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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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89 120階層戦。相手の動きを阻害するのって強い

ダンジョン攻略はちょっとペース上げていきます。多分。


 ダンジョン120階層


 雪...いや、吹雪によって視界が悪く、相変わらず雪が積もっていて足が取られる。

 115階層以降から雪が降るようになり、この120階層では吹雪のような状態になっていた。


 足元には時々罠があるし、魔物も動きが素早い狼系が増えてきた。

 対策スキルを創っているのでなんとか進めているが、それがなければ探索するのはかなりしんどいだろう。


:吹雪で敵が見えにくいな

:敵だけじゃなく、攻撃も見えにくい

:レイもちょいちょいくらってるし、大丈夫か?


 コメントにある通り、敵の攻撃も雪に紛れて見えにくい。

 そもそも狼が白いため、視界の端の敵の動きを見逃しやすい。

 さらに狼は口から白色の魔法を放ってくるため、それも雪と同化して反応が遅れてしまう。


 視界拡張などのスキルを創って対処しているが、そもそも環境対策でスキルを複数創っているため、そこにさらに対策スキルを創ってしまうと戦闘に使えるスキルが少なくなってしまう。

 そのため敵が群れて出てきた場合は戦闘が長引くし、戦闘が長引けば不覚を取ることも増えてくる。


「ふーー...」


 狼の群れの最後の一匹を倒し、深く息を吐く。

 装備は傷つき、ところどころ血も流れているため、修復のオーブを使いポーションも口に含む。


(階層更新を急ぐと、当然こうなるよな)


 これまでは基本的に、序盤の階層で魔物との戦いに慣れてから進んでいく。というやり方だった。

 しかし今回は階層更新を優先しているため、戦闘に慣れないまま120階層まで到達している。

 階層が進めば出てくる敵のレベルも上がるし、数も増える。なので当然苦戦も増える。


 それに苦戦が増えれば消耗品の消費も激しくなる...とは言っても、消耗品はかなり余らせているので、そこは別に困っていないが。


:お疲れ様!

:ほんと、よくソロで勝てるな

:レベルって120階層の適正じゃないよね?なんでそれで負けないんだ?


 実力に関しても、まだ行けそうではある。

 苦戦することはあるし疲れもするが、倒れたりするほどではない。ポーションですぐに回復できる範囲だ。


(レベル的には、そろそろ厳しくなってきてもおかしくないんだけどな)


 今の俺は、ようやく110レベルをこえたところだ。

 これまでの認識で言えば、120階層を探索するならばレベル120の探索者が3人は必要になる。


 なのでレベル110でソロの俺は、一見すると無謀のはずなんだが、実際は普通に進むことができている。


(まあ、スキルのおかげだろうな)


 創造スキルはもちろんだが、ソロの時に能力が上がる『孤高の戦士』の力も大きいだろう。

 これのおかげで、レベル差と数の差があっても勝つことができている。


 ということで、苦戦しながらもボスの間に到着。雪ではなく氷の壁に覆われた広い空間の真ん中に佇んでいる、一つの影。


─────────────────────────────────────

種族名:ビッグフット

個体名:ゼンタ

状態:正常


レベル:120

スキル:圧飛打・空中歩行・冷凍ビーム


 難易度2ダンジョンの120階層を任されしもの。


 空想上の生き物をモデルとしてつくられた魔物。


 巨大な足と体幹の強さで、あらゆる体勢から攻撃することができる。

 力が強く、その攻撃は■■■■をも変形させると言われている。

 肉体は体毛に覆われて守られていて、打撃には耐性がある。

─────────────────────────────────────


:雪男!?

:雪ゴリラか?

:人型のボスだね

:道中にいた獣人みたいなやつの強化系か?


 一部読み取れない部分はあったが、その他は鑑定することができた。


 ここまでの道中に氷戦士や狼系だけでなく、毛深い獣人のような魔物もいた。だがその魔物とは毛の色も特徴も違うし、別種だろう。


「ビッグフットってやつだな。ほら、足跡見てみな」


 ボスの間にはあいつが歩いたであろう足跡がいくつかついていたが、ビッグフットと言うだけあってその跡はめちゃくちゃ巨大だった。

 ボスはおそらく体長3メートルほどありそうなので、当然足のサイズもでかくなるだろう。だがそれにしてもデカいと思える。


:デカすぎんだろ...

