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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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87/89

87 考えることが多い


 ダンジョン116階層


─────────────────────────────────────

種族名:ペガサス

個体名:シスト

状態:正常


レベル:116

スキル:翼飛激(よくひげき)・属性変化・部分硬化


 難易度2ダンジョンの116~119階層にランダム出現する魔物。


 黄金の翼で空を駆ける幻獣。

 高い実力を持つが、積極的に戦闘を仕掛けることはない。

 動きは素早く、魔法に耐性がある。

─────────────────────────────────────


 空に見える生物を鑑定したところ、このような情報が読み取れた。


:馬が飛んでる!!

:すご!金色の翼だ!

:ペガサスってやつ!?


「ペガサス...だな」


 俺はそう言いながら、とあることを思い出していた。


(たしかエリクサーの素材に、『ペガサスの■』っていうのがあったな。てっきり階層ボスで出てくるのかと思ったが、中ボスの立ち位置で出てくるのか...)


 これまでのエリクサーの素材は、4つ中3つが階層ボスからのドロップだった。

 そしてボスドロップではない『太古の骨』も、水中かつ水竜が徘徊しているという困難な場所からの入手。

 なのでてっきりペガサスもボスで出てくるかと思っていた。


:結構近づいてるのに、全然襲ってこないな

:さすがに気づかれてるよね?

:地上は見てないのかもしれんぞ


 コメントの言っている通り、俺とペガサスの距離は、普通の魔物なら襲ってくる距離だ。

 しかしペガサスはこちらを意に介さず、そのまま俺を通り過ぎて飛んで行った。


:あ、どっか行った

:すぐ逃げるタイプの敵か?

:空飛んでるし、追い付くのきつそう


(戦ってもよかったかもな)


 飛んでいくペガサスを見て、ちょっとだけ後悔した。

 あいつからエリクサーの素材が取れるのなら、攻撃をしかけて戦闘に入ってもよかったかもしれない。

 111階層でまた装備を少し更新したので、その装備で強敵と戦う慣らしにもなっただろうし。


 111階層を数週間探索することで、装備や付与素材をいくつか入手することができた。

 現在は剣、盾、防具は全て111階層で手に入ったものだし、武器の付与も新しくした。


 新たに付けた武器の付与は、『魔刃撃(まじんげき)』と『傷氷広(しょうひょうこう)』。


 魔刃撃は、魔力を込めれば込めるほど威力が上がるという付与で、傷氷広は、傷口から少しずつ相手を凍らせていく、というものだ。


 傷氷広に関しては残念ながら氷戦士には効かなかったが、それ以外の魔物...白い狼や毛深い獣人のような魔物には効いたので、採用している。


 他にも『氷纏(ひょうてん)』という、氷を纏わせて武器を氷属性にするという付与も手に入ったが、こちらは使わずに保管してある。

 未来視で視たハンマーにつけていた付与はこれの可能性があるので、その時が来るまで使わずにいるつもりだ。


 防具も以前より強化されたし、あとは一応、スキルオーブも手に入った。


(まあスキルは変えるつもりないけどな)


 個人的に俺のスキル構成はこれで完成だと思っているので、完全上位互換のようなスキルが来ない限りは変更するつもりがない。


 実は手に入ったスキルオーブで、俺の『孤高の戦士』と逆の効果のような『群衆湧力(ぐんしゅうゆうりょく)』という、【味方が多ければ多いほど能力が上昇する】というものもあった。

 だがここまでソロで来て、今更チームを組んだとしても上手く動ける気はしないし、そもそもこの階層だと組む相手がいない。


 きららと組んだ時のような低階層~中階層なら、余裕があるので連携を意識することもできるが、さすがに深層では厳しい。

 それにボスは人数制限とやらがあるらしいので、ボス戦だと自然と効力は低くなってしまうだろうし。


 なので基本的には、装備更新とレベル上げで強くなっていくつもりだ。

 そういう意味では、中ボスは経験値も多いし戦ったほうがよかったか。もし次見かけたら戦ってみよう。


─────────────────────────────────────



 ところどころに岩がある荒野のような見た目で、土の色は赤茶色。

 空は夕暮れのように赤いが、一部が歪んでいるように不安定な様子が見れる。


 そこで膝をつき、左腕で右腕を押さえている俺。

 右腕からは大量に出血している...いや、違う。右(・)腕(・)が(・)な(・)い(・)。

 右腕がなくなっていて、肩から血が溢れている。


 押さえていた左手を離し、震える手で腰につけたマジックバックに手を入れる。

 しかしそこで、巨大な影が近づいてきた。


 姿を見せたのは、見たことのないドラゴン。

 鎧のようなものを纏い、サイズもアシュファンより一回りは大きい。

 だが体色は赤色だし、鎧を纏っているがそれを除いた雰囲気はアシュファンに似ている。


 そのドラゴンは俺の前に降り立ち、捕食するように口を開けて俺に顔を近づけてきた。

 


