介所フォローワーク】
案内人
「いらっしゃ! お仕事を探しにきたのですか?
今の時代どこも不景気で大変ですよね。
需要に対して供給が足りなくて
ニートがどんどん増えていってますよ。
仕事を見つけても給料は安いし、労働時間は長いし、
そのくせ責任は押し付けられる。
なのでまた仕事をやめるという悪循環。
全く嫌な時代になったもんです。」
どこの世界も同じなんだなと俺は思った。
タルト
「いや、傭兵を雇いたいんですけど」
案内人
「なんと! こんな時代に募集ですか!!
若いのに感心するね!!
それではこの用紙に募集条件や内容を記載してください」
案内人から一枚の紙を渡された。
その紙に書かれていた内容はいたってシンプルだった。
おそらく、募集条件や内容を書いた紙を
そのまま募集掲示板に張り付けるだけだろう。
ここはインパクトのある内容にしよう!
----------〈募集内容〉----------
内容:冒険者をやっつける簡単なお仕事death!
給与:1日20ゴールド
勤務時間:朝10時~夕方5時(冒険者によっては残業あり)
未経験OK!猛者歓迎!
日払いOK!
休み希望はお気軽にご相談ください!
新規オープンなので皆一緒のスタートです!
お友達同士の応募も大歓迎です!
アットホームな職場です!
一緒に頑張っていける方
ご応募お待ちしてます!
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よし、ブラック臭がプンプンするが
これで応募してみよう。
俺とアイシンは案内人に後のことを任せて
フォローワークを出た。
日も落ち始めた頃なので今日の準備はこれで終了とした。
明日傭兵の応募があればいいが、どうだろう。
案内人は不景気みたいなことを言っていたので
すぐに見つかるといいが、
明日応募がなかったら魔族なしで開店しなきゃいけない。
その時はその時でしょうがないか。
俺は寝床を探すのが面倒だったので
アイシンに今日だけお城に泊めてもらう為
お願いをしてみた。
タルト
「なあアイシン、すまんが今日泊めてくれないか?」
アイシン
「やだエッチ! ケダモノねタルトって!」
タルト
「なんでそうなる。ただ泊めてくれって言っただけじゃないか」
アイシン
「何かしようと企んでるんでしょ! 変態!」
タルト
「何もしねえよ! 別の部屋でもいいから泊めてくれよ」
アイシン
「そうやって油断させる作戦ね! ほんとムッツリスケベ野郎ね!」
タルト
「なんかむかつくな。何もしねえって。
疲れてるから宿を探すのが面倒なんだよ」
アイシン
「そうやってたくさんの女を騙してきたのね!?
私は騙されないわ! 残念だったわね! 送りオオカミさん!」
タルト
「うざっ! どんだけ俺を変態扱いするんだよ!」
アイシン
「性欲の塊でできてるんでしょ!? タルトって!」
タルト
「性欲の塊でできてねーよ! なんだお前!
なんなんだお前!」
アイシン
「やめて! 性欲が移るからあっち行って!」
タルト
「そんなもん移らねえよ!!いいから泊めろ!」
アイシン
「わかったわ、じゃあ勝負して勝ったら泊めてもいいよ」
タルト
「なんだ勝負って? 面倒だな!」
アイシン
「勝負は簡単よ。じゃんけんって知ってる?」
タルト
「そんなもん知っとるわ!それで勝負だな?」
アイシン
「うん。私じゃんけん強いんだからね!
タルトが勝ったら泊めてあげる。タルトが負けたら・・・・・・」
タルト
「負けたらなんだよ」
アイシン
「ふふっ。秘密!」
タルト
「秘密ってなんだよ、すごく嫌な予感しかしねえよ!」
こうして俺は負けられない戦いを強いられる事になった。
これ以上ない力を全身に入れ、気合を全身に入れる。
途中力み過ぎておならが出てしまったがお構いなし。
気合が入った所でアイシンとじゃんけんをした。
3回あいこになった後、俺が渾身のチョキを出して勝った。
タルト
「よし! 俺の勝ちだな。今日は泊めてもらうからな!」
アイシン
「わ、わかってるよ・・・・・・」
アイシンは何故か顔を赤くし、もじもじしながら返事をした。
俺はその態度の意味が分からなかったので率直に質問した。
タルト
「なんでそんなうじうじしてるんだお前?」
アイシン
「だって・・・・・・。
私、今日が初めての日になるんでしょ・・・・・・?」
タルト
「アイシンさん、あなたの言っている意味がわかりませんが
おそらく初めての日にはなりませんのでご安心下さい」
こうして俺はアイシンのお城で一泊することになった。
こいつが一番変態じゃねえか!!