:ビッグフットって、絶滅動物の生き残りとか言われてるやつだよね

:ギガントピテクスじゃないかって言われてるやつね

:アウストラロピテクスじゃなくて?

:それは最初に歩いたって言われてるやつな


「...みんな詳しいな。アウストラロピテクスなんて、高校の授業でしか聞いたことないぞ」


 コメント欄は謎の盛り上がりを見せていたが、ここにいるやつは魔物なので、当然既存の知識に当てはまるものではない。

 まずは相手のスキルを確認。

─────────────────────────────────────

圧飛打:打撃を飛ばして攻撃する

空中歩行:空中を蹴って移動する

冷凍ビーム:氷の光線を放つ魔法攻撃

─────────────────────────────────────


 近接の腕力だけでなく、圧飛打や冷凍ビームによる遠距離攻撃。さらに空中歩行による機動性。

 ケルベロスのような多頭や腐食といった特殊能力はなさそうだが、それがなくても真っ当に強そうなスペックに見える。


 打撃には強いらしいので、戦うなら剣か魔法だな。もし空中を移動しまくるのであれば、魔法の方が戦いやすいか。空中は剣が届かないし。

 もし空中歩行を多用してこないなら普通に剣で攻撃するのもありだが、その辺はやってみないことにはわからない。


「行くか」


 ざっと分析を済ました後に、スキルをボス用のものに入れ替えてからボスの間へと足を踏み入れる。


 その瞬間、ボスがこちらを認識し、鳴き声を上げてきた。


「ウォーッホッホッホッホ!」


 甲高い猿のような鳴き声。周囲に響くその鳴き声の後に、ボスは息を大きく吸い、吐き出した。


(いきなりか!)


 口から放たれる、氷の光線。光線とは言いつつも、見た目はでかい氷が飛んできているようなものだ。

 幸い光線は直線なので、数歩動いて避けてから、炎の塊を出す魔法『大炎塊』を繰り出す。


 数メートルある巨大な炎の塊がボスに向かっていくが、ボスは再び息を吸って吐き出す。

 その冷凍ビームは大炎塊を貫き、俺に迫ってきた。


 少し驚きつつも再び躱し、俺は上を見上げる。

 大炎塊は貫かれはしたが、消滅したわけではない。残りの炎はそのままボスに向かっていたのだが、ボスはそれを空中歩行でかわしていた。


 そして空中を蹴り上げ...いや、蹴り下げて、落下しながら俺に向かってきた。

 ここはチャンスだ。シールドバッシュで攻撃を弾き、隙を作って大技をぶつけるという俺のいつもの戦法が使える。


 俺は盾を手に持ち、『高速思考』でタイミングを見計らう。そして激突の直前に...


「!?」


 直前に、ボスはさらに空中を蹴り下げて速度を上げてきた。それによってわずかにずらされるタイミング。


「うお!?」


 結果としては、半分成功。完璧ではないが攻撃を弾くことはできた...のだが、残りの威力が俺に襲いかかってきて、吹き飛ばされる。


 そして氷の壁まで吹き飛ばされたところでようやく止まった。

 半分威力を殺して、ここまで吹き飛ばされるのか...。氷戦士と同じく、防御するのは難しそうだ。できれば避けていきたい。


 俺は顔を上げてボスを見るが、ボスは再び空中を蹴っていた。

 そして今度は、俺に向かって蹴り上げる。


「!!」


 その蹴りの衝撃が、俺に向かって飛んできた。圧飛打だ。

 横に跳んでかわすが、蹴りの衝撃は次々に飛んでくる。


 空中を蹴って移動して、その蹴りを衝撃として飛ばしてくるのか...。しかも足がデカいので、蹴りの衝撃の範囲も広い。ちょっと厄介だな。


 空中に向かって魔法を放つが、それはまた冷凍ビームで貫かれ、残った魔法は空中で避けられる。


:あれ空中歩行だよな!?

:魔物も使ってくるのかよ!

:口から氷もだしてくるし、俺らが知ってるビッグフットじゃない...


(降りてくるのを待つか?)


