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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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70/80

70 ビビりは危機感知が高いとも言える


「...警戒しすぎたか?」


 目の前で粒子化していくアシュファンを見ながら、そうつぶやく。


 二度目の100階層戦。どれくらい強くなっているかと警戒していたが、結果としては前回と全く変わらずに倒すことができた。


 ブレスや巨体での攻撃は脅威ではあるが躱せるし、通りが悪いとは言え魔法も少しは効く。斬撃だって『極鋭刃』であれば切断することも可能だ。


 さすがに一回でそんなに強化されるようなことはないらしい。冷静に考えれば当たり前ではあるが、それにしたってビビりすぎたかもしれない。


:お疲れ様です

:やっぱ迫力あるなぁドラゴンは

:何を警戒してたの?


「...いや、前回はあっさりだったから、まだ見てない技とか動きがあるかなと思っただけだ。」


:あっさり...?

:結構とんでもない動きしてるけどな...

:あっさり(主基準)


 なんにせよ、二度目の討伐も特に問題なく終了した。

 一体どれくらい倒せば強くなるのかわからないのが怖いところだな。

 何度か挑んでいたらいきなり強くなりました。とかじゃないことを祈ろう。急に強化されたらさすがに対応しきれないかもしれないし。


「さて、ドロップアイテムは...」


 アシュファンが粒子化した場所まで歩いていき、ドロップアイテムを確認する。前回通りであれば選択のオーブとドラゴンの血が手に入ると思うんだが。さすがに秘密のオーブはもう出てこないだろう。


「...ん?」


 そしてドロップアイテムが出現したところで、眉を顰める。

 とんでもなくでかいものが落ちていたからだ。


:なんだあれ?

:でっかいな

:もしかして、これはあれか?


 1メートルほどある、赤い塊。これは...


「肉か...?」


 どう見ても肉にしか見えない。鑑定してみると、『レッドドラゴンの肉。食用可能。』と表示された。


:ドラゴン肉キターーーー!!!

:マジかよ、ドラゴンステーキできるの?

:待て。まだ食えると決まったわけじゃない!何か別のものかもしれない!


「いや、普通に肉だな。食えると思う。まさか100階層まで来て食材ドロップとは...」


:なんで残念そうなんだよ!ドラゴンの肉だぞ!!

:喜べや!!


 どうせなら装備やアイテムがいいと思っていたが、コメントを見るとみんなが歓喜していた。ドラゴンの肉って、そんないいものって印象なのか?


「肉なんて、部位や調理法によってちょっと食感が違うくらいだろ?そんなに変わるのか?」


 焼肉だって、肉というよりもタレが美味いと思ってる。


:おいおい、こいつマジか

:食品の質が安定している日本の弊害か

:味も全然違うぞ。美味い肉屋を紹介してあげたい

:ドラゴン肉が美味いって保証はないけどね


「ふーん...そんなものか。まあ肉は普通に売りに出すよ。どんな扱いになるかわからないけど。」


 いつもの店は、食材であっても買い取ってくれる。『食材は別の場所の方が高く売れますよ』とは言ってくれるが、わざわざ別に持っていくのがめんどくさいのでそのまま売っている。そのあとどうしてるのかまでは知らないけどな。


:店売りされるか?

:でかいとは言っても、食べるって考えたらそんな何百人に出せる量でもないな

:どうせお偉いさんが楽しむ用になるだろうさ


 肉はさておき、今回の本命は選択のオーブだ。これで霊薬か万能薬を入手して、素材を確認する。それが目的だ。


:そういや、そのオーブってなんなの?

:前回も似たようなのドロップしてたな

:あとその瓶も。なんだった?


「オーブは、装備とか素材とかポーションを選んで入手できるやつだってさ。そんでこの瓶は調合素材だな。調合したら何ができるかは、他の人が100階層に到達してからのお楽しみってことで。」


:またお楽しみかよ!

:秘密が増えていくばっかりだ

:100階層の素材だし、とんでもないものができそう


 そんなことを話しながら、選択のオーブで「霊薬」を選ぶ。するとオーブが光輝いて、光が収まると俺の手には霊薬が握られていた。


:何か出てきたぞ

:それが選んだやつ?

