四話 対空戦闘!
こんばんは。次話投稿大変遅れました。今回もよろしくお願いします。
『ヴーーヴーーヴーー』
けたましいサイレン音が基地の中に突如警報と供に鳴り響いた。
『緊急!緊急!敵機来襲!これは演習ではない!繰り返す、これは演習ではない!』
警報担当者も予想外の出来事のようで声が少し上ずっていた。
起床ラッパを抜きにしてサイレンに起こされた新兵達は初めての実戦にもたついていた。突然のサイレンにベッドから転げ落ちた者、状況が飲み込めない者など多種多様の反応を見せていた。その様な光景を見ていたある一人の水兵長は遂に堪忍袋の緒が切れてしまった。
「何をしとるか!早く準備をしろ!敵は待ってくれんぞ!」
『は、はい!』
上官の命令より怖い物はないという軍人の精神が浮かび、彼らはすばやく戦闘服に着替えて自分の戦闘配置につくため走り出した。
そんな中‘‘抜け出し‘‘をしていた神野と渡部は着替えていたため彼らより早く配置についていた。二人の配置は港湾が見渡せる「第三機銃台」という展望台に似ているつくりの機銃台の配置であった。機銃といっても様々な種類があるが二人が操作するのは25mm連装機銃であり、兵科は機銃科であった。
「渡部!弾あるか!?」
神野は機銃にかかっているシートを外しながら聞いた。
「ああ!あるにはあるが分隊士たちがまだ到着していない!これじゃあ撃てても弾を込めるのが遅くなる!」
彼らの役割は機銃の旋回と俯角・仰角の操作であった。日本軍の装備は基本的人に頼る兵器が多い。この機銃は旋回するのは半自動だが弾薬を装てんするのは手動であった。
「神野!俺が弾を込める!お前が撃て!方角は時示してくれたら回す!」
「背に腹は変えられんか・・・分かった!渡部!班長たちが来るまで頼む!」
「任された!」
けたましい音を立てながら機銃の銃口を爆煙でくもった曇天の空に向けた。
「右三十度!仰角六十度!目標敵戦闘機!」
渡部は機銃の旋回をした後、弾薬箱から弾倉を取り出し後方の弾薬供給口に差し込んだ。
「右よし!左よし!」
神野は相棒の声を背で聞きながら発射ペダルを踏んだ。機銃から通常弾と曳光弾の二種類の弾が飛び出した。
航空機は速いー人類に出しえない速さを機械によって速さを得るのだ。
それと機銃で航空機を捕らえるのは難しい。
高角砲なら砲弾が破裂し、破片が放射線状に散らばり敵機に損傷を与える可能性が高いが機銃弾は直線にしか進まない。
当てるには目標の距離、速さ、高度にもよるが航空機の針路を予想し、あらかじめ進出コースに弾を撃ち込まねばならない。
零戦の主武装は20mm機銃、この機銃は25mm火力は十分であった。しかし当たらなければどうしようもない。
彼らが狙っていた戦闘機は照準が合わず彼らの目の前をゆうゆうと過ぎて行った。だがその戦闘機は他の日本軍の高角砲によって打ち落とされた。辺りにはようやく迎撃を開始した日本軍の高角砲・機銃が空に打ち上げられていた。そんな中ある一つの戦闘機が反転してきて神野たちを狙おうとした。それははたして偶然か先ほど機銃掃射をした戦闘機だった。
「神野!次!あれ狙え!」
渡部は高揚しているからか恐怖からか言葉が上手く出なかった。
それでも神野は渡部の発する言葉の意味を察して低高度から降下してくる敵戦闘機に狙いを定めていた。
「まだ・・・まだだ・・・」
弾は一つの弾倉に15発しかない。
その弾を節約するにはなるべくひきつけて当たる可能性を高くするしかない。だがそれでは此方にも被害が出るのは分かっている。
それでも彼は・・・神野はその方法「苦肉の策」を選んだのであった。
F4Fはそんな彼の意図にも気づかずどんどん接近してくる。
優位にあるのは勿論ー航空機ーである。
「神野!まだ撃たんのか!?」
焦りが声にでている友の声も神野の耳には入らなかった。
自分が外せば二人とも死ぬ。彼は集中していた。
覗いていた照準機にF4Fがいっぱいに映った。
彼の間合いに敵機が入ったのだ!
彼が機銃の発射ペダルを踏んだのと、F4Fパイロットが機銃ボタンを押したのはほぼ同時だった。
神野が見たのは敵機に走った閃光と真っ赤に染まった空だった。
四話も読んでいただいてありがとうございます!
前々回のあとがきに戦闘シーンを出す、と書いてあったのに前回に全く戦闘シーンを出していませんでした。申し訳ありません!
必死に考えてこのようなストーリーになりました!まだ完結も伏線も全く考えておりません。
最後に・・・そろそろ台風や猛暑などに悩まされる季節となりました。
体調などにご注意してください!それではまた何時か!