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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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86/90

86 他のみんなはどうしてる?


 燃え盛るマグマ。

 対峙する赤黒いゴーレム。

 俺は氷を纏うハンマーで、ゴーレムを吹き飛ばす。


 その直後、背後のマグマから巨大トカゲのような魔物が飛び出してくる。

 飛び散るマグマをハンマーの氷で防いだ俺は、その巨大トカゲに向かって走り出す。



 ...といったところで、未来視の映像は終了した。


(...これは、先の階層の映像かな)


 111階層から帰った後日。

 また未来視を使ってみたところ、こんな映像が視えた。


 バケモノや乗っ取りに関する情報はなかったが、これはこれで有益な情報だ。

 先の階層を知ることが出来たら、攻略がスムーズになる。攻略が進めば、ダンジョンの防衛力も上がる。


 しかし、マグマが流れる階層...そんなものもあるのか。

 環境はまたスキルで対策するとして、戦い方だな。

 映像では氷攻撃をしていたが、氷属性が有効ってことだろうか。


 氷攻撃の武器や付与素材は、今の雪原階層から手に入る可能性が高そうだな。

 となると100階層台の時と同じく、しばらくは111階層で戦いの慣らしと、『確定ドロップ』でのアイテム集めをした方がよさそうか。


 あとは110階層の、ケルベロスの肝もできれば集めたいところではある。

 あの時は反動がきつくてあまり頭が回らなかったが、冷静に考えてみるとエリクサーの素材はめちゃくちゃ嬉しい。これこそ俺がダンジョンに潜っている理由だし。


 90階層、95階層、100階層、110階層。この辺りを周回して、エリクサーの素材を集める、というのもやりたいが...。


 あのバケモノが来る未来がある以上、残念ながら後回しかな。今は攻略を進めて力をつけるのと、後続の階層更新の手助けをするのが優先だ。


 そういえば最近あまり確認してなかったが、他のトップチームはどうしてるんだろう。彩風三花には武器や付与素材を渡してからそれっきりな気がする。80階層突破して、90階層まで来ただろうか。


──────────────────


『そろそろ80階層に挑んでもいいでしょう』


 事務所からその判断が下りて、彩風三花はようやく階層を進めて80階層に挑むこととなった。


 歌のリハビリと、新スキル『魔法の腕』の慣らし、そして3人のレベル上げ。

 それらを3か月以上行って、ようやく準備が整ったということだ。


 この準備の間に、烈煌四雅と天譚九曜は80階層を超えて次の階層へと行ってしまったので、彩風三花は少し遅れを取った形となる。


 しかし、3人とも攻略基準である80レベルは超えている。レイから適正装備は譲ってもらえたし、レベル上げの最中に自分たちでも装備やアイテムは入手している。


 だからすぐに突破して他のチームに追い付いてやろうと思っていたのだが...


「くっ...!」


 歌は歯を食いしばりながら、ボスの猛攻を捌いていた。


 80階層主、ブルーオーガ。

 3メートルほどの大きさで、腕は四本。四本の腕には、剣、盾、ナックルが装備されている。

 巨体によるパワーと、四本腕による手数の多さ。それに相手に合わせて動きを変える柔軟性。

 それがこのブルーオーガの強みだ。


 しかし、手数で言えば歌も同じだ。新スキル『魔法の腕』で腕を二本生み出すことができ、ブルーオーガと同じ四本腕になることができる。


 だが手数は同じでも、苦戦しているのは歌だった。


 まず、パワーが違う。レベル80を超えている歌ではあるが、相手は自分の倍近い体格だし、スキルも『剛力』を持っていて力が強化されている。なので、正面からでは完全にパワー負けしてしまう。


 そして、腕の使い方もブルーオーガの方が上手だ。

 歌も四本腕での戦いの練習を重ねたとはいえ、それでもまだ数か月。対して、相手は元々四本腕として生まれてきたものだ。当然、四本腕の使い方は相手の方が上手い。

 どうしても相手より動き出しが遅くなってしまい、後手に回ってしまうことになっていた。


 そして何度か戦闘を重ねた結果、歌は四本腕のうち、三つを盾装備、一つを剣装備とすることになった。

 歌がボスの猛攻を凌ぎ、つばきとれんげが攻撃を仕掛ける、という戦法だ。


「ふっ!」


 短く息を吐き、つばきが横から槍でボスを突き刺す。

 普段は剣を使っているつばきだが、今回は槍で戦っている。

 歌とボスの四本腕同士の攻防に近づきすぎると、巻き添えをくらってしまうかもしれないからだ。

 