:ポーションか?


「まあポーションの一種だな。通常よりもめちゃくちゃ回復するポーションだ。」


:ふーん

:なんでそれ選んだの?怪我してるの?

:ポーションなんていくらあってもいいからな。深層だとちょっとしたことで大怪我しそうだし


 霊薬のことについてはぼかしながら、『鑑定』を創造して霊薬を調べてみる。

 必要素材は2つ。一つはすでに持っている『凍癒核』。そしてもう一つは...


(水竜の角か...)


 そう表示されていた。おそらく...というか間違いなく、95階層の湖にいた水竜のことだろう。

 あの湖は、底にはエリクサーの素材。魔物を倒せば霊薬の素材が手に入る場所というわけだ。


(そのうち戦おうとは思っていたし、ちょうどいい理由ができたと思おう。)


 水中の敵ということでちょっと尻込みしていたが、今回のアシュファンのようにビビりすぎていても仕方がない。

 帰還の宝玉で瞬時に帰れるわけだし、ひとまず戦ってみてもいいだろう。



────────────────────────────────────


 後日


 ダンジョン95階層


「今回は、あの湖の魔物と戦おうと思う。」


:こんにちは

:あのでかいやつか

:ドラゴン肉ってどうなった?


「ドラゴン肉は店に売ったよ。多分色々調べられた後、誰かが食べるんじゃないかな。」


 ドロップ品である肉は、予定通りいつもの店で売却をした。店員は『ダンジョン省の人に渡すことになるかもしれませんね。』と言っていたが、ドラゴンの肉というのはそんな大事なのだろうか。


 まあ肉のことは別にどうでもいい。今は水竜だ。

 あの水竜を倒せば、霊薬の素材が手に入るはず。おそらく中ボスの扱いだろうし、他にもドロップがあるかもしれない。

 攻略を進める前に、あいつは倒しておこう。


:ドラゴン肉もっといっぱい売りに出してください

:一日一回、ドラゴン倒そう

:デイリーミッションで


「いや、100階層はそんな挑みまくるつもりないから。ここを攻略したら、そろそろ101階層の攻略もやってみるつもりだし。」


:おお!とうとう階層更新か!

:俺らからしたら、この90階層台も未知の新階層だけどな

:さっさと湖の魔物倒しちゃおうぜ!


 そんなわけで、湖に到着。広い湖の中で、大きな波が見える場所がある。あそこに水竜がいるな。

 水竜との戦い方は、いくつか考えてきたものがある。水中で戦うのは最終手段として、まずは陸でやれることをやってみるとする。


 最初に試すのは、無難に魔法だ。陸から水竜にできる限り近づき、魔法を放つ作戦。

 マジックバッグから雷魔法の杖を取り出し、水竜めがけて発動する。


「貫雷槍」


 杖から雷の槍が出てきて、水竜に向かっていく。雷は水の中へと入っていき、水が一瞬ピカっと光った。

 確認してみると魔法が直接当たったわけではないが、水に広がった電気をくらったようだ。


 電気を受けた水竜は、水の中を猛スピードで移動してこちらに近づいてくる。

 そして陸の数メートル手前まで来たところで、水の中から体半分を出して俺に向かって吠えてきた。


「ガアアアアアア!!」


 鋭い牙をむき出しにしながら、怒ったように声を出す水竜。俺はその姿を見て、冷静に『鑑定』を発動させる。


─────────────────────────────────────

種族名:水竜

個体名:ウォーブ

状態:正常

レベル:95


スキル:雷耐性・水流操作・身体強化


 難易度2ダンジョンの95階層に生息する魔物。

 水の生き物ではあるが、陸上にも適応している。しかし陸ではあまり機敏に動けない。

 回復能力を有しており、頭部の角が回復機能を担っている。


 竜特攻が有効

─────────────────────────────────────


(雷耐性持ちか...)


