第三撃 輸送列車強奪 後編
1946年 装甲輸送列車内部
若い女「あっ!こいつは!」
青年「どうした?」
若い女がドアの外に鎮座する灰色の鋼鉄の箱を指さす
青年「俺たちを撃ったTiger Iじゃないか!やはりこの列車に積み込む予定だったのか」
一行は横を通り抜けようとする
若い女「うわあ!」
バランスを崩して落ちそうになる
青年「危ない!」
青年は咄嗟に手を掴み、引き上げる
若い女「あ、ありがとう、助かったよ」
―――――
女がドアを開ける
女「うん?」
前方に三人の兵士が現れる
彼らは普通の兵士とは違い、肩パッドにアーマー、顔にはマスクのようなものを着け、そのゴーグルは赤く不気味に光っている
兵士達がMG34を構える
女「44年式防弾外骨格!!!!!!!」
電動のこぎりのような銃声を上げながら、ドアが跡形もなく崩れ落ちる
女「戦車の後ろに隠れろ!」
ガガガガガガガガガガ!!!!
Tiger Iの100mm装甲に7.92mm弾の弾幕が注がれる
装甲兵は新しい弾帯に交換し、敵が顔を出すのを待つ
青年「冗談だろ!?まさかまた見るなんて!」
若い女「姉ちゃん!足!」
女「クソ...予想はしていたが三台も載せていたなんて」
女はスプーンをライターで炙り始める
青年「どうする?手榴弾は効かないし、顔を出せば頭が無くなる!」
若い女「武器庫に変な手榴弾があったんだが、これは使えるかい?」
若い女が筒状の弾頭に穴が空いた奇妙な手榴弾を取り出す
女が熱したスプーンを傷口に押し当てる
青年「なんだこれは?とにかく投げろ!何もしないで死ぬよりマシだ!」
若い女「でも、もしピカドン並みの威力があったら?!」
青年「ヘヘヘ...ドイツの土地を抉り取って死ぬなら本望だぜ...」
若い女「ここは日本だよ!しっかりしな!」
若い女がピンを抜き、向こう側の車両に向かって投げる
若い女「どうとでもなれ!!」
手榴弾は眩い閃光と共に、耳をつんざく刃のような音を発した
装甲兵1「ぐあっ!眩しい!」
装甲兵2「耳が聞こえない!耳鳴りでなにも聞こえない!」
装甲兵3「うぅ、吐きそうだ...」
女が立ち上がり、兵士達の前に立ちはだかる
砥石内蔵型の鞘から火花を散らせながら、月光を反射し淡く光る刀身をあらわにする
女「狙うは関節!」
装甲兵1の首を斬りつけると、血が噴き出す
ホルスターから初期型マウザーC96を抜き、装甲兵2の骨盤を撃ち抜く
女「お前で最後だ!」
右足を強く踏み込み、全体重を刀に込める
女「ぐっ...!」
傷を塞いだばかりの右足から力が抜け、女が倒れる
装甲兵3はMG34の銃身を持ち、振りかぶる
バスンバスン!
青年が小銃を撃つ
バスンバスン!
全弾命中、ヘルメットが変形し始める
バスン!
ついに7.7mm弾はヘルメットを貫通し、兵士の頭を撃ち抜いた
青年「大丈夫か?」
女「...まさか君に救われるとはな」
ガクン!
車体が大きく揺れる。ついに列車が停車したのだ
若い女「まずいよ、早く機関部に急がなきゃ!」
―――――
ワーゲンが疾走する
兵士1「おい、パンツァーシュレックの用意は?」
兵士2「予備のロケットは4発ある」
兵士1「同胞殺しの指名手配犯をミンチにしてやる」
―――――
青年「よし、ここが機関部だな。で、どこをどう動かせばいいんだ?」
青年が操作盤に触れようとする
若い女「これっ、あんたの目は節穴か?ここに『|Sicherheitsfreigabe(警戒解除)』と書いてあるだろう?」
若い女がボタンを押すと、警鐘が止み、列車が再び動き出す
青年「ふぅ...あとは終点まで待つだけだな」
若い女「生きてる!あの装甲列車にカチコミに行って、あたし生きてる!」
女が懐から煙草を取り出す
若い女「姉ちゃん!あたしにも頂戴!」
青年「俺にもくれ」
青年「あぁクソ、マッチがない」
若い女「火、やるよ」
若い女が青年に顔を近づける
女は顔を背け、窓の外を見る
女「(戦後からまだ一年ほどしか経っていないのに...こんなにも灯りがあるなんて、日本人はみな逞しいな...)」
窓の外の淡い黄色の光の玉の群れを見つめる
女「(うん...?あの灯りだけ、動きが激しいような...)」
キイイイン...ドガアアアン!!!
後方の車両が爆散する
女「パンツァーシュレックだ!」
若い女が短機関銃を構え、灯りを狙う
タタタタタ!タタタタタ!
若い女「拳銃弾じゃ厳しいよ!」
青年「さっきの車両からMG34がある!」
女「援護する」
女はStG-44を灯りに向かって撃ち込む
――――
青年「あった!これだ!」
青年はMG34を持ち上げようとする
青年「ぐっ...!重い...!」
その時、またロケット弾が命中する
ドガアアアアン!
青年「うわっ!」
青年はよろめくが、しっかりとMG34を抱える
青年「よくも!」
窓枠を支えにし、MG34の弾幕を灯りに向かって放った
ガガガガガ!
キューベルワーゲンは運転手とタイヤを損傷し、横転した
若い女「やったぁ!」




