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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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69 年が明けても変わらずダンジョン探索


 年明けから2週間ほど経った。特になにかイベントがあるわけでもなく、年が明けて数日でダンジョンの探索は再開した。

 この2週間でダンジョン96、97階層を探索したが、目ぼしいものは見つからず。現在98階層を探索中だ。


 97〜99階層は、霧が深い階層となっている。

 これまでの灼熱階層、大雨階層でそれぞれ素材があったので、この霧階層のどこかにも素材やアイテムがあるんじゃないかと思っている。


 目的であるエリクサーの素材は95階層で見つけたので、何かあるとしてもエリクサーの素材ではない。だが攻略に役立つものがある可能性もあるので、エリクサーじゃないからと言って探索をしないという選択肢はない。


 以前この階層に来た時は、この霧で視界が確保できないのもあってあまり探索ができなかった。

 だが今は違う。スキルが強化されてるし創れる数にも余裕があるので、「霧を見通すスキル」を創ることで他の階層と同じように探索することができる。


:霧で見えないな

:配信画面もほとんど真っ白だ

:画にならない階層だなあ


 俺は視界を確保できているが、当然ながら配信を見ているみんなはそうじゃない。白い画面が続くだけなので、視聴者数もコメントもいつもより少なかった。


 そんな中で98階層を歩き回ること数時間。ようやく何かありそうな場所を見つけることができた。


「これは...墓地?」


 その一帯は十字架がいくつも地面に立てられていて、墓石のような長方形の石も複数設置されていた。


 地面も少し黒ずんで荒れているように見えるし、他と違う場所なのは間違いない。...墓地って、普通は綺麗にするものなんじゃないか?雰囲気作りのために汚くしてるのか?


:え?なになに

:何かあったか

:うっすら見えるな。たしかにお墓っぽい


 ドローンにもその映像は映ったようで、コメントの流れが一気に加速しだした。


「さすがに何もないなんてことはないと思うけど...何があると思う?」


:よく見えないからなんとも言えない

:十字架を引っこ抜くとか、墓石を壊すとか?

:ゲームだと、墓石を動かしてその下に何かあったりするな


「墓石の下か...。もしくは、壊すのだとしたら墓石の中に何かあるのか。」


 下か中か。どちらにせよ『透視』スキルがあれば確認はできる。ということで早速創造し、墓石の下を探ってみる。


「...あるな。」


 見てみると、一つの墓石の下に地下に続く階段があった。コメントの言う通りだったな。


 ちなみに、他の墓石の下にはスケルトンがいた。人の骨かと思ったが、カタカタ動いているのでおそらく魔物だろう。違う墓石を選んだら、魔物との戦いになるってことだな。


 わざわざハズレを選ぶ理由もないのでスケルトンの墓石は無視して、階段のある墓石に近づき手をつける。そしてそのまま力を入れて押すと、ゴゴゴ...と低い音をならしながら墓石は動いた。


:あったの?

:なんでわかった?まだ何もしてないよな?

:なんか他と違う特徴でもあった?

:主、俺らには見えないものが見えてるよな


「スキルの応用、とだけ言っておこうかな。さあ、下に行ってみようか。」


 コメントに少しだけ返事をして、地下への階段を下りていく。

 透視スキルで階段の先を見ながら降りているが、どうやらこの先には広い空間があって、そこに魔物がいるようだ。展開としては、93階層と同じ感じだな。

 十中八九、この魔物を倒せば何か特別なものが手に入るだろう。


「...この先に魔物がいる。戦闘になるな。」


 コメントの人たちにそう伝えつつ、『鑑定』スキルを用意しておく。一体どんな魔物なのか...


 階段を下りて広い空間に出る。

 灯台のようなものが複数あり、壁や床には何かの模様がある、気味悪さを感じる空間だ。


 そしてその部屋の奥にいる、一匹の魔物。

 見た目は犬...というか、狼か?白黒の斑点模様があり、口からは黒い煙のような、霧のようなものが漏れ出ている。


 犬がゆっくりと動き出したところで、俺は『鑑定』を発動させた。


─────────────────────────────────────

種族名:グレイヴハウンド

個体名:ヒーズ

状態:正常

レベル:98

スキル:呪霧・穢れの咆哮・弱体拡散


 難易度2ダンジョンの98階層に生息する魔物。

 穢れが溜まりやすい場所を好み、霧や闇に紛れて獲物を襲う。


 呪いや弱体化の攻撃を多くして来るが、自身の身体能力も高く近接戦闘も強力である。

─────────────────────────────────────


(...真っ当に厄介だな)


