20.「3箇所目」幸せがあること
この作品はフィクションです。
「美味しかったみたいだな。」
アルジさんが満足そうな顔をしている。
アルジさんは、あまり表情が変わらない。僕たち草花人と同じくらい、変わらない。
変わらないけど、なんとなく、わかる。
〜〜〜♪
僕も仲間たちも、みんな、満足している。アルジさんのスープは、いつも僕たちを満足で幸せにしてくれる。
だから、いつものお礼。
「………。」
みんなで一か所に、ぎゅっ、と集まって、アルジさんに向かって、両手を差し出す。
♪〜♪〜♪〜
「綺麗だな。」
僕たち一人一人の手のひらに、小さな花が咲いている。
その小さな花が、ぎゅっ、と集まって、キレイな花の形を創る。
僕たちにできる、一番のお礼。
キレイな花を咲かせて見せてあげること。
花を咲かせるのは、結構大変。でも、幸せには、幸せをお返ししたい。
幸せだと思ってくれていると、嬉しい。
「しっかし、ダンナも律儀だねぇ。」
「何がだ。」
草花人たちが地中に帰ってしばらく。入れ替わりにやってきた俺が、ダンナのうどんを啜っているところ。
この洞窟は、大地の恩恵を強く受けられる場所。石や草花にとっちゃあ、居心地がいいんだろう。
洞窟コボルトの俺にとっても、まぁ、悪くはない寝蔵だ。洞窟の一角を偉そうに仕切ってる石野郎と、図々しく入り込んでくる人間野郎がうるさいのはストレスだが、それ以外には特に問題はない。ダンナのうどんも食えるし。
そんなわけで、俺は今日もうどんを啜っている。
「ちゃーんと、決まった周期で来てくれるだろう?この洞窟の、この場所に。」
「………。」
「騒々しい石野郎やら人間やらにまとわりつかれるのも面倒だろうに。俺だったら避けて通るけどね、こんなところ。」
「俺もそうしたいところなんだがな。」
「でも、来るだろ?」
「………。」
「そこがわかんねーんだよなぁ。そんな面倒くさい目に遭うのがわかっていても、ちゃんと来る。なんでそんなに律儀なのさ?ってね。」
「別に律儀なわけじゃない。」
「じゃあ、なんで?」
「…俺は、ただ決まったルートで回っているだけだ。ルートを変えるの方が面倒くさいからな。」
「ふ〜ん。」
うどんのスープを飲み干して、満足の吐息。
ルートを変えるのすら面倒くさがる人が、こんな旨い料理を作れるとは思えないんだけどねぇ。絶対に、こんな旨い料理作る方が面倒くさいだろ。
でも、ま、
「じゃ、そーゆーことにしとこかね。俺はダンナのうどんが食えればなんでもいいし?」
「そいつはどうも。」
そのおかげで、この幸せにありつけてるんだから、このままでいいや。
3箇所目終了。次はどうしますかね…。