 水だから電気を浴びせてやろう、と思っていたが、それは対策済みらしい。魔法を使うなら雷以外がいいな。

 雨が降ってるので火魔法も威力は弱まるし、そうなると風魔法がいいだろうか。


(烈空刃)


 風の刃が水竜に向かっていくが、その攻撃は横に動いて簡単に避けられた。

 そして避けた水竜はこちらに向かって水の弾を吐いてくる。


 俺もその弾をよけ、再び魔法を放つ。だが、さすがに魔法単発ではなかなか当てることができない。

 相手も再び水の弾を飛ばしてくるが、俺も同じく避ける。そのやり取りを何度か続ける。


(ダメだな)


 風の刃と水の弾の応酬。どちらも当たらないし、埒が明かない。戦い方を変えたほうがいいな。


(次に試すのは、これだ。)


 魔法を使うのをやめた俺は、とあるスキルを創造する。


 そのスキルとは、『念力』


 ただし、一つだけではない。


 念力を創造。念力を創造。念力を創造。念力を創造。念力を創造...。


 創った念力は、五つ。


 以前天譚九曜の動画で念力が使われているのを見て、思いついたことがある。

 念力で相手の動きを阻害できるなら、もっと強力にすれば相手の体を動かすことも可能なのでは?と。


 念力一つだけでは、少し干渉するのが精一杯だろう。だが、複数個あればできるかもしれない。

 念力を使い、相手を水から引きずり出す。スキル枠をかなり食うが、ここで陸に上げられれば勝ち筋は一気に見える。


「おおおおお...!」


 重ね掛けをした強力な念力を、水竜に向かって発動した。

 そしてそのまま陸に向かって引き寄せる。


「ガア!?」


 突然自分の体が勝手に動いたことで、水竜は驚いたような声を出す。だがすぐに状況に気づいたのか、陸とは反対側に動こうとしてきた。


「させるか...!」


 まるで釣りをしているかのように、引き上げようとする俺と引き上げられないようにする水竜の戦いが繰り広げられる。


:なんだ?どういう状況だ?

:急に魔法やめるじゃん

:にらみ合い?


 1分ほど続けたところで、水竜が動きを見せた。


 念力に集中している俺に向かって、再び水の弾を放つ。

 だが水弾を放った瞬間。制御が軽くなった。相手の抵抗する力が弱まった。


「こっちに来い...!」


 横に跳んで水の弾を避けると同時、俺は気合を入れて水竜を引っ張り上げる。


 すると水竜は釣り上げられたように空中に浮かび、そのまま陸へと引き寄せられた。


「よし!」


 念力で引き上げて地面に打ち付けたところで、俺は水竜に向かって走っていく。


「ガア!」


 水竜はこちらに水の弾を吐いた後、もう一度湖に入ろうと背を向けて移動をする。だが、その動きはお世辞にも早いとは言えない。


 水の弾を盾で防いだ俺は、湖に行こうとする水竜の尻尾を掴んだ。そしてそのまま『念力』と合わせて振り回し、さらに湖から離れた場所にぶん投げる。


 これだけ湖から離せばもう大丈夫だろう。

 俺は念力スキルを消して、戦闘用のスキルを創造して水竜に向かっていく。


 水竜は4、5メートルほどと巨体だが、陸で見る水竜は水辺の時ほどの威圧感はなかった。強敵だとは感じるが、難敵だとは思わない。


 その後は特に苦戦はなかった。水の弾や尻尾の振り回し、噛みつきなどをしてきたが、どれも避けられるし防げる。


 陸での水竜は、先日のアシュファンに比べたら大したことはない。

 水の中なら違っただろうが、わざわざ相手に有利な水の中で戦うことはないからな。陸で戦えるなら当然そうするさ。


 最後は『瞬迅斬』でとどめをさし、水竜は粒子となって消えていった。


:なにがあった!?

:急に魔物が浮かび上がった

:今の魔物何?めっちゃ強そうだった

:何をしたんですか?


「スキルの応用だよ。」


 いつも通りそれだけ言って、俺はドロップアイテムを確認する。


 出てきたのは、予想通り『水竜の角』。これで霊薬が作成できる。

 そして他にドロップしたのは...。


「...また肉かよ。」


 角の横に、巨大な肉の塊が鎮座していた。

 コメントのみんなは、再び大盛り上がりだった。




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