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第三撃 輸送列車強奪 前編

1946年12月某日 水田地帯

農家「なだ!なだ!田んぼから車が生えてきたがな!」

子供「とっつぁん、車が生えてきたんじゃないわい、落っこちただがな」


車の後部ドアが開き、中から親衛隊の恰好をした女が出てくる


農家「ありゃ!出たぞ!逃げえやー!」

子供「待ってつか、とっつぁん!」

農家「取って食われるぞ!(うち)まで走れえっ!」


助手席と運転席のドアが続けて開く


若い女「ヤパン製にしてはずいぶん丈夫だねぇ」

女「日本人向けの車だから手を込めたのだろう」

青年「いたた...」


三人はあたりを見回す


青年「ここは田んぼか、このご時世に申し訳ないことをした」


三人は協力して車を元の向きに戻す


若い女「そんな!エンジンがダメになっちまった!」

青年「いくらなんでもドイツ軍の応援が早すぎる!Tiger I(タイガー)なんて持ってきやがって!」

女「そうだ、それが今最も気になる部分だ、なぜ重戦車がこんなにも早く来られたのだろうか」


若い女は車から地図を取り出す


若い女「ここだ!ここに軍専用の駅があるよ!」

青年「Tiger I(タイガー)はここから来たのか、でもなぜここに?」

女「この路線の終点は『軍事博物館』だ。兵庫にある」

若い女「博物館?兵庫に何か建物が作られていたのは知っていたけど.....もしあのTiger I(ティーガー)が運び込むためにこの駅にいたとしたなら、展示品をぶっ放したってことかい!?」

女「表向きは軍事博物館を装っているが、実際は兵器を保管している。いわば駐屯地だ」


青年が口を開く


青年「駐屯地ってことは、軍用車両があるんじゃないか?その車で東京へ向かおう」

女「なら列車に乗らせてもらおう、人員輸送用の車両もあるはずだ」


三人はトランクから小火器を取り出し、件の駅へと向かった


―――――


駅構内には五人ほどの兵士がいた

荷物を積み込む者、武器の手入れをする者、談笑する者...


青年「どうする?障害物もないし、一人を仕留めようとすれば全員にその姿を見られる」

若い女「全員が乗るのを待とう」

女「駄目だ」

若い女「なぜ?」

女「この列車は電子制御だ。運転士は存在しないうえに、ドアは発車時刻に閉じ、手動で開けることはできない」

青年「ならどうするんだ、銃を撃てば警戒されてしまうし、かといって短剣だけでこの人数は厳しいぞ」

女「案ずることはない。そこで見ていろ」


女は腰の刀に手を掛けた


女は力を込め、ゆっくりと刀を抜く

砥石内蔵型の鞘から火花が散る


バチバチッ!


女はまず談笑中の二人の兵士のうち一人の首を跳ね飛ばす


兵士「え」


もう一人の兵士の口に刀の先を押し込んで貫通させ、横へ薙ぎ払う


銃の手入れをしている兵士を足で蹴飛ばし、積荷を抱えた兵士を箱ごと横一文字に切り飛ばす


上半身だけとなった彼の頭をブーツで踏み潰し、慌てて拳銃を取り出そうとするドイツ兵を左肩から右足にかけて一刀両断した


外を警戒していた兵士が振り返ろうとするが、胸から金属片が飛び出す


女は素早く刀を抜き、左足で蹴り飛ばした


女「さぁ乗り込め、ドイツの列車に遅延はない」




列車が動き始める


青年「うっ、狭い...」

若い女「いきなり客車に乗ったらどうなるか分かってるだろう?」

女「ノルマンディーの塹壕よりかは広い」

兵士「誰だお前らは!?手を上げろ!」


積荷の固定を確認しようと、ドイツ兵が入ってきた


青年は素早く銃剣を取り出し、兵士の腹に刺す


兵士「うぁっ!ちくしょう!」


兵士はすぐ横にあるボタンを押し込み、その場に崩れ落ちた


ジリリリリ!


列車の速度が落ちる


青年「嘘だろ!?」

若い女がドアのロックを掛けるが、ドイツ兵達はドアを蹴破ろうとする


青年「このままじゃやられる!逃げ場がない!」

女「窓から外へ出る」

若い女「気でも狂ったの!?姉ちゃん!今降りたらコロコロ転がって呉のいが餅みたいになるよ!」

女「違う!向こうの車両へと移るんだ!」

青年「仮にそれが出来たとしても撃ち殺されるぞ!?」


女が積荷から芋潰し器のようなものを取り出す


女「この手榴弾を投げ込む」


女は窓から身を乗り出し、そのまま全身を外へ出した。

列車は依然として高速で動いている


窓枠に捕まりながら、向こうの窓との距離を見定める


女は思いっきり腕に力を入れ、向こう側へと飛び移った


女「くっ...」


手に持っていた手榴弾で窓ガラスを割る


手榴弾のピンをコートのボタンに引っ掛け、起爆装置を起動させ、車内に投げ入れた


ドガァァン!


女はそのまま車内へと入り、二人と合流する


若い女「もう人間じゃないよ...」

青年「列車は速度を緩めている、このまま止まれば袋のネズミだ。機関部までいけばなにか方法はあるかもしれない」


三人は先頭車両へと向かう


若い女「ここは武器庫かい?銃がたくさんある」


青年が足を止める


青年「ん?このガーランドみたいな銃はなんだ?えーと、Automatisches Gewehr Typ 4?」


青年が小銃を持ち上げる


青年「菊花紋があるじゃないか!ということは、日本の小銃?こいつはいいな」


青年は持っていた九九式小銃を捨て、「Automatisches Gewehr Typ 4」に銃剣を装着した


若い女「あっ!こいつは!」

青年「どうした?」


若い女がドアの外に鎮座する灰色の鋼鉄の箱を指さす


後編へ続く

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