 ...ここで、未来視の映像は終了した。


(随分嫌な映像だな)

 

 日課となりつつある、未来視の使用。

 大体は日常の風景だが、時々このような不吉な未来が視えることがある。


 精神安定系のスキルを創っているので取り乱すことはないが、それでも顔をしかめたくなるような映像だ。

 そしてこういった映像が見えるたびに、色々と考えることが出てくる。


(まずは場所だが...間違いなく地上ではないだろうな)


 空が歪んでいるような箇所もあったし、十中八九ダンジョン内だろう。


(そしてドラゴン。階層ボスか?あのドラゴンにやられて退却したけど、追い付かれた、って感じか?)


 素直に考えるなら、ダンジョンのボスに挑んで腕を失うような傷を負い、逃げていたという考えになるが...


(なんで帰還の宝玉を使わない?)


 見たことのない場所と魔物だったので、あれは先の階層だろう。だとすれば、帰還の宝玉を使えば瞬時に脱出できるはずだ。


 もし逃げていたのだとすれば、その逃げている最中にでも帰還の宝玉を使っているはず。それをしない理由はなんだ?

 まさかあそこから戦って勝つつもりでもないだろうし。


(考えられる選択肢は...帰還の宝玉を忘れた、アイテム使用ができない空間、実はまだ戦うつもり。あたりか?)


 さっきも思ったが、三つ目の選択肢はさすがにないだろう。どう見ても戦う様子ではなかった。

 となると、一つ目か二つ目か。


 例えばマジックバックを新調してアイテム整理をしたが、帰還の宝玉を入れ忘れてしまっていた。とか。


(...なさそうだけどなあ)


 ドーピングアイテムなら忘れることもありそうだが、さすがに帰還の宝玉を忘れることはないと思う。

 特にボスに挑むなら、絶対に持って行っているはずだ。


(じゃあ、アイテム使用ができなくなってるとか?)


 あり得そうではあるが、そういった制限はこれまでの階層で一つもなかったしな...。

 でも106階層から罠という新たなギミックが出てきたし、これから先にも少しずつ新たな要素が出てくるのかもしれない。

 その中に、アイテム使用不可の要素があるのか?

 うーん、『なくはない』レベルかな。


(そういえば、鈴木さんもドラゴンを見たって言ってたな)


 たしか、ドラゴンと白い女性がいる場面が視えて、ドラゴンは100階層のやつと似ていた。って言っていた気がする。

 ...このドラゴンのことか?


 でも俺の映像に白い女性は映っていない。それに、腕が無くなっているという状況もある。

 もし鈴木さんが視た映像でも俺が腕をなくし血を流していたら、さすがに言っていたんじゃないだろうか。


 じゃあ鈴木さんが視たのは、この場面ではないのか?


(...聞いてみるか)


 この映像は、俺が食われるようなところで終わっていた。つまり、下手したら命にかかわるような場面だ。さすがに気になってしまうので、鈴木さんが視た映像をもっと詳しく聞いておきたい。

 佐藤さんにメッセージを送り、まずは鈴木さんの状況を聞いてみる。


『鈴木は回復しましたが、あなたを対象にした未来視を視ることを恐れるようになりました。なので、最近は日本や世界のトップの人を対象にしてもらっています。しかし、めぼしい情報はないようです』


 精神崩壊のようなものをおこしていたらしいが、無事に回復できたらしい。

 それはいいことだが、俺への未来視はもうしていないのか...。

 なら、やっぱりこれまで視た映像を詳しく教えてもらって情報を手に入れるしかない。


 佐藤さんに「鈴木さんが視た俺の映像をもっと詳しく教えてほしいです」と伝えたところ、『明日鈴木と会うので、その時に電話します』と言ってくれた。

 行動が早くて助かる。なんだかんだで1か月以上前のことだが、映像の内容を覚えているだろうか...。


 鈴木さんが視た映像で、俺は怪我をしていたか、ドラゴンと戦っていたのか、そのあたりを聞いておきたい。



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