 槍はボスの脇腹に命中するが、分厚い筋肉に阻まれて少ししか突き刺さっていない。もう一度突き刺そうとするが、その時ボスが半歩だけ動いた。

 その瞬間、つばきの『間合い管理』スキルが発動。相手の拳の射程圏内に入ったことを理解する。


 突き刺すのを中断しその場から一歩下がったところを、ブルーオーガの拳が通り過ぎた。

 そして攻撃の手が一つ減ったことによりほんの少しだけ余裕ができた歌が、持っている剣で斬りつける。

 ブルーオーガは鬱陶しそうにまた歌の方を見て、剣と拳で攻撃を繰り出す。


 そしてブルーオーガが正面を向いた瞬間、背後で風の刃が放たれた。

 れんげが繰り出した、風魔法の攻撃。その魔法はブルーオーガの背中に直撃すると思ったが...


 ブルーオーガはグルっと一回転して、風の刃に拳を打ち付けた。

 それにより跳ね返された風の刃を見て、れんげは急いで横に走って回避した。


 後ろを振り返ったことにより、今度は歌に背中を見せることになったブルーオーガ。その背中が剣で斬りつけられる。


 また歌の方を振り返ろうとするブルーオーガだが、その時、横から再びつばきが槍で迫って来た。

 そしてその逆側から再び飛んでくる風の刃。左右に気を取られている間に、後ろから斬りつけてくる歌の剣。


:いけえええええ

:今回こそいけるか!?

:さすがにパターン読めてきた!!どんどん先回りして仕掛けろ!!


 何度も戦っているうちに、ブルーオーガの行動はわかってきた。それに合わせた最適な戦い方を模索し、三人はすぐに突破とはいかなかったが、少しずつボス戦を進めることはできていた。


──────────────────


「つばきたちが80階層突破したってさ」


 烈煌四雅のリーダーである緋村は、スマホを見て嬉しそうにそう言った。


「おお!やっぱり!前のアーカイブ見て、次回は行けそうって思ってたんだよ!」

「斗真、毎回それ言ってたじゃん」

「いっつも『次回は行ける!』って叫んでたよな」


 その報告を聞いて叫んだ斗真に対して、他の2人が冷静にツッコミを入れる。


「すぐに80階層台に来ると思うか?」

「81階層には来るだろうけど、しばらくは装備集めだと思う」

「80階層からは装備の性能も上がるしなー」

「彩風三花のスタイル的に、準備はできるだけ万全にしてくるだろうな」


 緋村の意見としては、彩風三花はすぐに80階層の攻略に取り掛かっても、85階層ほどまではいけると思っている。

 だがここ一年で花歌さんぽが二度も危険な目にあったことにより、彩風三花は無理な攻略をしなくなった。というか、事務所が無理させないようになった。

 なのでおそらく、しばらくは81階層で止まっているだろう。


「つばきたちが止まってる間に、俺らは85階層越えてドヤ顔するのを目標にするぞ」

「90階層まで行こうぜ!」

「さすがにそれは無茶だ。絶対無理とは言わないけど、リスクが高すぎる」


 斗真は時々勢いだけで進もうとするので、そこが偶に傷だ。

 85階層には中ボスがいるし、階層が進むにつれて敵が複数で出てきたり、魔物も強い個体となってくる。そう簡単に進めるものではない。


「85階層の中ボスはどうする?」

「そりゃ倒すだろ!」

「...正直、無視して進んでもいいとは思ってる」

「86階層以降に、ドーピングアイテムみたいなのがあったよな?それを集めてから、85階層に戻って挑む、でもいいんじゃないか?」


 中ボスは、別に倒さずとも先に進むことはできる。

 だが探索者として力をつけるのならば戦ったほうがいいとは言われているし、その考えは烈煌四雅の四人も理解している。


「天譚九曜は、一回撤退してるんだよな?」

「ああ。とはいえ動きの確認をするための戦いで、元々撤退予定だったらしいぞ」

「レイの初期の配信で戦闘映像が見れるからな。それを見て対策を立てて、実際に一度確かめてみて、次回で本格攻略。って感じだろう」

「んじゃ、俺らもそうするか?」

「それが無難かな。装備も大体集まって来たし。って言っても、まずは85階層に行くところからだぞ」


 烈煌四雅は、現在83階層。まだ中ボスまでたどり着いてはいない。

 しかし80階層台はレイが配信で何度も映しているので、攻略の手順は立てやすい。


 レイの攻略配信は、このようにして後続の階層更新の助けになっている。

 なにも、直接手助けするだけが方法ではないのだ。


 当のレイは、最近解説配信をやっていないのでそれを忘れていた。


──────────────────


影山:レイ君、よく一人で85階層の中ボス倒せたね???

