71 101階層のトラップ?
鑑定によると、どうやら水竜の角は霊薬と万能薬、どちらの素材にもなるらしい。
つまり、これで万能薬も作れるようになったということだ。
90階層台の探索は、これで大方終わったと言っていいだろう。
エリクサー、霊薬、万能薬の素材。決して簡単に手に入るものではないが、入手方法は分かった。
とりあえず一つは確保しておいて、ここからは階層更新にも目を向けていこうと思う。
ダンジョン101階層
ということで後日。101階層にやってきた。
二度目ではあるがここに来たのはかなり前だし、探索も長時間したわけではない。
なので、気持ちとしては初回のつもりで探索をする。
101階層は暗闇の階層で、前回来た時俺は『暗視』スキルを創造することで周りが見えたが、配信は真っ暗なままだった。
だが今回はドローンに暗視機能があるので、コメントの人たちにもこの階層の様子を見せることができる。
:おおおおお、広い!
:でかい!
:映画で見るような光景だ
:ようやく101階層お披露目!!
巨大な柱が等間隔に並び、天井までは10メートル以上ある。まるで巨大なお城の内部のようだ。
:これからは階層更新?
:90階層台は終わりですか?
「いや、90階層台も素材集めで頻繁に潜ることになるとは思う。前にも言ったかもしれないけど、一人で階層更新は情報集めるのにも苦労するし、やるにしてもゆっくりになるかな。」
:それでいい
:情報は大事
:まずは装備集めでしばらく101階層でもいいぞ
コメントの言う通り、まずは装備集めするのがいいだろう。装備の性能が大きく変わるのは20階層ごとなので、この101階層で手に入る装備は80、90階層台のものよりもかなり高性能のはずだ。
:柱に模様があるな
:場所によってちょっとだけ違う?
:何か意味があるんだろうか
:目印にはなりそう
101階層の様子をドローンに映しながら、特に当てもなく歩いていく。
景色が一緒なので方向感覚が狂いそうだし、次回来た時にどこを探索したのかわからなくなってしまいそうだ。
そうならないためにも、柱の模様などを覚えたほうがいいんだろうが...写真でも撮っておくか?
そう考えていたところで、『気配感知』に反応アリ。魔物だ。
「敵が来る。」
そう言って気配がある方に目を向けると、前回戦ったのと同じ魔物が歩いてきていた。
二足歩行、紫の肌、頭に二本の角、、背中に羽、武器は三又の槍。コメントで言われた通り、こうしてみるとまるで...
:マジで悪魔みたい
:漫画とかで見る魔族だな
そう、悪魔のような見た目をしていた。
前回は鑑定ができなかったし、こいつの角から不意打ち気味に電撃を食らった。
なので今回はちゃんと情報を抜いておきたい。
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種族名:魔鬼
個体名:なし
状態:正常
レベル:101
スキル:雷角・身軽・姿勢制御
難易度2ダンジョンの101階層以降に生息する魔物。
背中にある羽で短時間の飛行も可能。光の場所に集まる習性をもつ。
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...なるほど。前回くらったのは雷角というスキルだな。
あとは、身体を動かしやすくするスキルか。機敏に動けるし、飛ぶこともできる、と。
そして、光に集まる習性か。暗闇だからと言って明りをつけたら、敵が集まってきてしまう、ということだな。
まあその習性がなくても、こんな暗闇で明りがあったら集まってくると思うけどな。
鑑定を済ましたところで、魔物も俺に気づいたようでこちらを向いて武器を構えてきた。
俺も武器を構え、戦闘態勢を取る
:来るぞ来るぞ
:前回は見えなかったし、どんな戦いなんだ
魔物は軽快な足取りで距離を詰めてきて、三又の槍を振るってくる。
この槍は、三又なので避けるのが難しい。なので初っ端から弾くのを狙う。
『高速思考』によりタイミングを見計らい、初手で『シールドバッシュ』を決める。そして斬りかかろうとしたところで、魔物の角がバチバチと音をならす。
やはり電撃が来るか。しかも、発動までが早い。
だが来ると分かっていれば当然避けられる。俺は一歩横にずれてその電撃を回避し、魔物を剣で斬りつける。
腹を切り裂いたが、一撃で仕留めるまではいかなかった。魔物はすぐに槍を構え直す...が、魔物が構え直したと同時に『瞬迅斬』で腕を斬りつける。
腕を斬りつけたことにより、片腕が槍から離れる。その隙に槍を剣でたたきつけることにより、魔物の手から武器が離れた。
これで相手は丸腰。これなら距離を詰められる。
一歩踏み込んだところで再び角が光り電撃が放たれるが、俺はそれを盾で防ぎながら剣を前に突き出す。
その突きは魔物の腹に突き刺さり、魔物が動きを止める。そして剣を抜き、再び『瞬迅斬』を放って斬りつけたところで、勝負はついた。
魔物が地に伏せて粒子化していく。
結果としては無傷。万全の状態なら、一対一なら問題ない。
だが、複数体相手取るならもう少し慣れが必要そうだ。
魔物は、階層が進むにつれて複数匹で出てくることが増えてくる。この階層も、進んでいけばこいつを二体、三体同時に相手取る場面も出てくるだろう。
そのときのために、この最初の階層で戦闘経験を積んでおきたい。
:お疲れ様
:相変わらず早い攻防だった
:どうだった?
