挿話4
ルクスは、いくつもの特大の範囲魔法を落としておきながら、一人?一頭?静かに眠りについた。
こちらの気も知らないで、心地良さそうな眠りについている。
あの衝撃的な事実を知ってから、私の頭の中はものすごい速さで回転している。
下手をすれば、今後の私の行動によって世界が滅びかねないなんて、冗談でも笑えない。
いや、全く冗談ではないのだが……
とにかく、至急ということで、国王陛下である兄に面会の先触れを出した。
さすがに私とカーライルの二人で抱えるには、問題が大きすぎる。
兄上にも、重荷を背負っていただこう。
「王弟殿下、陛下がすぐにお会いされるそうです。執務室にいらっしゃるようにと、言伝られました。」
「わかった。」
至急、と言うのが良かったらしい。
カーライルと二人、普段では考えられない速さで、兄上の執務室に向かった。
――――――
「急がせてしまい、申し訳ありません、陛下。」
「何、構わんさ。お前が至急と言うからには、緊急なんだろう?何があった?」
私はルクスから聞いた話を、一言一句違わずに伝えた。
竜のこと、盟約のこと、瘴気のこと、これから起こる問題とその原因について。
案の定、兄上は頭を抱えた。
兄上の気持ちはよくわかる。
私もそうだったからな。
可愛い弟のためだ。
悪いが一緒に背負ってくれ、兄上。
「いやいやいや。どうすんのこれ!?俺はただの国王だぞ!?こんな世界の真相みたいな話されて、どうすんの、本当……」
「現実逃避しないでください。」
兄上は、私を恨みがましい目でジーッと見てきた。
「こんなの、一国の王が処理できるわけないじゃん。世界規模だよ!?」
「何か方法はありませんか?」
「……世界を巻き込むなら、教会、サラン聖国を巻き込むべきだな。あそこが納得して協力してくれれば、国教の国や信者の多い国は賛同してくれるだろう。だがどうやって繋ぎを取るか、だよなぁ……」
サラン聖国。
ブロワマール神を祀り、各国にある教会を束ねる総本山で、教皇が王をしている特殊な宗教国家だ。
一神教ゆえに、ブロワマール神の信者は多い。
あそこが協力してくれれば、信者を動かすことができる。
敵に回すと非常に厄介だが、味方に引き込めれば逆に有利に働く。
問題は、どうやって繋がりを持つのか。
どうやってこの話を信じてもらえるのかだ。
そこが障害となって、なかなかいい案が思いつかない。
兄上とカーライルと三人で、ああでもない、こうでもないと議論をかわすのであった。




