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【第十話】祝?初めての仲間

【魔族の世界:サルバルト城】


俺はどうやら魔族の住む世界に

移転してきたらしい。

人間らしい生き物は見当たらない。

アイシンは俺の手を握ったまま話かけた。


アイシン

「じゃあ付いてきて!」


そう言うとアイシンは俺の手を

引っ張って歩いた。

俺はもう少しこの光景が見たかったので

抵抗してみるが、引っ張られる。

人生三度目位のフルパワーで

踏ん張ったが、意図も簡単に

引っ張られる。

見た目は可愛い女の子だが、

強さの次元が違う。

俺は嫌がる犬の様にズルズル

引きずられた。


魔族の世界と言っても

人間の世界とあまり変わらない

景色だった。草木が生え、

綺麗な川も流れている。

もっと暗くて枯れ木がいっぱい

あり、血の様な川が流れているものだと

思っていた。むしろ魔族の方が

綺麗な気がする。

立ち並ぶ家は木造もあれば

土で作った家、

藁や石でできた家もある。

この世界は人間より魔族の方が

文明が高そうだ。

魔族の姿もたくさん見受けられる。

人間と変わらず仕事をしている様だ。

普通に会話して笑ったり、

客寄せをしたり、買い物に子供連れの

モンスターもいる。


俺はズルズルと引きずられながら

町並みを見ていると大きな

建造物の前に到着した。

アイシンがもう片方の手を上げると

大きな門が開かれた。

そのまま俺はアイシンに引っ張られながら

中に入っていく。


【サルバルト城玉座】


俺は信じられない光景を次々と目撃した。

まずここがお城であることが、中に入って

しばらくしてから理解した。

通り過ぎるモンスターは作業を止め、

こちらを向いて必ずひれ伏す。

ひれ伏すモンスターがゴブリンなどの

雑魚モンスターではない。

何のモンスターかわからないが

誰が見てもボスか! と思う容姿と大きさだ。

そんなモンスターがこの城の中に

ごろごろいるのだ。しかもそれらは

すべてひれ伏す。なにがおきているのだ?

そして場内の装飾品だ。

金や銀、宝石など惜しみなく使用された

装飾品が何個も飾られている。

そしてよくわからない絵画もある。

柱にはドラゴンのような彫刻が

いくつもあった。


俺、どうなっちゃうのかな?

モンスター共の餌にでもされちゃうのかな?

餌として食べるなら、

せめておいしく食べてね!

踊り食いは止めてね!


俺は食べられる覚悟を決めた。

アイシンは止まることなく

どんどん俺を引きずる。

そして大きな扉の前に到着した。

扉の前には屈強なモンスターが2匹いた。

屈強なモンスターはアイシンにひれ伏した。


アイシン

「お客様よ!開けて」


屈強なモンスター

「しかし、許可なくここを通すことは」


アイシン

「いいから早く! 命令よ!」


屈強なモンスターは黙って扉を開ける。

こんなモンスターまでも従うとは。

アイシンとはいったい何者なんだ!?


扉の向こうは巨大な部屋があった。

それは東京ドームと言われても

納得するくらいの広さだ。

その中に1匹モンスターがいた。


ん~、あれって、あのモンスターだよな?

うん、これは誰も見間違えないよな・・・・・・。


まさしくドラゴンである。

ドラゴンといってもゲームによっては

いろんな種類が存在する。

もっともオードソックスなのは

火を噴いて、全身赤色の

レッドドラゴンだ。

また、あるゲームでは

ブルーア○ズホワイトドラゴンや

バ○ムートなどもいる。

このドラゴンは全身金色だ。

パ○ドラのゴル○ラではなさそうだ。


アイシンはこのドラゴンに

何しに来たのだ?

わざわざこのドラゴンに俺を

貢ぎに来たのか?

なんにせよ、これは食べられちゃうな。

魔人ブ○見たいに俺をチョコにしてから

食べてくれないかなマジで。


ゴールドドラゴン

「どうしたアイシン? こやつは何だ?」


アイシン

「パパ聞いて。この子DAなのよ!?

