2パート
「それは本当の事なの?」
「はい。コンクールの入賞も面接の通過も全てあらかじめ決められていたことで裏でコネがあったみたいなんです。あとから聞きました。グローリーの人はよくも悪くも注目されているし、会社の名前も上がるだろうからって。」
「つまり、あなたの記事が評価されたわけではないと。でも実際評価されたかもしれないじゃない。それに夢だったんだしどんな形であれ決まったんだからいいんじゃないの?」
ユウタも言った。
「ユイさんの言ってる事も正しいと思いますけど今まで、倒れて大怪我しそうになるなんて過去になかったし様子をみてもいいのかなっては思いますけど。」
「だめよ。空きを作ったら周りがそれだけ仕事をもらえちゃうし体が治れば戻るべき。」
「私はグローリーに戻ろうかなって。」
ミチルの発言に皆が驚いた。
「本気で言ってるの?あなた、自分の幼い頃からの夢なんでしょ?そんな簡単に捨てていいの?」
「悩んじゃって…わかんなくて。どうしたらいいか。夢は確かに叶ってるし、みんないい人だし、でもなんかつらいんです。時々意味もなく泣いちゃうんです。理由はわからないんです。」
「まだ慣れてないからよ。いずれにせよ。自分の夢を大切になさい。どっちが女性の幸せつかめると思ってるの?あなた自身のために続けなさい。あなたはどう思う?ユウタ。」
「俺は帰ってくるべきだと思います。実際体調崩してるのはあわない証拠ですし、ミチルさんは戻りたいって本音は思ってるんじゃないんですか?だったらそちらを優先した方が。」
「自分の夢を捨ててまでも?慣れるまでは辛いの当たり前よ。こんなことで夢を捨てちゃだめよ。」
「でも自分の夢よりも体や心を大事にするべきなんではないですかね。」
「二人とも…すみません。こんなに私の事…考えてくれて…ありがとうございます。」
礼を言ったがミチルは泣き出した。こんなに周りが考えてくれているのに何も決められない自分が嫌だった。恥ずかしかった。
「私…ダメ人間だから。ダメなんです。なんにも決められない。」
するとシンゴが立ち上がって言った。
「大したもんだよ君は。」
そこにいる皆が驚いた。
「ミチルさん、君がこの病室の機器をいきなり壊したらどうなる?」
「他の人に迷惑がかかり、社名に傷がつきますし、上司も責任を取らされます。」
「そうそう。一つの行動をとって周りがどうなるかも考慮できるようになること。それがね、大人になるって事なんだ。世の中には、それができない人がたくさんいる。でもミチルさんはできるじゃないか。まだ若いのに、周りの事を考えて気を配って一生懸命じゃないか。それがきちんとできる君は、君はダメな人間なんかじゃあない。」
ミチルはじわっと心が暖かくなってうれしかった。そして今度は暖かい涙が目から溢れだした。 シンゴは自分の胸を叩きながらいった。
「でも、大事なのはここだ。君が一番どうしたいかだよ。」
ユイと、ユウタが同意の意味を込めて大きくうなずいた。
「帰るでも俺達は構わないし、新聞記者に戻るでもいい。でも、大事なのはミチルさんが一番何をしたいのか。それがないと誰も応援できないからさ。」
涙を溜めていたミチルは下を向いていた顔を上げ、立ち上がって言った。
「私は、グローリーに戻ります!」
三人は頷いて言った。
「それがミチルさんが決めた事なら。」
「自分が一番どうしたいかが決まったみたいだな。」
ユイは窓から空を見ていた。
「見て。雲の中から朝日がさしてる。帰ってくるのならば関係者に頭を下げ、部屋を引き払うのも全て自分でやりなさい。部屋はいつでも帰れるようにはしてあるから。」
ユイはミチルへ敬礼をして、二人を連れだって出ていった。