レイ:俺はソロ用のスキル持ってるから

影山:だとしてもだよ。僕らは9人がかりで準備を整えて倒したのに

レイ:90階層のヤマタノオロチは中ボスの比じゃないから頑張ってくれ

影山:何か手助けがあったりしない?

レイ:じゃあ情報だけ。80階層台の隠し部屋に、ヤマタノオロチに効く武器があるらしい

影山:それってレイ君が以前、たどり着けなかった場所だよね?空間はあるけど行き方がわからないって言ってたやつ

レイ:そうだな

影山:行けたの?方法は?

レイ:いや、行けてない。だからたどり着き方は探してくれ

影山:行けてないのに何があるかわかったの?

レイ:ああ

影山:不思議なこともあるもんだね


 というやり取りがあり、天譚九曜は80階層台の隠し部屋への入り方を探すこととなった。


 85階層の中ボスはレイの映像があったため、それほど苦労せずに突破することはできた。

 だが、それも9人がかりだったからこそだ。


 階層ボスは、挑戦人数の制限がある。法則通りだと、90階層は3人のはずだ。

 いくら情報があろうと、あのヤマタノオロチを3人で倒すのは...ちょっと突破できるイメージが浮かばない。

 なので対策装備があるのならば、是非それを手に入れてから挑みたい。


「一応、30階層台の武器が効くんだろ?『巨大爬虫類特攻』がついてるこの武器がさ」

「うん。それはレイ君が配信で何度か見せてたね。でも80階層台の隠し部屋にも、有効装備があるんだってさ」

「ほんとかよ...。この遺跡みたいなところの中だよな?」


 87階層の遺跡のような建物の前で、天譚九曜は立ち止まった。


 天譚九曜はヤマタノオロチ戦を見越して、武器は30階層台の物を使って探索している。

 30階層台の武器には『巨大爬虫類特攻』が隠し効果としてついており、それはヤマタノオロチにも有効だ。


 いや、ヤマタノオロチだけではない。レイはヤマタノオロチにしか使っていなかったが、『巨大爬虫類特攻』は、この階層の通常魔物にも有効だった。

 ヘビの魔物やリザードマン、中ボスにも、30階層台の武器とは思えないほどよく通じた。


 ただ30階層台の武器なので、当然付与できる効果は少ない。そのため、使い勝手としては普段の武器とそれほど変わりない、程度のものだった。

 まあ30階層台の武器が、普段の70階層台、80階層台の武器と変わらないくらいの性能で使える、というのはすごいことではあるが。


「ここだな」


 遺跡の中に入り進んでいった天譚九曜は、小ボスのいる部屋の前までやってきた。

 レイの配信によれば、この小ボスの部屋の奥...ではなく、横に部屋のような空間があるらしい。だが壁を壊すこともできないし、別から回り込む道も入り口もなかったようだ。


「まずは小ボスを片付けるぞ」


 じっくり探索するためには、魔物を倒さなければいけない。部屋の中に入り、9人がかりで魔物を相手する。


 小ボスは、頭が2つあるヘビ。

 だが中ボスを倒した天譚九曜が苦戦するはずもなく、最後は『巨大爬虫類特攻』がついた剣であっさりと首を斬り落とされた。


「よし、あとは奥にあるアイテムを手に入れた後、隠し部屋について調査する...ぞ...」


 リーダーである天城(あまぎ)がそう言い終わる前に


 ゴゴゴ...と音がして、部屋の横にある壁の一部が下がっていき、隠し部屋への入り口が出現した。


「...」


 無言になり、顔を見合わせる天譚九曜のメンバー


:え??

:なんか別の道出てきた??

:これ隠し部屋?レイが見つけられなかったやつ

:レイの時は小ボス倒しても何も起こらんかったよな??