 凄くない? 私初めて見たから

 連れてきちゃったの」


ん? 今パパって言わなかった?

ドラゴンがパパ? なんで?


ゴールドドラゴン

「そうか、そやつDAか。

 面白い物を見つけてきたなアイシン。

 私もDAを見るのはこれで2回目だな

 実に珍しいものだ」


アイシン

「え? ほかにDAを見たことあるのパパ?

 すごーい! 今その魔族はどうしてるの?

 私も会ってみたい!」


ゴールドドラゴン

「そうか、この話はお前にはしたことなかったな。

 私の知っているDAはすでに死んでいるんだよ。

 もちろん他にDAは存在するが、過去現在、

 記録に残っているDAは全部で3主いたのだ」


3主? これは魔族の数え方なのか?

なるほど、覚えておこう。


ゴールドドラゴン

「そのうちの2主は現在も健在だ。

 1主は魔王直属で、魔王城の管理をしている。

 もう1主はダンジョン最高講師をしている。

 この2主には会ったことはないがな。」


DAはそれほど貴重な職業だったのか。

そんな実感わかないんだよなこの職業。

だって魔法もダンジョンしか使えないし!

しかもそれほど強くないし!!


ゴールドドラゴン

「そしてすでに死んだもう1主は私の友人だった。

 そいつはほかの魔族に殺されてしまったのだ。

 暗殺だよ。この職業に妬む魔族もたくさんいてな。

 守ることができなかったのだ」


え? 暗殺ですって!?

同じ魔物から攻撃されないって

神の使いが言ってたの、うそじゃん!!


アイシン

「そうなんだ。DAってそんなに少なかったのね。

 ん~、決めた! ねぇパパ。私この子と

 一緒に人間界に行くことにしたわ!」


えっ? なんですって!?

この子って俺の事だよね?

そんなの初耳なんですが!!

俺に相談なしでいきなり決めないで頂きたい!


ゴールドドラゴン

「ふむ、お前が決めたのなら止めはしない。

 DAはお前の今後の活動において

 非常に重要になるだろう。共に戦い、

 共に暮らし、共に生活をしなさい。

 それが良きパートナーになる条件だ」


俺はこのまま話が進んでしまうのは

嫌な予感しかしなかったので

二人の話を割って質問をすることにした。


タルト

「えーと、すいません。お聞きしたいことが」


ゴールドドラゴン

「何だ? なにか不都合な事でもあるのか?」


うっ、凄い威圧感。そして凄く怖い。


タルト

「あのアイシン、いやアイシンさんは

 娘ということでよろしいのでしょうか」


ゴールドドラゴン

「何か不都合でもあるのか?」


うっ、凄い威圧感。そして同じ台詞・・・・・・


タルト

「いえ、なぜ人の姿なのかなぁと思いまして」


ゴールドドラゴン

「お前も人の姿ではないか。何か不都合でもあるのか?」


うっ、もう会話したくない。


アイシン

「そっかぁ、記憶喪失だからわからないのか。

 私は正真正銘ゴールドドラゴンの娘よ。

 ただ特異体質で人の姿で生まれたのよ」


ゴールドドラゴン

「魔族が人の姿で生まれるのは極稀なのだ。

 原因はよくわかっていないが、人間との

 接触が多い魔族は特異体質の子供ができるようだ」


アイシン

「パパは昔、大量の人間を殺したの。

 そのときに人間の返り血をたくさん浴びたから

 それが原因じゃないかってお医者さんが言ってた」


なんか人間の呪いのような感じだな。

じゃあアイシンはゴールドドラゴンなのか。

ではあの馬鹿力は納得できるな。

てっきりサキュバスかと思ってたよ。

確かにドラゴンの体の色が髪の色と一緒で

瞳の色が二人とも一緒なのか。


アイシン

「でも大丈夫、人間の姿でも能力事態に

 さほど影響は出ないわ。元の姿に

 戻る事もできるけど、あれ凄く疲れるのよね」


なるほど。いわば封印のようなものじゃないか。

人間の呪い、恐るべしだな。


タルト

「それで、一緒に人間界に行くという事ですが、

 私はアイシンさんと人間界で

 何をすればよろしいのでしょうか」


アイシン

「あら、言わなかったっけ?

