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スキルが生えてくる異世界に転生したっぽい話  作者: 明和里苳
第6章 秋津編

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第67話 教授からの取引

 フィーレンス教授…どっちもフィーレンスなのでフェベ教授と呼ぶことにする。フェベ教授が切り出した、悪い話じゃない、とは。俺たちはひとまず席に着き、耳を傾けることにした。


「お主らがウダールに残した魔法陣だが」


 あの後、彼女は大学に戻って魔法陣を解析した。まあ、俺たちが外部に公開した魔法陣のほとんどは生活魔法を組み合わせた簡単なものだ。発動する作用から、何のスキルが刻まれているか類推するのは難しいことじゃないだろう。


「そしてお主らが秋津を目指していると聞いて、ピンと来たのだ。これは古代秋津文字を模したものだろう?———ふふ、そうだろう。見事言い当てられて言葉も出まい。クラウス殿、貴殿はフロウル師の末裔だろう」


 えっと、フェベさん今なんて言いました?古代?そしてどちら様?


「なぁに、漏らしはせんよ。ただ、お主の知るところを素直につまびらかにすれば、な」


 ドヤ顔だ。まごう事なきドヤ顔である。なんだかなぁ。


「えっとその…フロウルさんがどちら様なのか存じ上げませんが…」


「は?この期に及んでしらを切るとは。古代秋津に精通したエルフといえばフロウル師であろう。それともフィロメナ師か?いや、フェンケ姉上なのか?」


 ふむ。秋津にゆかりのあるエルフは、フロウルさん、フィロメナさん、フェンケさんね。覚えとこ。


「で、魔法陣が秋津語で書かれているとして、それがバレて何か困ることでも?」


「———はっ?」




「ねえクラウス。僕ら、帰っちゃダメかなぁ☆」


「ですよねぇ」


 目の前には、タンコブ作っておねんねしているフィリベルト氏、そして真っ白に呆けているフェベさん。どっちか再起動して欲しい。とりあえず、人払いされたていで天井裏に潜んでいらっしゃる忍びの方に視線を送ると、「ぐっ」と息を呑む気配がする。退出していいかどうか、間諜に聞かれても困るよね。分かる。


 お茶菓子も尽きそうだし、お茶も冷めちゃったし。だけどメイドさんを呼ぶわけにもいかない。なんせエルフの二人には、アダマンタイトの手錠が掛けてある。粘土を捏ねて錬金したやつだから、ちょっと不格好だ。ちゃんとしたのを作っておかねば。


 仕方がないので、自前でお湯を沸かしてお茶を淹れ直す。


「それにしても、なんで秋津語とやらで魔法陣を書いたら俺たちの弱みになると思ったんでしょうか」


「そうだねぇ。彼らの口ぶりによれば、魔法やスキルはエルフの秘術という意識があるから、僕らも秘密にしたがっていると思ったんじゃないかなぁ」


 俺たちが魔法陣を公開したのは、生活魔法レベルなら誰でも全属性使えることと、それを一定回数繰り返せば属性魔法が使えちゃうって広まったら混乱するかな、と思ったからだ。しかし生活魔法全般、特に複数属性を同時発動する清浄クリーンや湯沸かしなんかのスキルは便利だから、誰でも使えるように便宜魔法陣として配布したに過ぎない。あとは、一定のクオリティで街道整備をするために土壁アースウォールの魔法陣を公開したくらいか。そりゃあ、魔法陣の仕組みがバレたら多少騒動になるだろうけど、コルネリウスでは功績を誰に押し付けるかで問題になっているほど。


 そもそも魔法陣は、元はといえば古代エルフの学生が残したノートから得たテクノロジー。バレたら困るのはエルフの方々だ。もういっそこの機会に、コイツらから教わったって公表しちゃってもいいくらい。


「しかしフロウル、フィロメナ、フェンケって言いましたっけ。まだ他のエルフが出て来るんでしょうか」


「うーん、フェンケ…フェンケかぁ…」


「アレクシス様、お心当たりでも?」


「うん、ちょっとね…」


 アレクシス様が唸っている間に、床でベシャってたフィリベルト氏がもそりと再起動した。


「ふふ、油断したよ。まさか無詠唱でロックバレット、やるじゃないか」


「いや、石ころ投げただけで」


「クラウス、油断しないで」


 アレクシス様が、俺を庇うように再び杖を構える。アダマンタイトで手錠をしているとはいえ、相手は魔術スキルが使える。杖は取り上げておいたが、杖なんかなくても普通にスキルは使えるのだ。なんか魔封じ的なアイテムを開発しなきゃな。


「いいだろう。君たちがその気なら、演習場で正々堂々と勝負しようじゃないか」


 ———は?どうしてそんな話に?

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