 ドローンから映されるコメントも、皆困惑していた。


「...何かしら条件があって、それを満たすと隠し部屋に行けるとか?」

「何かしらって...なんだ?」

「タイミング的に、ここの小ボスを倒す条件か?」

「レイの配信の時と違うのは...。人数?」

「複数人で攻略する、とか?」

「もしくは武器か?30階層台の武器でとどめをさすとか」

「...とりあえず行ってみるね」


 全員が考えるが、正解はわからない。わからないものはわからないので、とりあえず斥候担当の影山が隠し部屋に足を踏み入れる。


 中は石造りで四角い、至って普通の部屋。

 中央には宝箱が鎮座しており、罠のようなものもなければ、魔物が隠れているわけでもない。


 そして影山は普通に宝箱を開けて、普通に隠し部屋のアイテムを手に入れることができた。


「...なんか普通に手に入ったよ」

「それは...オーブ?」

「煌真(こうま)、見てくれ」


 情報、索敵担当である月詠 煌真(つくよみ こうま)は、それを受け取り『鑑定』を発動させる。


「これは...武器が手に入るオーブだな。『巨大爬虫類特攻』がついた武器を、剣とか槍とか斧とかから一つ選んで入手することができるらしい」

「自由に選べるのか。...まさか30階層台のやつと一緒じゃないよな?」

「付与数が違うな。このオーブから手に入る武器は、付与が4つできるみたいだ」

「おお!」


 それを聞いて、メンバーから歓声が上がる。30階層台の武器は、70階層台や80階層台の武器に比べて付与数が少ない。

 だがこのオーブから手に入るものであれば、70階層台の武器と同じ数の付与ができる。それに加えて『巨大爬虫類特攻』の隠し効果もついているのであれば、ヤマタノオロチに勝てるイメージも浮かんでくる。

 装備の付与というのは、それほど重要なものなのだ。


「このオーブを、最低三つは集めないとな。予備も考えたらその倍は欲しいところだが...」

「そこまで余裕があるかは怪しい。下には烈煌四雅がいるし、彩風三花も80階層を超えてきた。それに、東雲って探索者も80階層にたどり着いたらしい」

「ああ、あのダンジョン省雇用探索者か」

「あの人、70階層で長いこと詰まってなかったっけ?」

「ようやく突破して、その後は勢いづいて80階層まで来たみたいだ」

「さすがにまた80階層で止まるとは思うけどな。あのブルーオーガはそう簡単には倒せない」

「まああいつはな...。東雲ってたしかソロだろ?ソロであのボスはしんどいなんてもんじゃないぞ」


:ソロで倒した人もいるんですけどね

:なんなら最初に倒した人がソロだし...

:それを言えば、これから先の階層の魔物は全部最初にソロで倒されてるぞ


「レイは除外。あいつは枠の外にいる」

「話してみると普通の子なんだけどね。こと探索においては人間離れしすぎだよね」

「って言っても、追い付くのを諦めてるとかではないぞ。いつかレイも追い抜くのが目標だからな」

「今、116階層まで行ってるんだったか?」

「ああ。111階層で少し止まってたけど、一気に進めてきたな」


:環境や魔物に慣れたり、装備集めのために111階層で止まってたね

:それが終わったと思ったら、とんでもない速さで更新しだした

:あれはほんとに枠外の存在だよな...


「ま、先のことを意識するのはいいが、目の前のことを疎かにしないようにな。俺らは90階層まで進んで、このオーブを集めて、ヤマタノオロチに挑むぞ。そのためにも、レイの配信をまた見返さないとな」

「マネージャーが色々まとめてくれてるらしいから、その資料が完成し次第だ」

「その前に、誰が挑むか。制限は多分3人だろ?」

「あ、僕はパスで」

「俺もだ」

「カゲと煌真は元々選択肢に入ってねえよ」


──────────────────


「なんやねんこいつはああああああ!!」


:気合が足りん!踏ん張れ!

:ぽぽちゃんは全部防いだぞ!

:烈煌四雅は正面から殴り合ってたぞ!

:お前ら無茶言うなw

:ソロでここまで来て、ボスの攻撃受けても五体満足で退散できるって、すっげえバケモノじみてるはずなんだけどなあ


 一方その頃


 東雲はブルーオーガと対峙し、ナックルでぶん殴られて顔を腫らして退散していた。



 

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― 新着の感想 ―
前例が異常すぎるせいで色々と散々だなぁ彼w 良い芸人気質してる
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