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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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88 仲間がいるとは言っても、自分の力も大事です


『お電話代わりました。鈴木です』

「お疲れ様です。レイです。以前見たという未来視の映像について、もう一度詳しく教えてもらっていいですか?」


 次の日、佐藤さんから電話が掛かってきて鈴木さんに変わってもらったので、早速気になったことを聞いていく。


『詳しく...ですか』

「はい。ドラゴンと白い女性、と聞いたんですが、そのドラゴンについて聞きたくて。100階層のドラゴンとはまた違ったやつだったんですよね?」

『ええ、そうです。体色は赤で雰囲気は似ていましたが、鎧のようなものを纏っていたので。それに、場所も100階層ではない場所でした』


 鎧のようなもの...。俺が視たドラゴンと同じものっぽい感じがするな。


「どんな場所でしたか?」

『そうですね...夕暮れの荒野のような、岩場のような、そんな場所でした。』


 場所も俺が視たものと一致している。やはり、その未知の階層に生息するドラゴンということだろう。


『何かそれらしき場所や魔物を発見しましたか?』

「いえ、そういうわけではないんですが、いざドラゴンが出たときにビックリしたりしないように、情報を持っておきたいなと思って。そのドラゴンと俺は戦っていましたか?」

『いえ、戦っていませんね。あなたと白い女性が話をしていて、その横にドラゴンがいる、といった状態でした』


 戦っていない...?ということは、怪我もしていないってことか?


「映像の俺は、怪我をしたりしていませんでしたか?もしドラゴンと戦った後の映像なのだとしたら、さすがに何かしらの怪我はしてると思うんですが」

『怪我...。血や汚れはついていた気はしますが、すみません、そこまで正確には覚えていないですね』

「覚えていないってことは、大怪我とかはしていなかったってことですかね」

『ええ。普通に立って女性と話していました』


 ...俺が視た映像とは、時系列が違うのか?

 もし鈴木さんの映像の後にドラゴンと戦うことがあれば、白い女性も一緒に戦っているはず。だが、俺の映像に白い女性はいなかった。


 この後にドラゴンと戦って、白い女性はやられてしまう。そして俺はなんとか逃げ出す、といった感じか?

 そういや鈴木さんの映像では横にドラゴンがいるのに俺と女性は話していたらしいが、なんで襲われていないんだ?


「ドラゴンが横にいるっていうのは、戦ってもおかしくない距離ですかね?」

『そうですね。通常なら戦闘になりそうな距離でした。ちょうどボスの間の境界を挟んでいたんじゃないですかね?』


 ボスは基本的に、ボスの間に入ることによって戦闘が開始する。

 なのでボスの間の前で休憩をしたり対策を練ったりというのはよくある話らしいんだが...。


(本当にそうか?)


 ボスの間の前で、白い女性と話をする。そしてボスに挑み、やられてしまう。


 これまで視た映像で推察するなら、これが一番辻褄が合う。

 辻褄が合うのは確かだが...しかし、何か納得しない。そんな単純な状況には思えない。


 もっと複雑な、これまでにはない出来事が起こってその状況になっているような。

 ...言ってしまえば、あのバケモノが絡んでいる状況な気がしてならない。


「わかりました。ありがとうございます」

『以上で終わりですか?』

「あとは、鈴木さんが倒れる原因になった生物についても聞きたいんですが」

『...』


 なのであのバケモノについても何か情報がないかと思って聞いてみたが、鈴木さんは沈黙してしまった。


『...正直、自分でもよくわかっていません。わかりませんが、【恐ろしい】というのだけはわかったんです』

「さっきのように、場所や状況はわかりませんか?」

『場所はおそらく、ダンジョン施設周辺です。かなり荒れた状況ですが、見覚えのある建物などがいくつかあったので』

「ダンジョン施設...」


 俺があのバケモノを視たときの映像も、地上のような場所だった。

 となると、あのバケモノは地上に出てきてしまうということか...。


『あなたとバケモノがいて、何か戦闘のようなやりとりをした後、あなたが倒れていました。そこに白い女性が現れる。といった映像でしたね』

「...そうですか」


 やはりあのバケモノと俺は戦うのか...。

 俺の視た映像でもやられていたし、格上の相手なんだろうな。


 でも、そこに現れるという女性は一体何者なんだ?