 私人間界に行って修行するのよ」


はい? 修行ですか?

最初に会った時は調査とおっしゃって

いたじゃないですか!

もう十分強い気がしますが・・・・・・


ゴールドドラゴン

「貴様、アイシンと共に行く気か!?

 身の程を弁えろ!! わっぱがああ!!」


ひいいいい!こ、殺される!

一緒に行くって俺決めてねえし!!

てか、さっきアイシンが

決めた事だろうが!!


アイシン

「パパ違うわ。私が一緒に行くって

 言ったじゃない!落ち着いて!」


ゴールドドラゴン

「お前がか?そうか、ならば致し方ない。

 貴様、アイシンを死んでも守れよ。

 でなければ私が直々に手を下してやる」


ひぃ、これ以上ない脅迫ありがとうございます!


アイシン

「じゃあ私人間界へ行く準備してくるから

 タルトはここで少し待っててね!」


いや、ちょっと一人にしないで!

この状況はさすがに不味いでしょ!

どう見ても会話とか続かないでしょ!

気まずさ最高潮なんですが!


アイシンは準備をするため部屋を出て行った。

この部屋には俺とゴールドドラゴンだけとなった。

凄く気まずい俺はとにかくアイシンが

1秒でも早く戻ってくるよう祈っていた。


アイシンがこの部屋から出て行った事を

確認したゴールドドラゴンは、

先ほどまで威圧感満載の表情から

和らいだ表情に変化ような気がした。

そして俺に話かけてきた。


ゴールドドラゴン

「すまんな、タルトという者よ。

 ああ見えても私も娘、可愛いのだよ」


あれ、先ほどと口調や話し方が変わった。


ゴールドドラゴン

「娘の前だと見栄を張る癖があってだな、

 先ほどは脅すような事を言ってすまなかったな。

 おそらくおぬしはアイシンに無理やり連れて

 こられたのだろう。

 そこでだ、おぬしは今記憶喪失なのだろう。

 わがままを言うようであれだが、

 記憶が戻るまででもよい、一緒にアイシンと

 いてやってはくれないか?

 DAというのはあの子にとって今必要な

 存在なのだよ」


先ほどまで傲慢な態度だったゴールドドラゴンが

一変し、俺みたいな雑魚にお願い事をした。


さっきとはまったく持って別人じゃないか。

正直、アイシンと一緒にいたら

命がいくつ必要かわからないけど、

あのチートのような強さは自分の護衛としては

非常に役に立つ。護衛として機能すればの話しだが。

もし、このまま一人で行動しても

俺の能力じゃ何か不足な事態が発生した場合

対処できないだろう。

ここは一人で行動するより

ギャンブル的な要素は強いが、アイシンと一緒に

行動したほうがよさそうだ。


タルト

「そうですか、わかりました。

 特にやる事とか決まっていなかったので

 アイシンさんと一緒に人間界に行きます」


ゴールドドラゴン

「おお、ありがとう、タルトよ」


なんか凄く娘思いの父親じゃないか。

そして凄くやさしいドラゴンじゃないか。

俺はなんかホッとした。

そんな会話の中、アイシンの準備が

完了し、部屋に戻ってきた。


アイシン

「ごめーん遅くなっちゃった!

 じゃあタルト、人間界へ行くよ!

 パパ、行って来ます!」


ゴールドドラゴン

「気をつけていくのだ、娘よ。

 貴様、我が娘に傷ひとつでもつけてみろ。

 直々に手を下してやる」


お父さんの態度変わりすぎです。

娘に見栄張りすぎです。


こうして俺は、ゴールドドラゴンに

別れを告げ、魔族界に2時間もいないうちに

人間界へ戻ることになったのだ。


新しい仲間、アイシンと共に。

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