 空中歩行は、無限にできるわけではない。蹴れる回数に制限があるので、その制限が来れば地面に降りてくるはずだ。

 だが相手はボスだし、レベルも120。使い慣れているだろうし、スキルの性能も高いはずだ。


 実際、なかなか降りてこない。

 空中からの衝撃をかわしつつ牽制のように魔法を放つのを何度か繰り返したところで、ようやく相手の高度が下がって来た。


(今だ!)


 俺は魔法を放ちつつ相手に接近し、その途中で剣に持ち替える。

 ボスが地面に着地する前に冷凍ビームを吐き、魔法の威力を弱める。


 だが弱めるだけで、打ち消せてはいない。着地の瞬間に残った魔法がボスに当たる。


「ウォ!?」


 攻撃があたり声を上げたボスに、今度は剣で斬りつける。

 ボスの体毛に阻まれて大きな傷はできないが、それでも少しは効いているのか、少量の血が飛び散る。


 だがボスは攻撃に怯むことなく、意を介さずに拳を繰り出してきた。

 その拳を斬りつけるが、ボスの力が強すぎる。拳に大きな傷が入ったが、剣が弾かれて飛んで行ってしまった。


 続けて繰り出される打撃。俺は一瞬悩んだが、ボスから飛び退いて剣を回収にいった。


 その隙に放たれる冷凍ビームと圧飛打。

 攻撃を躱しながら剣を回収したところ、剣が欠けていた。一撃で剣が壊れかける威力...。修復のオーブを使わないと、すぐに完全破壊されて使い物にならなくなってしまいそうだ。


 動きながら修復のオーブを使ったところでボスを見ると、ボスは再び空中を蹴って飛んでいた。そして再び空中から攻撃が繰り出される。


:だりいなああああああ

:降りてこいや!卑怯者!

:某ハンターゲームのワールドツアーかよ


 さっきまでと同じ...と思いきや、ボスの動きに異変があった。


「ウォッホ?」


 ボスの胴体と拳が、少しずつ凍っている。

 さっき斬りつけた際に、武器に付与されている『傷氷広』を発動したからだ。


 胴体と拳が凍ってバランスが取れなくなったのか、ボスは空中を蹴り上げるだけで精いっぱいのようだ。俺に攻撃が飛んでこなくなった。


 たまらず落下してくるボス。俺はその落下地点に向かっていくが、ボスは落下中にもう片方の拳で、凍った胴体と拳を殴りつけた。


 バキ!という音がして、着地と同時に氷が割れて自由になるボス。だがそこに俺が再び斬りつける。


 しばらく斬りつけて、空中に逃げられ、しかし少しするとまた凍ってしまって空中で動きにくくなる。


:これはパターン入ったか!?

:その氷つええええええ

:全身凍らしちまえ!


 傷氷広は消費魔力も多いが、ポーション類はかなり余らせているのでどんどん飲んで魔力を補充していく。

 ボスはさっきので学習したのか、今度は素早く氷を殴って砕いていく。しかし今度は、さきほどよりも斬りつけた個所が多い。


 ボスの対処は早いが、こちらも手数を増やしている。結局またボスは地面に降りてくることになった。


 それからは繰り返し...かと思ったが、ボスは空中に行くことを諦めたのか、そこから素直に地上戦をし始めた。


:お、空中はあきらめたか?

:ステゴロでやり始めたな

:これならもうこっちのもんよ


 規格外のパワーによる手足の攻撃。だがこれまで戦ってきた4本腕や多頭の相手に比べたら、手数は少ない。

 防げば吹き飛ばされてしまうが、この手数なら慣れてしまえば避けきることができる。時々超至近距離で冷凍ビームが放たれるが、息を吸う動作があるためわかりやすいので、素早く後ろに回り込んで回避する。


「ウォッホッホ!?」


 やがてこちらの手数が上回り、ボスは半身以上が凍ってしまった。その氷を砕いている最中に、俺はタメに入る。


:この構えは!

:いつものやつ来るぞ!

:とどめの大技じゃい!


 極鋭刃に加えて、魔力を最大まで詰め込んだ『魔刃撃』。さらにスキルも技強化や斬撃強化を創造。


 この一撃で決めると判断した俺の一閃は、狙い通りビッグフットの胴体を真っ二つにした。



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