 同じような状況だった93階層のおるとろすは、どこか遊び心を感じられた。

 だが今回の魔物はそういった様子は一切なく、普通に厄介で手ごわそうだ。


 鑑定を済ましたところで、グレイヴハウンドは大きく息を吸い込んだ。これは...スキルが来るな。


「ガアアアアアッ!!」


 犬のような見た目からは想像できない咆哮を上げつつ、グレイヴハウンドは口から黒い煙を吐き出した。

 そして、その咆哮を浴びた俺の体に状態異常がかかった。


 『穢れの咆哮』。その雄たけびを聞いた者は、弱体化の状態異常を受ける。


 さらに、吐き出してきた霧もスキルである『呪霧』。この霧を浴びたり吸ったりすると呪い状態になり、動きが鈍くなる、判断力や集中力が低下する、などの現象がおきる。


 そして三つ目のスキルの『弱体拡散』。これは、周囲の生き物の身体能力や魔力をじわじわと下げていく、というものだ。


 ...見事に呪いや弱体化が詰まったスキル構成だ。対策がなければ、弱った状態での戦闘を強いられてしまう。


 だが、幸いにも似たような技は過去の階層で使ってくるやつがいる。

 60階層台のアンデッド階層。そこで呪いや状態異常は経験済だ。

 それ以外でも時々呪いを使ってくるやつはいるが、一番呪いを喰らうのは60階層台だ。


 俺はその時の経験から、素早く『解呪』スキルを創造し呪いを打ち消す。

 だが、解呪だけでは弱体化までは打ち消せない。なので弱体化を打ち消すために『復調』スキルも創造する。


 これで相手のスキルは打ち消した。

 一応解呪のポーションである『ディスペルポーション』でも打ち消せるとは思うが、今は持っていないしスキルで対応できるので、これで問題ないだろう。

 あのポーション、使いどころがあんまりないから常備してないんだよな。


:すげー体に悪そうな煙

:毒?大丈夫か?

:キュアポーションとかある?


「いや、これ呪いの類だな。キュアポーションじゃなくてディスペルポーションじゃないとダメだと思う。」


:あーあれか

:なにそれ?

:初めて聞いた

:滅多に使わないやつだ


 コメントの人たちも、知ってる人と知らない人が半分ずつくらいだった。まあ知らなくても無理はないだろう。メジャーじゃないし。


 そんな話をしているところで、霧を吐き終わったグレイヴハウンドがこちらに向かってきた。


 おるとろすの時は『過剰駆動』で制圧したが、あれを使うなら他のスキルは消さないといけない。この解呪と復調スキルはつけておきたいので、今回は過剰駆動なしでの戦闘だ。


 ...いやまあ、消さなくても過剰駆動は使えるんだが、そうすると反動がでかくなってしまう。いざという時は使うが、使わなくて済みそうなら使わずに終わらせたい。


 幸い相手のスキルはすべて無効化しているので、後は単純な肉弾戦だ。これなら、身体強化系のスキルを創れば勝てるだろう。


 相手は呪霧に紛れて攻撃をしてくるが、地上でも使っていた『霧を見通すスキル』は、この呪霧も見通せる。なのではっきりと見えるので問題なく対応できる。というかこの霧、目くらましにも使ってくるのか。


 結局少し時間はかかったが、普通に倒すことができた。

 たしかに相手の身体能力は高かったが、レベルは俺の方が上だ。さらにこっちは身体強化のスキルまでつけている。

 弱体化を打ち消せるなら実質スキルなしの相手だからな。さすがに負けることはない。


 逆に言えば、弱体化を打ち消せなければ苦戦するほどの相手ではあるということだ。

 他の人がここに来るときは、しっかりと対策をしておかないとやられてしまうかもしれない。


「みんな、ここに来るときは呪い対策をするようにな。結構危ないぞ。」


 粒子化していくグレイヴハウンドを見ながら、コメントの人たちに注意を伝えておく。


:あなたも呪われてませんでした?

:呪い無効化してた?ポーション飲んでないよね?

:主に呪いは効かないぞ。家庭の事情でね


「スキルの応用で呪い無効化しただけだよ。さて、ドロップアイテム見てみようか。」


:スキルの応用って言っとけばいいと思ってないか?

:どんなスキルを応用したらそうなるんだよ

:一体なんてスキルなんだ...


 戸惑っているコメントをよそに、俺はグレイヴハウンドが消えた場所にあるドロップアイテムを拾い上げた。

 ぱっと見は薄汚れた石のようにも見えるそれを鑑定してみる。


─────────────────────────────────────

浄穢(じょうえ)

グレイヴハウンドの体内に形成される核。

毒、呪い、病などの穢れを内包し、それを浄化しかけた性質を持つ。

高位ディスペルポーションや万能薬の調合素材となる。

─────────────────────────────────────


(...万能薬の素材か)


 93階層は霊薬の素材だったが、この98階層は万能薬の素材が手に入るのか。

 万能薬は、たしか万病を治しどんな呪いも解除する、というものだったはずだ。


 言葉通りに受け取るならば、どんな病気にかかっても治せる、ということになる。...もし癌も治せたりするのなら、とんでもない騒ぎになるだろうな。


 ほんとうにどんな病気も治るのかはわからないが、それでも持っていて損はない。できれば霊薬も万能薬も調合したいが...他の素材がわからないんだよな。


(...実物を手に入れに行くか。)


 100階層のアシュファンを倒せば、選択のオーブで霊薬と万能薬を手に入れることができる。実物を目にすれば、鑑定によって必要素材を知ることができる。


 霊薬と万能薬を自分で作れるようになれば選択のオーブで別のものを選択することもできるので、この二つの必要素材は知っておきたい。


 元々ドラゴンの血目当てで挑むつもりだったし、ちょうどいい。少し緊張するが、二度目のドラゴン討伐と行こうか。


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