「手の内が分かっていれば勝てるな。といっても、もう何回か戦ってみないとわからないけど。」
魔物は多少なりとも個体差がある。なので一体、二体倒しただけではまだ確実な判断はできない。
ドロップアイテムの魔石を拾い、再び探索を開始する。探索とは言っても、とりあえず歩き回るだけだが。
その道中で、再び魔物と遭遇。戦闘。
これを何度か繰り返す。
「...こいつら、個体によって攻撃の属性が違うな。」
何度か戦って分かったことだが、角から放たれる攻撃は個体によって属性が違う。
最初は電撃だったが、他にも炎や水のやつがいた。
基本的に角からの攻撃は直線的なので対処しやすいが、属性によって攻撃範囲などが変わってくる。そのためこいつと戦うならば事前に『鑑定』をして属性を把握しておいたほうがよさそうだ。
(でもまあ、ある程度慣れてきたな。これならあれをしても大丈夫か。)
少々厄介な敵ではあるが、それでも一対一で負けることはない。
となれば、装備集めのために以前検証した『確定ドロップ』をつけて戦っても問題ないだろう。
確定ドロップは、創造のスキル枠を5つ消費してしまうが『必ず宝箱をドロップする』という強力な効果を持つものだ。
必要最低限の『暗視』や『気配感知』、『危機感知』『高速思考』などは残すにしても、あの魔物一体だけなら確定ドロップを創る余裕はある。
ということで、確定ドロップを創造。そして魔物を探すが...
(こういう時に限っていないんだよな...)
途端に魔物が見つからなくなってしまった。
先ほどまではその辺にいて普通に戦っていたのに、いざ戦いたいと思えば見つからない。なんなんだろうかこの現象は。
(...光をつけてみるか?)
しばらく歩いても見つからないので、『光に集まる』という習性を利用してみようかと考える。
コメントのみんなに『光をつけると寄ってくるぞ』というのを教えるために一度はやろうと考えていたし、やってみるか。
とはいえ、何があるかわからない。一気に複数体集まってくる可能性もあるので、スキルを切り替える準備、最悪『帰還の宝玉』で即座に脱出する準備もしておく。
「...暗視機能じゃ見えないものもあるだろうし、ちょっとライトをつけてみる。」
それっぽい理由を言いながら、ドローンのライトをつけるボタンに指をかける。
:見てる側としてはありがたいが、大丈夫か?
:前回、敵が来るかもしれないからライトつけないって言ってなかった?
:つけちゃえつけちゃえ
「何度か戦ったから、敵が来たとしても大丈夫。って言っても、一気にたくさん集まってきたら逃げるつもりだ。」
:そうしな
:検証でもあるね。明りをつけるとどうなるかっていう
:むしろ普通は明りつけるからな。ここまでずっと暗闇で進んでる方がすごい
そんなコメント見ながら、ライトをオンにする。
ドローンの先端からライトが出て、柱に当たる。決して強い光ではないが、見えにくかった柱がはっきりとうつしだされ、模様なども見えやすくなった。
俺もいまのうちにと思って、マジックバッグから携帯を取り出し柱の写真を撮る。この模様の柱の付近は探索した、と。
そうしていると、『気配感知』に反応があった。反応場所は...上?
見上げると、頭上のはるか上、天井。そこに悪魔の魔物が張り付いていた。
よく見てみると、天井には小さな穴があった。小さいとは言ってもそれは全体から見た話で、実際は1メートル半か、2メートルほどはありそうだ。
その穴の横に、悪魔の魔物がいた。
だが、反応はそれだけではない。その穴から、また別の悪魔の魔物が出てきた。
そしてもう一匹、またもう一匹...。
そして離れた場所にも同じ反応。遠くにも天井に穴があり、そこから魔物が出てきている。
そしてその魔物は、ドローンのライトをじっと見つめていた。
ドローンの視点も天井に向ける。ライトは天井まで届かないが、それでも暗視機能があることでその光景はドローンにも映った。
:え、ナニコレ
:は?????
:待って、あれ全部魔物??
:あんな穴あったの?
どんどん出てくる悪魔の魔物。その数は数十どころではない。おそらく、百を超えている。
そしてその魔物が、一斉に羽ばたいて動き出した。
狙いは、光。俺とドローン目掛けて、天井から数百の魔物が飛んできた。
:まずいまずいまずい
:え、これ終わったのでは?
:にげて!!!!!!!!
俺はすぐに帰還の宝玉を使用。
先頭の魔物の槍が俺に届くその前に、俺はその場から姿を消した。
ダンジョン外
「...なんじゃありゃ。」
嫌な汗を大量にかきながら、俺はダンジョンから出た場所で腰をおろした。というか、腰を抜かした。
光に集まってくるとは書いていたが、規模がおかしい。精々近くの敵が寄ってくるくらいだと思っていたのに。
:帰れた!?
:あれ使ったのか!脱出のオーブ!!
:よがっだああああああああああ
:普通に死んだと思った!!!!!
「いや、さすがに逃げる手段用意してからやってるよ。そこまでバカじゃない。」
:何も考えずライトつけろと言った俺はバカだったか
:そりゃお前がバカだよ
:まあ普通はそうですよね
:そりゃそうなんだけど、あの場面になったらパニックなりそう
「さすがに焦ったけどな。あれは予想してなかった。みんなも、あの階層に行ったら明りは厳禁だ。」
:はーい
:となると、暗視スコープとか?
:暗視スコープって、めっちゃデカくなかったっけ?
:それつけながら探索、戦闘は骨が折れそう
「ちょっと、一旦ここで終わるな。さすがに今のはビックリした。精神的に疲れたよ。」
まさかあんなトラップがあるとは。
初見殺しってやつだろうか?結局宝箱も手に入らなかったし。
まあ情報は手に入ったので、良しとしよう。
...やっぱ一人で情報集めって危険だな。




