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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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81/90

81 ゲームだとそういうものなのか?

リアルで色々あったため更新が止まってしまいました。

9月からまた更新再開します。


 あんな話を聞かされたのでは、怖いからと言って未来を視るのを避けている場合ではない。

 あのバケモノに関する何かしらの情報を取得するために、覚悟を決めて未来視を使ってみるしかないだろう。


 だが、ただ使うのでは前回の二の舞になってしまう。


 『精神防御』、『胆力』、『平静』

 

 未来視を使う前に、これらの精神を守るスキルをいくつか創っておく。

 前にあのバケモノを視た時は、ほんの数十秒でかなり精神を削られたからな。また視ても大丈夫なように、できるだけ対策をしておきたい。


(これなら、多少はマシになるだろ)


 そう思い、未来視を発動する。


 目の前に半透明な映像が浮かび上がり...。


「...」


 大学の食堂で、俺がカレーを食べていた。


 特に何か起こる様子もない。

 普通にカレーを食べ、スマホを見て、水を飲んでいる。


 そして食べ終わったところで、映像は終了した。


「...まあ、そう都合よくはいかないよな」


 だが、未来視は二回まで使用可能だ。

 次、二度目。


「...ダメか」


 今度は、俺が自分の部屋で寝てる様子だった。

 当然何の動きもなく、そのまま映像は終了した。


 精神系のスキルをいくつも創った意味がなかった。

 いや、あのバケモノが視えなかったという意味では、むしろ良かったのかもしれないけど。


 未来視は、見たい未来を選べるわけではない。

 重要な未来だけが視えるわけでもない。

 情報を集めたいなら何度も使うしかないが、一日に使える回数も限られている。


 やはり、これだけを頼りにするのは難しそうか。


「仕方ない。ダンジョン行くか」


 とはいえ残念がっていても仕方ないので、今できることをやるしかない。

 未来の情報が手に入らないなら、その分今の自分を強くしておこう。


─────────────────────


 ダンジョン110階層。


「よし。今日は110階層主だな」


:110階層きた!

:ついにボスか

:100階層からもう10階層進んだんだな

:長かったような、進み始めたらあっという間だったような

:暗闇階層も見納めかな?


「どうだろうな。今日で突破できたら、暗闇階層とはおさらばだけど。」


 そう返しながら、暗い通路を進んでいく。


 106階層から構造は変わったものの、暗闇なのは相変わらずだ。

 通路と部屋が複雑につながっていて、時折魔犬が徘徊している。


 さらに、罠もある。


(...ここは大丈夫だな)


 『罠感知』に反応がないことを確認しながら、一歩ずつ進んでいく。


 やはり罠に関しては、鑑定よりも罠感知のほうが使いやすい。

 鑑定だと罠以外の情報も入ってきてしまうので、いちいちその情報を処理してたら進みが遅くなるし頭も疲れてくる。


 罠感知で罠を発見して、罠の詳細な内容は鑑定で調べる、という方法のほうが俺的には好みだ。


「グルルル...!」


 そんな中、通路の先から複数の唸り声が聞こえてきた。

 気配感知にも、複数の反応。


「群れか」


 角を曲がった先にいたのは、魔犬が五体。


 一体一体はこれまで何度も倒してきた相手だが、複数になると面倒ではある。

 狭い通路で囲まれないように位置を調整し、剣と盾を構える。


「ガァッ!」


 一体目が飛びかかってくる。


 それを盾で受け流し、首元を斬る。ちょうどクリティカルヒットしたようで、その一撃で一体は粒子化していった。

 すぐさま横から別の一体が噛みつこうとしてきたので、剣を引き戻しながら蹴りを入れて距離を取る。


 そのとき、一体の角が光った。


(雷か)


 魔犬の角から雷が放たれる。


 盾で受けながら前に出て、さらにもう一体を斬り倒す。


 残り三体。


 数が減れば、その分戦いも楽になる。


 突進をかわし、毒の牙を避け、属性攻撃を盾や魔法で防いでいく。

 数分もしないうちに、最後の一体も粒子となって消えていった。


:お疲れー

:五体でも普通に倒せるんだな

:最初の頃は警戒してたのに

:慣れって怖い


「この辺の魔物とは、もう結構戦ってるからな」


 そう言いながら、ドロップアイテムを回収していく。


 魔石、素材、素材...。


「...ん?」


 見覚えのあるものが落ちている。


 手のひらに収まるほどの、透明感のある球体。


「帰還の宝玉?」


:え?

:89階層のやつ?

:ここでも出るんだ


「ああ、間違いないな」


 鑑定してみるが、89階層で手に入るものと同じだ。


 使用すれば、即座にダンジョンの一階層へ転移することができる。

 転移石のような起動時間も必要ない。


「ここでも手に入るのか。これなら、わざわざ89階層まで取りに戻らなくて済むな」


 頻繁に使うアイテムではないが、あると安心感が全然違う。


 特にこれからは、未知の階層主との戦闘だ。

 危険だと思った瞬間に逃げられる手段は、多い方がいい。


:でもなんか嫌な予感するな

:帰還アイテムが出るってことは...

:ボス戦で即死攻撃とか、即死ギミックあるんじゃね?

