2パート
ノゾミが少しベンチに座るとユイが紙袋を持って歩いてきた。
「みんなに会えてよかったね。あなたを茶化した彼は新聞社の専務。あの女友達達はみんな役所とかでがんばってるよ。」
「みんな変わっちゃったよ。あなたも含めて。私はいつまでもだめなまま。」
「だめだよ。そんな風に自分を傷付けては。」
「みんなが前に進んでるのに私は前にすすめてないからさ。」
「それはすべてを一人でやろうとするから落ち込んじゃうんですよ。」
ドアからカイト、ユウタ、シンゴが入ってきた。
「いろんな事をすべて一人でやろうとしたら失敗するに決まってます。そうしたら前に進めなくて悩んじゃいますよ。」
カイトが言ったのを受けてシンゴが言った。
「ノゾミちゃんはさ、どうしてユイ司令官がグローリーを作ることに賛成したか知ってる?」
ノゾミは驚いて首をふった。
「ユイ司令官は最初グローリーには興味なんかはなかったんだ。でも当時明らかにいやがられていた国家軍を作ることをごり押ししていた人の中にノゾミちゃんがいることを知った。ユイ司令官は高校時代優しかったノゾミちゃんがなぜそんな事をしようと思ったのかを直接会って話を聞こうと思った。だからグローリーに賛成した。一番会うのに近道だからね。」
シンゴに続く形でユウタも話した。
「戦いの中で敵だった人と話す機会があって、ユイさんはノゾミさんが今も大事にそのブレスレットをしているということを聞いてユイさんとの思い出を今も大切にしていると思った。そして、そんなノゾミさんが人を苦しめるような事をするはずはないと思った。だからあんなに無茶して助けようとしたんです。私たちも高校の頃のユイさんの話を聞いて、純粋に手伝おうと思いました。」
ノゾミは心が暖かくなり、じんわりと目に涙を溜めた。ユイも一緒にいた思い出を大切にしていたのか。高校生の頃、一緒にいた時間は確かに楽しかった。いつまでも遊んでいたかった。そういう思いをユイも同様に感じていてくれた事がうれしかった。そして、あんな危険を犯してまで助けに来てくれた事がうれしかった。
「すごいなぁー、ユイは。私は全然かなわないよ。すごくて。私はそうしてみるとだめだね。」
「そんなことないですよ。」
今度はドアからマイ、ミチルとアユミが出てきた。ミチルが一番最初に話し始めた。
「ノゾミさんは素敵です。友達をそんな風に大切に思うことができて。先輩の受け売りになりますけど一つの行動をとって周りがどうなるかも考慮出来ることが大人になると言うことなんです。ノゾミさんは私達からすれば素敵な優しい大人です。」
それを受けてマイがノゾミの隣に座って言った。
「ノゾミさんが知らない間にユイさんや同窓会に来た友達は変わったかもしれないです。でも変わらないものだってありますよ。住む場所が変わろうとも肩書きがいくら変わろうと、そしてどんなに時間が経ったとしても変わらないものがあります。」
それを受けてアユミが言った。
「そして私達は変わることの大切さと変わらない事の大切さをユイさんやノゾミさんから知りました。だからノゾミさんは素敵です。」
ユイはみんなの中に入り、ノゾミに紙袋を見せた。
「これはね、ノゾミに元気になって欲しいって友達がくれた手紙。一度に全部読むのが無理なくらいあるよ。大切にしてあげて。」
ノゾミが紙袋から手紙を何通かとり、開けると「がんばってね」「辛いときはいつでもあそびに来て」「何があっても友達だから」という言葉と、中には幼稚園が一緒だった友達の名があり、毛糸でできた手袋がノゾミの手にドサッと乗った。「寒いときにこれを使ってやってください。」毛糸の手袋の重さがうれしかった。
「こんなに思ってくれる友達がたくさんいてだめ人間とか嘘もいいとこだよ。」
「私、正直に言うとうれしいよ。こんなにしてくれる友達がいて。仲間がいて、そして、私の為に友達をあつめてくれて。」
「それは、当たり前じゃない。あなたがいれば元敵だった訳で情報として有力だし。とか冗談言ったり。」
ユイは少し時間を置いていった。
「だって………友達だから。」
涙を浮かべるノゾミにユイは立ち上がっていった。
「仲間に加わるでもいいし、リオン製造にまわるでもいい。だから私達といこう。」
ユイが差し出した手をノゾミは固く握り返した。