 あのバケモノ相手には、生半可な力じゃ前に立つことすら難しいと思う。それができるほどの実力者...。

 なのに、ダンジョン省が探し回っても見つからない。そんな存在がいるのか?


「相手の能力とか戦い方は...」

『すみません、それは分かりませんでした。何かが起こって、いつの間にか戦いが終わっていた、といった感じでしたね』


 さすがにそこまでは分からないか。それがわかればデカかったんだが。


「そうですか。わかりました。ありがとうございます」

『いえ、こちらとしてもすみません。こういう詳しい情報は、もっと早くにお伝えするべきでしたね』

「いえいえ、そちらも大変でしょうから。また気になったことがあれば聞いても大丈夫ですか?」

『もちろんです。あなたにどれくらい伝わっているかはわかりませんが、あの生物はなんとしても対処しなければなりません。そのためならいくらでも協力しますよ。』


 俺も同意見だ。正直、まともにやってあのバケモノを倒せる気はしないが、それでも野放しにはできない。


『と言っても』


 携帯の向こうで、鈴木さんが話し出す。


『直接どうにかするのはあなたたち探索者に頼むことになってしまうでしょうけどね』

「それも役目の1つだと思うしかないでしょう。こちらもできる限りのことはしますよ」

『お願いします。でも、なにもあなた一人でやらなければいけないわけじゃないんですよ』

「え?」

『探索者は、あなただけではありません。他にも優秀な探索者が大勢います』


 それを聞き、今度は俺が沈黙する。


『ご存じだとは思いますが、日本のトップチームである天譚九曜、彩風三花、烈煌四雅は80階層を突破しました。天譚九曜に至っては、もうじき90階層に到達するほどの勢いです』

「おお、そうなんですか」


 ブルーオーガはかなりの強敵なのに、歌たちは倒すことができたのか。いや、歌だけじゃなく他のチームもか。すごいな。


『海外も同様です。海外のトップチームは90階層に到達済み。まだボスを倒せてはいませんが、それでも少しずつ突破の目途はたってきています』


 突破の目途...ということは、ヤマタノオロチとまともに戦えている、ということか。

 自画自賛するようだが、あれとまともに戦えるのは俺くらいだと思っていた。


 いや、それは俺が一人で戦うことを考えているからだ。複数人だと、いくらでも戦略はあるのかもしれない。


『確かにあなたには頼りにしていますが、他のチームだって力をつけています。彼らの力が必要になる場面もあるはずです』

「...そうですよね。」

『あなたは強い。でもあなた一人が戦わなければいけないわけでもないし、あなた一人が戦えば済む問題でもありません。あの未来は、探索者全員の力が必要になる未来です』

「ええ、俺もそう思います」


 俺はまた、自分がどうにかする前提で考えていたな。

 未来視では、俺が一人で戦って負けていた。だが、他の人たちと一緒なら結果は変わるかもしれない。


 その場合は俺のスキル『孤高の戦士』が働かなくなってしまうが、そういうのを考えるのは野暮だろう。

 みんなと協力して戦う。そのやり方も考えておかないとな。


─────────────────────────────────────


 ダンジョン120階層


 とは考えたものの、もちろん俺自身の力をつけたり、ダンジョンの防衛力を上げるのも忘れてはいけない。

 とにかく攻略を進められるところまで進めないと。


 結局、あれ以降ペガサスに出会うことはなかった。

 索敵スキルを積んで探し回れば見つけられたかもしれないが、今は攻略優先のため後回し。

 まあ、気分が乗ったらまた探しに行こうかなというくらいだ。


 鈴木さんとの会話で、少しやる気が出てきたからな。

 今はとりあえず、この120階層をさっさと突破してやろうじゃないか。

 


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