:ゲームだとよくあるよね。ボス前で急に回復とか帰還手段くれるやつ

:やめろ怖いこと言うな

:ダンジョン「これ使って逃げてね^^」


「...」


 嫌なことを言うな。


「まあ、可能性はあるかもしれないな。110階層だし」


:認めるなよ!

:怖くなってきた

:帰還の宝玉ちゃんと持っとけよ


「持っておくよ。危ないと思ったらちゃんと逃げる」


 ボスを倒すことより、生きて帰ることの方が大事だ。

 ここまで来て、そんな基本を忘れるつもりはない。


 帰還の宝玉をすぐ取り出せる場所にしまい、再び進んでいった。


─────────────────────


 それから数時間。


「またか」


 罠感知が反応する。

 少し先の壁を見ると、石壁の隙間に小さな穴がいくつも開いている。


 その穴に向かって鑑定を発動。

 穴の前を通過すると、穴から大量の矢が飛び出してくる罠らしい。


「罠だ。壁から矢が出てくるタイプだな。」


:また古典的なやつ

:でも深層の矢って普通に鎧貫通しそう

:見つけられなかったら怖いな


 普通なら、小さい穴とはいえそれがいくつも壁にあれば気付くとは思う。

 だが探索を続けて集中力が落ちている状態だと、それも見逃してしまう可能性はある。

 俺は罠感知があるから大丈夫だったけどな。


 この罠は壁から一定の距離を取れば、前を通っても発動しないらしい。

 ということで起動させないように逆側の壁に張り付くようにして通り抜ける。


 その先では、床の一部が沈み込むタイプの罠。

 踏むと天井から岩が落ちてくる。


 さらにその先では、壁から毒ガスが噴き出す罠もあった。


「毒ガスまであるのか...」


:種類増えてきたな

:106階層の岩ゴロゴロが可愛く見えてきた

:110階層ボスまでに殺しに来てる


「慣らしなんだろ、多分。もっと先はさらに危険な罠が出てくるのかもしれないな」


 罠があると分かっているだけでも、かなり違う。

 罠感知を使いながら慎重に進んでいき...。


 ようやく、大きな広間の前へとたどり着いた。


「ここだな」


:ボス部屋!

:110階層主きたあああ

:帰還の宝玉確認ヨシ!


「縁起でもない確認するなよ」


 広間の中を確認してみると、これまでのボスと同じく広大な空間だった。


 だが暗い。

 暗視がなければ、数メートル先すらまともに見えないほどの暗闇。


 その空間の奥。

 巨大な四足歩行の何かが、ゆっくり動き回っている。


 ズシン...。

 ただ歩いているだけで、床から振動が伝わってくる。


「でかいな...」


 三つの頭。

 黒く巨大な胴体。

 口元から覗く長い牙。


 全高は五メートルほどだろうか。

 三つの頭が、それぞれ違う方向からこちらを見つめている。


:三つ首!?

:ケルベロスじゃん!!

:110階層主ケルベロス!

:地獄の番犬きたあああ


「見た目そのまんまなら、そうだろうな」


 まだ部屋には入らず、遠くから鑑定を使用する。


─────────────────────────────────────

種族名:ケルベロス

個体名:ギドロ

状態:正常


レベル:110

スキル:獄魔弾・震脚・獄走


 難易度2ダンジョンの110階層を任されしもの。


 三つの頭を持つ巨大な魔犬。

 高い膂力と耐久力を持ち、その巨体を活かした近接攻撃を得意とする。


 三つの頭はそれぞれ独立して動き、複数方向への同時攻撃が可能。

 牙や唾液には強い毒性、および腐食性を持つ成分が含まれている。

─────────────────────────────────────


「...牙に毒に酸。近距離攻撃だけじゃなく、遠距離攻撃も持ってるっぽい。」


:装備溶かされたりしない?

:またスキルの応用で情報を取得したのか

:即死はしなさそう?


「即死は...なさそうだな。」


 帰還の宝玉が出た時にあった、『即死級の何かがあるんじゃないか』というコメントが頭をよぎる。

 鑑定情報には、そういった攻撃は書かれていない。

 だが、これですべてとは限らない。


 これまでのボスも、実際に戦って初めて分かったことはいくつもあった。


(階層主だと言っても、焦る必要はない)


 雑魚や中ボスなら、多少分からないことがあっても力で押し切れる。

 だが階層主は違う。


 110階層のボスだ。

 何をしてくるのか分からない状態で、いきなり全力を出すのは危険すぎる。

 過剰駆動は圧倒的な出力は出せるが、予想外の状況になった時の対応力、という点では少々不安が残る。


(まずは動きを見る。全力を出すのは攻撃パターンを読み切ってからだ)


 毒と酸への対策スキルを創り、剣と盾を構える。


「よし、行くか」


 深呼吸をしてから、一歩ボスの間へと踏み込む。

 その瞬間、ボスが俺を敵と認識し、三つの頭が同時にこちらを向いた。


「グルルルルルルル...!」


 低い唸り声が空間全体に響く。

 そしてケルベロスが一歩前へ出た。


 ズンッ!


 それだけで、足元から小さな振動が伝わってくる。


 さらに一歩。


 ズンッ!


 巨体が、ゆっくりとこちらへ向かってくる。


「...迫力あるな」


 その振動と、ボスの巨体の威圧感を受けて、俺は剣を握る手に力をこめた。



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