27.逃げ続ける生き方
この作品はフィクションです。
「がはははははは!!アルジの飯は今日もうめぇ!うめぇもんを食うとテンションが上がる!嫌でも上がる!やっぱり落ち着いてなんていられねぇんだぜ!」
「うどん。かき揚げ乗せで。」
「じゃーあー、私はうどんにかき揚げと卵追加で。」
「じゃあ!かき揚げと卵と海老天追加!!」
「じゃ、私は全部乗せ。」
「!!!こ…んの、やろぉぉぉぉっ!」
「毎回毎回しつこいぞ貴様。何故いつも我の至福の時間の邪魔をするのだ。」
「何が至福だ。料理の良し悪しなど欠片もわからぬ石人形が。」
「ふん、我ほどになれば、例え味も香りもわからずととも、歯応えと食感だけで料理の素晴らしさがわかるのだ。貴様には到底理解できまい。」
「石のくせによく舌が回ることだ。」
「魔王くんっっっ!!」
「……………うるさい。」
同じ場所を巡り、同じ光景に出くわす。
それでいい。
その中では、人間も魔物も無い。喧嘩はあれど、殺し合いは起きない。
だから、良い。
自分の寿命は、恐らくもう長くはない。
残り短い人生くらい、誰の死も見ることなく過ごしたい。
人間も魔物も、命が消えるのを見ることなく逝けるのなら、こんなに望ましいことはない。
「世界の営みから逃げて、それで胸を張って生きていると言えるのか?」
以前、勇者にはそんな事を言われた。
勇者も、魔王も、殺すことに何も感じなくなっている。
それが、この世界の正常な姿だと言うのなら、それなら、それでいい。それを否定するつもりはない。
だが、自分は逃げさせてもらう。
嬉しい顔が見たい。苦しい顔は見たくない。
そのために逃げて、何が悪い。
「アルジー。美味しそうな魚釣ってきたー。料理してくれー。」
「………すまないが、切り身にしてから持ってきてくれ。」
料理人なのに、生きてる魚や獣を殺せない、というのは、問題があるような気もするが。
ようやく、一つの完結の形に辿り着けました。




